卒業、拝啓初恋の君へ

Saturday.AM7:00卒業式前日───

ﾌﾟﾙﾙﾙﾙﾙﾙ…

こんな朝早くに誰だろう

そんなことを思いながら

寝ぼけ眼を必死に醒まし

スマホを手に取る

画面には

裕次郎

ゆうちゃんこと、 裕次郎は私の幼なじみであり、

私の初恋の人だ

ﾋﾟｯ

ん、おっでたでた

あっごめん寝てた？

ごめんな！

あ、その…今からちょっと出れない？

うん、そそ

よかった、じゃあいつもんとこで待ってる

ﾋﾟｯ────────

思い出の公園

君の声が遠くに響いた

Sunday.

君だけがいない卒業式も終わり。

呆気なく過ぎた3年間

思えば君のことだけを考えてた

やっぱり初恋は実らないのがオチなのだろう

ふと出た本音は私の心を乱した

あの日告白を伝えていれば

今日卒業式出ずに見送りに行っていれば

そんな後悔が渦巻いて私を苦しめる

ｶﾞﾁｬｯ

下駄箱のロッカーを開ける

するとそこには見覚えのない

一通の手紙

恐る恐る開いて見るとそこには

見覚えのある力強い文字でこう書かれていた

彩桃へ この手紙を見てるってことはもう卒業式終わった頃かな？ そして俺がアメリカに飛び立った頃だと思う 俺さ、彩桃に1個伝え忘れてたことがある 俺、ずっと前から彩桃が好きだ 3年後、会えるの楽しみにしてるからな！ 卒業おめでとう！ 裕次郎

手紙をそっとポケットに入れ

私は学校を後にした

春休みのある日リビングにて

神様はどこまでも意地悪だ

やっぱり初恋は実らないそれがオチ