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黒衣の男は、バルコニーから王都の街並みを見下ろしながら、冷たい笑みを浮かべた。
???
彼の手には、一冊の古びた本が握られていた。表紙には、金色の文字でこう書かれている。
「レティシア・エヴァンジェリンの記録」
男は、その本をゆっくりと開いた。
???
彼の目が、レティシアが王都を歩く姿を捉えていた。
???
そう言うと、黒衣の男は静かに姿を消したーー
レティシア
私は王都の街を歩きながら、ユリウスに尋ねた。
ユリウス
レティシア
目の前に広がる「新王都」の景色はやっぱり私が知るものとは違っていた。
本当に、100年も経っちゃったんだ……
ユリウス
レティシア
ユリウス
ユリウスは静かに言った。
ユリウス
その時だった。
少女
突然、悲鳴が聞こえた。
レティシア
私は反射的に声のする方を見た。
すると、細い路地の奥で、一人の少女が男たちに囲まれているのが見えた。
少女
ユリウス
ユリウスが鋭い声を上げると、騎士団長のノアがすぐに剣を抜いた。
ノア
ノアが鋭い目を向けると、男たちは一瞬怯んだ。
だがーーー
男
男たちは少女を突き飛ばし、一斉に走り去った。
ユリウス
ユリウスがすぐに駆け寄る。
少女
助けられた少女は涙目でユリウスを見上げた。
良かった……
ホッとしたのも束の間。
少女
少女が私をじっと見つめた。
レティシア
少女
レティシア
少女
レティシア
な、なんで……!?
私が言葉を失っていると、少女は不思議そうに首を傾げた。
少女
そう言って、少女は軽く手を振ると、路地の奥へと駆けていった。
ユリウス
レティシア
今の少女の言葉が、頭から離れなかった。
まるで、この時代の人じゃない、って……?
なんで、そんなことを……?
そしてーーー
その様子を遠くから黒衣の男が見つめていた。
???
その口元には、再び冷たい笑みが浮かんでいたーー
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