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チリン
薬売り
鈴の音と共に、薬売りの声がこだまする
村人
村人
村人達は薬売りに非難の声を浴びせる
薬売り
薬売り
薬売り
薬売りは退魔の剣を掲げる
村人
薬売り
薬売り
薬売り
そう言い、薬売りは村人達を見渡す
その瞬間
薬売り
突如、薬売りは沼の周辺にある木々に大量の札を貼った
時雨
村人
薬売り
べしゃり
薬売り
べしゃり
薬売り
その瞬間、札に書いてある目が開き、朱色に染まる
時雨
は、はやく、離れなければ、
この人の、邪魔に、なってしまう、!
村人
村人達はわらわらと小屋へと逃げ込んでいく
時雨
なんとか立ち上がり、小屋へ向かおうとするが
村人
時雨
女性に押されてしまい、地面にゆっくり倒れていく
が、覚悟していた衝撃が来ない事に違和感を覚え、恐る恐る目を開く
時雨
そこには、私を横から支える薬売りの姿があった
薬売り
そう言うと、薬売りは私を横抱きにし、小屋へと足を向ける
時雨
薬売り
時雨
先程の目とは違う、とても優しい目を向けていた
薬売り
時雨
熱くなる頬を抑えながら、そう返事をする
ガラリと古びた小屋の扉を薬売りが開くと、村人達は薬売りへ群がった
村人
村人
ざわざわと村人達が騒ぎ立てる
薬売り
時雨
私は、無意識のうちに両手を強く握っていた
その後、私達は居間へと通され、私は薬売りの傍に座った
村人達はこの村の歴史を語った
薬売り
薬売りは顎に手を当て、何か考えるような素振りを見せる
その時
薬売り
時雨
突如名前を呼ばれた
薬売りは背負っていた箱の引き出しを開けると、
時雨
一つの天秤が私の手の掌に舞い降りてきた
薬売り
時雨
私は天秤を指の上に乗せ、そのまま軽く押し上げる
天秤は浮き上がり、次は薬売りの指に止まる
薬売り
薬売りが指を軽く押し上げると、天秤は地面に着地した
薬売り
時雨
私は天秤を指にのせ、押し上げるという行程をひたすらに繰り返した
薬売り
時雨
ちらりと畳に目を向けると、辺りは天秤に覆われていた
村人
薬売り
ちりん
薬売りがそう答えた瞬間、天秤に鈴がぶら下がった
時雨
モノノ怪、人の情念と、怨念が妖に取り憑いたもの、
私は目を伏せ、鹿波沢の歴史について考えていた
次の瞬間
ちりん
時雨
薬売り
天秤が傾いた瞬間、薬売りは札を部屋一面に貼った
べしゃり
べしゃり
時雨
村人
薬売り
しかし
時雨
薬売り
何故? あれは、娘達の、
次の瞬間、
ガタッ
古ぼけた襖が吹き飛ばされた
時雨
薬売り
べしゃり
その瞬間
何かが
入ってきた
時雨
沼の主
薬売り
薬売りの声を最後に
私は意識を落とした
意識を落とした時雨を モノノ怪はじっとみていた
村人
薬売り
村人
村人は狂ったように笑い声を上げた
村人
村人
薬売り
村人
時雨
辺りを見渡せば、真っ暗な空間に炎が盛えていた
時雨
その時、
雪子
村人
時雨
そこには若き頃の女性の村人と、
時雨
綺麗な人、
村人
雪子
村人
村人
村人
村人
村人は女性の腹を蹴り上げる
雪子
女性は蹴り上げられる瞬間、咄嗟にお腹を守った
村人
雪子
次の瞬間、村人は女性のお腹をもう一度蹴り上げた
時雨
村人
雪子
やめて、その人の大事な物を、
村人
雪子
その時、場面が変わり、
女性のお腹は、へこんでいた
辺りには、大量の血液が流れていた
雪子
時雨
泣き叫ぶ女性とは裏腹に、 村人達は幸福な顔で、拍手をしていた
村人
村人達は笑顔を貼り付けながら、女性の両腕を掴み、起こす
雪子
泣き叫ぶ女性に構う事なく、村人達は例の沼へと連れていく
雪子
ゆみな。おそらく亡くなってしまった赤ん坊の名前だろう
時雨
どうか、もう、奪わないであげて、
村人
その瞬間、沼に女性が落とされた
時雨
だめだ。死んではいけない。
必死に伸ばした手は、嘲笑うかのように女性の手をすり抜けた
雪子
雪子
許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない
雪子
沼の主
その瞬間、辺りに光が満ちた
時雨
ここは、
村人
時雨
私は飛び起き、
薬売り
そのまま村人の方に歩いて行き、両肩を掴む
時雨
時雨
あぁ、止まらない、 いや、止まれないんだ。
時雨
時雨
悔しくて、哀しくて、涙が溢れ出す。
時雨
その時、体が傾いた
時雨
が、何か暖かい物に包まれ、瞼を開ける
薬売り
時雨
薬売りは私を支えながら、退魔の剣を掲げる
薬売り
薬売り
カチンという音が、部屋にこだまする
薬売り
時雨
時雨
薬売り
時雨
カチンという音が鳴り響く
薬売り
薬売り
時雨
そう言い、私はおぼつかない足取りで薬売りから離れた
薬売り
そう言い、剣は薬売りの頭上へ昇っていく
薬売りは両手を上に上げ、両方の人差し指を剣に向ける
薬売り
薬売り
薬売り
薬売り
その瞬間、薬売りは人差し指を左右に向け、
退魔の剣
次の瞬間には、金色の札が薬売りを包んでいた
時雨
金色の札が消えると、そこに薬売りの姿はなく、
薬売り
褐色肌に、白髪の髪がよく映える 美しい男が立っていた
沼の主
薬売り
褐色の男は退魔の剣を構え、
沼の主がどろりとした、赤黒い何かを男へ放った瞬間
薬売り
その攻撃を一刀両断し、その斬撃で
沼の主を斬った
ひらり、ひらりと
モノノ怪であったものが舞い落ちていく
時雨
その時、
雪子
時雨
後ろを振り返っても、そこには誰もいない
時雨
両手を合わせ、そう呟く
時雨
ふと、先程の褐色の男をみれば、
薬売り
時雨
いつの間にか、私の真隣にいた
薬売り
男は私の頬を軽く撫で
そこで、私は意識を失った
時雨
ここは、
薬売り
時雨
何故、薬売りが、、? 私は、一体、
薬売り
時雨
そうか、倒れてしまったのか、
私はゆっくりと重い体を起こそうとするが、上手く起こせず 薬売りに背中を支えてもらった
時雨
薬売り
時雨
薬売り
時雨
これで、良いのかもしれない
あの悲劇を、繰り返すよりも
薬売り
薬売り
ちりん
薬売り
時雨
スッと細められた瞳が、 あまりに綺麗で、
私は息をするのも忘れてしまった
時雨
薬売り
薬売りの言葉に私は頷く
時雨
昔からそうだった。 私は眠っている時など、誰かわからない人の過去を見る事ができた
いや、「できた」ではない、 「見せられた」の方が正しいのだろう
薬売り
時雨
薬売り
薬売り
その時、 薬売りは私の手を両手で包み、
薬売り
時雨
私は思わず目を見開いてしまった
薬売り
時雨
私が足を引っ張って、万が一、 薬売りが、
私はそう考えてしまい、目を伏せた
だが、私の頬に手が置かれ、 私は思わず薬売りを見上げる
薬売り
薬売り
何故か、この人に言われると、 謎の安心感があった
時雨
私は頭を下げ
時雨
これが、貴方との出会い