TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

【LINE190】退職することを脅しに使ってくる最低な新入社員

一覧ページ

「【LINE190】退職することを脅しに使ってくる最低な新入社員」のメインビジュアル

【LINE190】退職することを脅しに使ってくる最低な新入社員

1 - 【LINE190】退職することを脅しに使ってくる最低な新入社員

♥

2

2022年12月03日

シェアするシェアする
報告する

ヒロ

ちょっと、ユキさん!

ヒロ

この訂正部分、分かりにくいんすけど!

ヒロ

どうやったらこんな分かりにくい指示になるんですか!

ユキ

え……?

ユキ

付箋貼ってなかった?

ヒロ

貼ってますけど?

ユキ

その手順通りにしてくれたら大丈夫だと思うんだけど……

ヒロ

だって、分からないものは分からないんすよ!

ユキ

具体的に,どこが分かりにくかった?

ヒロ

全部っす!

ユキ

全部、かぁ……

ユキ

あのね、こんなことを言うのは非常に心苦しいんだけど

ユキ

何度も同じことを注意してるし、

ユキ

そろそろ一回で出来るようになってほしいんだけど……。

ユキ

メモも取らないから向上心も見受けられないよ?

ヒロ

なんでそんな言い方されないといけないんすか!

ヒロ

言い方にもトゲがあって、傷付きました!

ヒロ

俺、もう辞めるっす!

ユキ

や、辞める……?

ユキ

ヒロくん、これで辞めるっていうのはちょっと……。

ヒロ

そうですよね、困りますよね?

ヒロ

ウチ、人手不足だし。

ヒロ

それに、この部署に入った新卒って、

ヒロ

5年ほどいないらしいじゃないっすか。

ヒロ

それなのに、せっかく入社した新人がすぐに辞めるってなったら

ヒロ

それはもう、ユキさんに重大な責任がありますよね!?

ユキ

……分かったわ。

ユキ

これからはもう少しヒロくんに分かりやすいように指摘するから。

ヒロ

分かればいいんすよ。

ヒロ

これからは気を付けて下さいね?

ユキ

えぇ、これからは気を付けるわね。

数日後

ヒロ

ちょっと、ユキさん!

ヒロ

なんですか、デスクにあったメモは!

ユキ

あぁ、ヒロくん……

ユキ

実はね、ヒロくんが受けた電話に対して、

ユキ

お取引先様からお申し出があったの。

ヒロ

はぁ!?

ヒロ

俺の意見も聞かずに、先方の意見を全て鵜呑みにするんですか!?

ユキ

うん、そう言いたい気持ちも分かるんだけど……

ユキ

ただ、先方の言い分を聞かざるを得ない事情があってね

ユキ

ヒロくん、きちんと敬語遣ってる……?

ヒロ

は?

ヒロ

なんすか、バカにしてんすか?

ユキ

そう、それなのよ

ユキ

~っすか、とか~っすよねっていうのはね、

ユキ

大学や部活動での先輩に対して使うのは

ユキ

問題ないと思うの。

ユキ

でもね、社会人でそういう言葉遣いはいけないのよ?

ユキ

これ、新人研修の時にマナー講師の先生が教えてくれたと

ユキ

思うんだけど……。

ヒロ

は?

ヒロ

ちゃんと敬語遣えてるじゃないですか!

ユキ

あのね、だからその敬語はだめなの。

ユキ

ですます調で、話してね?

ユキ

あと、所々乱暴な言葉遣いもあるから、

ユキ

それも控えて欲しいの。

ヒロ

はぁ~……

ヒロ

マジやる気なくなるわぁ……。

ヒロ

俺、明日退職届を書いてきますから。

ユキ

へ……?

ユキ

退職届を書くの?

ヒロ

はい、先輩の俺への当たりが強いんで。

ヒロ

これだから女はイヤなんだよなぁ。

ユキ

……今、私が女性という事が関係あるかしら?

ヒロ

あるでしょ。

ヒロ

女は機嫌が悪いとすぐ感情が高ぶる!

ヒロ

今だって、何があったか分からないっすけど、

ヒロ

どうせ嫌なことでもあって俺に八つ当たりしてるんでしょ!

ユキ

いや、八つ当たりではなくてこれは指導なのよ。

ヒロ

とにかく!

ヒロ

俺は明日、退職届を書いてくるんで!

ユキ

……はぁ。

翌日

ヒロ

ユキさん!

ユキ

はい、何ですか?

ヒロ

俺の退職届見てビビったでしょ?(笑)

ユキ

いえ、昨日言われていたからビビってなんていないけど……。

ヒロ

俺のこと、きちんとしないといつでも俺はこの会社を

ヒロ

去りますからね!

ユキ

そうですか。

ヒロ

部長に出せるもんなら出してくださいよ(笑)

ヒロ

ま、そうなったらユキさんに全責任がいって、

ヒロ

俺は何のダメージも食らいませんけど(笑)

ユキ

とりあえず、この退職届は預かっておくわね。

ヒロ

え?(笑)

ヒロ

俺が時間かけて書いたんで勝手に捨てないで下さいよ?(笑)

ユキ

えぇ、私が預かっておくから。

ユキ

自分がしたことをよく考えて、もう一度決断しなさい。

ヒロ

へぇ~(笑)

ヒロ

そう言えば、俺が食い下がるとでも思ってんすか?(笑)

ヒロ

俺、大学の同期から一緒に会社を立ち上げないかって

ヒロ

誘われてるんですよねえ笑

ヒロ

ほら、俺ってもうすでに働いて社会経験もあるし、

ヒロ

同期も、社会経験がある人間を必要と思ってるんすよ!(笑)

ユキ

そう、それはよかったわね。

ヒロ

でも、俺は会社からも必要とされてるからって

ヒロ

断ってたんすよねぇ……

ヒロ

先輩が態度を改めないのであれば、

ヒロ

俺このまま向こうの会社に行っちゃいますよ?(笑)

ユキ

自分の人生だから、それは自身で決めたら良いんじゃないかしら。

ヒロ

ユキさんが強がっていられるのも今だけっすからね!

2週間後

ユキ

ちょっと、ヒロくん……!

ユキ

あなた、とんでもないことをしてくれたわね……!

ヒロ

なんすか、いきなり。

ユキ

あなた、先日取引先様から電話を受けたでしょ?

ヒロ

えぇ……

ヒロ

いきなり言われても覚えてないっすよ。

ヒロ

どの会社っすか?

ユキ

白雪物産よ!

ヒロ

あぁ、白雪物産の電話受けましたよ?

ユキ

内容……

ユキ

覚えてる?

ヒロ

へ?

ヒロ

たしか……

ヒロ

あ、そうだ。

ヒロ

会議の時間、今日に変更して欲しいって言ってました!

ユキ

なんですぐに報告しなかったの!?

ヒロ

忘れてたんすよー!

ヒロ

でも、今言ったからいいでしょ?

ユキ

会議の時間、いつっておっしゃってた?

ヒロ

たしか……14時、だったかな?

ユキ

もう過ぎてるじゃないの!

ユキ

言ったから大丈夫って問題じゃないの!

ユキ

白雪物産とはね、長年営業と接待を続けて

ユキ

ようやく取引をしてもらえるようになった大手なの!

ユキ

あなたのその行動のせいで、

ユキ

ウチは時間管理もきちんとできないだらしない会社だと思われて

ユキ

一旦、取引を白紙に戻して欲しいと申し出があったの

ヒロ

あー、そうなんですか?

ユキ

そうなんですか、じゃないわよ……!

ユキ

あなた、この損害を何だと思ってるのよ……!

ヒロ

そんなの、別の会社を見つければよくないですか?

ユキ

……なんですって?

ヒロ

それに、俺に積極的に電話を取れってよく言うじゃないですか。

ヒロ

そんなにカッカしなきゃいけないなら、

ヒロ

俺に電話取らせるのやめましょうよ。

ヒロ

ていうか、なんで新人だからって電話取らなきゃ

ヒロ

いけないんすか?

ヒロ

そんなに大事な電話なら先輩達がとればいいじゃないすか。

ヒロ

ていうか、俺何度も言ってますよね?

ユキ

何?

ヒロ

注意の仕方気を付けて欲しいって。

ヒロ

そんな言い方されないといけないなら、

ヒロ

俺退職しますよ?(笑)

ユキ

あなたの退職届なら、もう提出してるわよ?

ヒロ

へ?

ユキ

そりゃあそうでしょ。

ユキ

そもそも、上司である私に提出した時点で

ユキ

ヒロくんから退職したいと何度も相談を受けている事

ユキ

退職届を受け取ったことを報告してるわよ。

ヒロ

えっ、ぶ、部長は何て言ってたんすか!?

ユキ

退職届を受け取ることに、何も言われなかったわよ。

ユキ

むしろ、私に対して社会人としてなっていないことは

ユキ

部長も十分知っていたから、

ユキ

そのうち営業に出てから外でやらかす前に、と

ユキ

思っていたそうよ?

ヒロ

な、なんで勝手に……!

ヒロ

俺の将来はどうなるんすか!?

ユキ

お友達から一緒に会社を立ち上げようって話になってるんでしょ?

ユキ

起業してすぐは大変でしょうけど、

ユキ

軌道に乗るように頑張ったらどうかしら?

ヒロ

俺、部長に抗議してきます!

ユキ

無理じゃない?

ヒロ

へ?

ヒロ

な、なんでですか……!

ユキ

退職願、ではなくて退職届だからよ

ヒロ

どういうことですか?

ユキ

普通、退職願を提出してから退職届を提出するの。

ユキ

それなのに、あなたはすっ飛ばして退職届を提出した。

ユキ

常識外れだと思ったけど、

ユキ

何度も辞めたいと相談を受けていることも言ったら

ユキ

本気なんだろうってことで、話はすんなり通ったわよ。

ヒロ

な、なんで俺抜きで話をしてるんですか……!

ヒロ

普通、部下から辞めるって言われたら部下も交えて

ヒロ

話し合いをするもんじゃないんすか!?

ユキ

いえ、そんなものはないわよ。

ユキ

だって、本気で辞めたいんでしょ?

ユキ

何度も辞めてやるって言ってたじゃない?

ユキ

それで退職届を書いてきた。

ユキ

何か問題でもあるかしら?

ヒロ

それは……!

ユキ

まあ、辞めることを盾にしてたら

ユキ

何をしても大丈夫と思っていたのかもしれないけど、

ユキ

そんなものはないから。

ヒロ

うっ…

ユキ

まだ、メモをとったり、指示を聞いて

ユキ

成長する様子を見ることができていたら、

ユキ

向上心があるんだって思えたけど。

ユキ

あなたにはそんなもの微塵も感じ取れなかった。

ユキ

ウチでは通用しなかったけど、

ユキ

お友達との起業は頑張ったらどうにかなるんじゃない?

ユキ

あと2週間くらいの勤務、頑張ってね?

ヒロ

そんな……

数か月後

ヒロ

お久しぶりです、ユキさん。

ヒロ

今ってお時間大丈夫ですか?

ユキ

あぁ、ヒロさん。

ユキ

お久しぶりです、どうされました?

ヒロ

あの、実は……

ヒロ

俺のことを会社に戻して欲しくて……。

ユキ

え?

ユキ

どうして?

ユキ

あなた、お友達と起業したんじゃなかったの?

ヒロ

その……

ヒロ

実はあれ嘘だったんです。

ヒロ

ただ、俺を必要と認めて欲しくて……

ユキ

あら、そうなの。

ユキ

でも、会社に戻る事は無理じゃないかしら。

ヒロ

え……

ヒロ

ど、どうしてですか……!

ユキ

あなた、ウチで何をしたのか覚えていないのかしら

ヒロ

そ、それは……

ユキ

辞めるということを武器にして、仕事を覚えようとしなかった。

ユキ

ミスを指摘しても、私の指導方法が間違っていると

ユキ

そう言っていたわよね?

ユキ

それなのに、また会社に戻りたいと言うのは

ユキ

都合がいいんじゃないかしら?

ヒロ

そ、そうなんですけど……。

ヒロ

新卒で入社した会社を数か月で辞めたというのが理由で、

ヒロ

どこの中途採用試験にも通らないんです。

ヒロ

書類審査で落とされるばかりで、

ヒロ

書類審査を通っても、面接でイビられるばかりで……。

ユキ

そりゃあ、よっぽどのブラック企業とかなら

ユキ

すぐに退職するのも分かるけど、

ユキ

ウチのように、きちんと就業できる会社を

ユキ

自己都合で退職しているんだから

ユキ

採用する側も慎重になるわよ。

ユキ

一緒に働く人間がどういう人間なのかも気になるしね。

ヒロ

今度は、簡単に辞めるなんて言いませんから、

ヒロ

どうか入社できるように斡旋してもらえませんか……!?

ユキ

いや、私に人事権なんてないから。

ユキ

もし、あったとしてもあなたを採用しようとは思わないけど

ヒロ

そんなあ……

ユキ

まぁ、頑張ってこれからも就活してね?

ユキ

そして、次のところでは簡単に辞めないように

ユキ

忍耐力と向上心を持ってね?

ヒロ

そんなー!!

後日談

ユキ

ヒロくんは、その後も正社員としての仕事を探したが、

ユキ

どれだけ履歴書を送っても

ユキ

面接まではこじつけることができても、

ユキ

採用にはならなかった。

ユキ

正社員の道を諦め、ようやく採用されたのは飲食店。

ユキ

毎日長時間拘束をされ、長年勤めているお局パートに

ユキ

毎日イビられているらしい。

ユキ

私はというと、彼の代わりに中途社員が入社した。

ユキ

中途社員は、きちんとメモを取るし、

ユキ

前職では、しっかりとビジネスマナーを習得しており、

ユキ

入社当初から、しっかりと戦力として働いてくれている。

ユキ

更に、周りの声もしっかりと聞いており

ユキ

向上心があり、どんどん力を付けている。

ユキ

中途社員のこれからの成長を楽しみにしながら、

ユキ

私も、刺激を受けて精進します。

この作品はいかがでしたか?

2

コメント

0

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚