期待

文化祭から帰ってすぐ部屋にこもった

進路を決めるために

学費全額免除とか、受験がなくても入っていいとか

美味しい話は沢山あるんだけどなんか引っかかる

仕事のオファーもなにかが引っかかる

今みたいに期待されすぎるのは嫌だ

楽をするのもなんか嫌だ

仕事も大学も行く気になれない

沢山選択肢もある

それなのにパッとしない

1番世界に役に立つ、物を探した時

沢山の選択肢が出てくる

医者になる

警察になる

消防士になる

世界の環境問題を解決する

どれも、やりがいがあって、大切なお仕事、

でも、心のどこかでこの選択肢を否定してくる

期待に応えなきゃいけないのに、期待を崩したらダメなのに

そこに映っていたのは俺

どうやら今日の文化祭についてやっているようだ

文化祭の中での特大イベントは演劇だったらしい

俺の演技が話題になってる

ライブ配信で1億人を超えたのは前代未聞らしい

演技をやるのもいいのかもしれない

演技で感動と気持ちを伝えるのもいいかもしれない

みんなに俺の気持ちをあじわって欲しくないから

俺は黄くんの事をずっと黄ちゃんって呼んでいた

特に理由はなく、親しみやすいと思ってなんとなく呼んできた

俺が急に謝った、自分でもなにに対して謝ったのか分からない

俺が咄嗟に出た言葉

思い出した、昔、黄くんと絶対に隠し事はしないって約束した

本当は話したくないのに

口が勝手に動く

やだ、やだ、やめて、！やめてよっ！

俺の頑張り崩さないでっ！

誰も俺を見なくなっちゃう！

ﾄﾞｻｯ

俺は座り込んでしまった

もう、立てない

ダメだ、、朝みたいに無理やりも出来ない

ねぇ、！やだよ、！やめて！

弱音を吐いちゃダメなのに、期待を壊しちゃダメなのに、！

ねぇ！動かないでよ！