刑務所物語

あの日から2週間経った

おんりーが起きない

心臓は動いているし息もしている

意識だけが戻らない

ずっとこんな感じで暗い話が続いている

そう鼓舞しても、あまり効いていない

どうしたものかと考えていると

そう大きな声をあげてMENが入ってきた

ベイルを捕まえた功績から11人の犯罪者達には刑務所内の入れる場所は入っていいと伝えていたからだ

その言葉にみんな目を見開いて立ち上がる

椅子を引く音が部屋に響く

勢いよく医療室の部屋を開ける

開けると俯いてぼーっとしているおんりーの姿があった

雨栗さんの声で気づいたのかこちらを驚いた表情で見てから 苦しそうな表情で下を向いた

まずは体調を、と思い聞くとおんりーは

そう、冷たい言葉をかけるおんりー

そこまでおんりーが言った時 おんりーが突き放すことを言う理由がやっと分かった

おんりーは、僕らがおんりーの復讐のことを知らないと思ってるんだ

だからそれを知ったみんなが気に病まないように

わざとそうしてるんだ

おんりーは、…やっぱり一番の善人なんだな

もう隠せないと悟ったのかおんりーはふらついたままゆっくりベッドから降りた

そして——

いわゆる土下座、と言う姿勢をとった

おらふくんがおんりーの顔を上げさせようとするけどおんりーはそのまま

静かに、でもしっかりと謝っていた

許されるため、ではなく 心から迷惑をかけたことを詫びる謝罪だった

おんりーは目を見開いて顔をくしゃっと歪める

おんりーは過去を思い出すかのような悲しい顔をしていた

そうめんにとっつかれて おんりーはゆっくりとまた立ち上がる

おんりーは足元がおぼつかない

壁を伝うようにして歩き出した

この牢屋だ

久しぶりに見たけど 変わってないな

あれ、記憶戻ってるのか…

ネコおじに戻してもらったのかな

この人に、謝らなければならない

あとは——

アブソルとの別れだ

今までごめんね、酷使して

…、失敗はしないだろうけど 寂しくはあるな

まあ、そろそろ始めよう

今までありがとう 能力に伝わるかはわからないけどね

胸から温かさが消えていくのが分かる

俺の中で二つの能力がいっぱいに詰まっていたものが

急に一つ無くなって 自分の能力も、力も、体力も全て 欠ける気配を感じた

一気に力が抜けて ふらふらしていた体のせいで倒れそうになった

後少し

人の密度計算して 合わせるの、むずい…！

ごめんね、耐えさせて

行け、最後まで

…泣いてる 、そりゃそっか

でも、確認だけは、しないと

もし、防御出来なかったら 寸止めするから

ごめん

お腹狙って…

ガンッ！！

意外と痛い…

でも、防げてるなら大丈夫だね

あれ、視界が ぐらつ、いてる…？

MENのその言葉が 意識を失う最後のものだった