太宰治
はぁーい、そこまでー

突如現れた太宰が虎と芥川君の間に入り、二人に触れる。
虎は青年の姿に戻り、芥川君の黒獣は元の黒外套へと戻った。
芥川龍之介
なッ……

杏堂〇〇
うわ、やっぱり

樋口一葉
貴方探偵社の───!

樋口一葉
何故ここに!

太宰治
美人さんの行動が気になっちゃう質でね

驚く樋口ちゃんに落ち着いた表情で懐から何かを取り出す。
太宰治
こっそり聞かせて貰ってた

樋口一葉
な……真逆盗聴器!?

樋口一葉
え、でも粉々…

杏堂〇〇
あー、其れ私。

樋口一葉
!

樋口一葉
(さっき〇〇さんがジャケットを握ったのはこの為!)

樋口一葉
(盗聴器を入れられたのは口説かれた時…)

太宰治
流石〇〇だね

太宰治
私の行動も読めちゃうなんて

太宰治
突然音が途切れるから吃驚したよ

杏堂〇〇
其れも推測済みでしょう?

杏堂〇〇
私の異能が人虎捕獲に向いてるから

太宰治
まあね

樋口一葉
では最初から私の計画を見抜いて…

太宰治
そゆこと

樋口ちゃんの言葉ににっこり笑って返すと
今度は人虎の方へしゃがむ。
太宰治
ほらほら起きなさい敦君

太宰治
三人も負ぶって帰るの厭だよ私 ペチペチ

樋口一葉
ま……待ちなさい!

樋口一葉
生きて帰す訳には チャキッ

芥川龍之介
くく……くくく

芥川龍之介
止めろ樋口、お前では勝てぬ

樋口一葉
芥川先輩!でも!

芥川龍之介
太宰さん、今回は退きましょう

芥川龍之介
しかし人虎の首は必ず僕らポートマフィアが頂く

太宰治
なんで?

芥川龍之介
簡単な事、その人虎には

芥川龍之介
闇市で七十億の懸賞金が懸かっている

芥川龍之介
裏社会を牛耳って余りある額だ

太宰治
へえ!

太宰治
それは随分と景気の良い話だね

芥川龍之介
探偵社には孰れまた伺います

芥川龍之介
その時素直に七十億を渡すなら善し

芥川龍之介
渡さぬなら───

太宰治
探偵社と戦争かい?

太宰治
良いねぇ、元気で

杏堂〇〇
(良くねぇよ)

太宰治
やってみ給えよ───やれるものなら

樋口一葉
………ッ、零細探偵社ごときが!

樋口一葉
我らはこの町の暗部そのもの!

樋口一葉
傘下の団体企業は数十を数え
この町の政治・経済の悉くに根を張る!

樋口一葉
たかだか十数人の探偵社ごとき───

樋口一葉
三日も待たずに事務所ごと灰と消える!

樋口一葉
我らに逆らって生き残った者などいないのだぞ!

太宰治
知ってるよそれ位

芥川龍之介
然り

芥川龍之介
外の誰より貴方がそれを承知している

芥川龍之介
───元ポートマフィアの太宰さん
