俺の存在意義

佐野万次郎の回想

三途はずっと俺のことだけ見てた

それは崇拝とかそんな生易しいもんじゃなくて、

俺がガキん時につけた恐怖とトラウマによってだ

口の傷を付けた後、オレらは疎遠になった

けど、俺は三途に会いたかった

その時はまだ歪んでいなかったはずだ

ただ、純粋に、昔のダチと話したかった

本当にそれだけ

でも、アイツをムーチョに任せてから"ソレ"は変わり始めた

アイツは実の兄貴に愛されなかった

だってソイツは一番下の妹ばかり気にかけたから

三途はいつも叱られてばかりで、

愛情という愛情を受けられなかった

だからこそ、

ムーチョの優しさや包容力が心地よかったのだろう

三途は俺以外も見るようになった

最初は打ち解けて良かったと思った

けど！

だんだん苦しくなった

いや、もっとドス黒い感情

ムーチョに対する、

嫉妬

憎悪

羨望

そんなンが心ん中を渦巻いてた

最初は混乱した

嬉しい筈なのにちゃんと喜べねぇって

でも、

途中から吹っ切れた

だから、

そして三途はムーチョを殺した

殺した直後の三途は不安定で、

唯一の精神安定剤を無くしたようだった

また、この頃からヤクを始め、

今でも愛用している

佐野万次郎の回想終了

灰谷蘭の回想

本当は気付いてた

三途はずっとムーチョを殺したことを後悔してるって

灰谷蘭の回想終了