/s/[storyId]/_components/heading/assets/back_arrow_icon.4081080bcaba67b8.svg){kind=icon}
/s/[storyId]/_containers/report-container/assets/more-icon.20cfac1b79e24f56.svg){kind=icon}
この街に住まう人は皆
永遠の命をもつ世界で。
こんな世界でただ1人
死の呪いがかけられた
少女のお話。
ヒサメ
…
ヒサメ
よし！上手くできたかな。
ヒサメ
(待ってて！今度こそ美味しいんだからっ！)
ヒサメ
(あ、今日は珍しく賑やかだな…)
ヒサメ
(これなら、いけるかも…！)
ヒサメ
赤い実のパイ、どうですか？自信作なの。
街の人々
そんなの、ひとつも売れるわけないじゃない。
ヒサメ
(なんで…？みんなと何も変わらないのに…)
ヒサメ
(美味しく、出来たのに…)
ヒサメ
(あぁ、今日も声は届かないんだな。)
ヒサメ
(まるで透明になったみたい。)
ヒサメ
あぁ、私だけが生きているみたい。
ヒサメ
よし！
ヒサメ
アレンジパイ完成！
ヒサメ
まだ、諦めないんだから！
ヒサメ
赤い実のパイ、いりませんかっ…！
街の人々
(ﾄﾞﾝｯ)
ヒサメ
わっ！
ヒサメ
(落としちゃった…)
ヒサメ
(あぁ、みんな踏んでいく…)
ヒサメ
(平気な顔してさ…)
ヒサメ
( ⊃'-'⊂ )ｻｯ=͟͟͞͞ ( ⊃’-’⊂ )ｻｯ
カゲチヨ
|=͟͟͞͞ '-' )ｽｯ
カゲチヨ
おいしいな、これ。
ヒサメ
え…？
ヒサメ
(その声で、心は溢れた。)
ヒサメ
(まるで、輪郭を描いたみたいだな。)
カゲチヨ
そこのお前、立てるか？
カゲチヨ
ほら。
ヒサメ
あっ、ありがとう…！
カゲチヨ
俺はカゲチヨ。
カゲチヨ
お前は？
ヒサメ
ひ、ヒサメ…！
カゲチヨ
ヒサメ、か。
カゲチヨ
よろしくな。
ヒサメ
！
ヒサメ
よ、よろしくっ！
ヒサメ
(あぁ、この人も"生きている"のかもしれない。)
街の人々
(」･ω･(´ーωー)ﾋｿﾋｿ
街の人々
あの人、赤い実食べたわよ！
街の人々
えー、呪われちゃったんだー。
街の人々
かわいそー。
街の人々
永遠に生きられずに死ぬなんて、なんて可哀想な話。
ヒサメ
カゲ、ごめんね。
カゲチヨ
なんで謝るんだよ。
ヒサメ
だって、私のせいで死んじゃうじゃん…。
ヒサメ
だから…
カゲチヨ
ヒサ、俺は自分から食ったんだからな？
カゲチヨ
だから、死ぬのは俺のせい。
カゲチヨ
な？
ヒサメ
…！
ヒサメ
ふふっ、それもそうだね。
カゲチヨ
( ´-ω- )ﾌｯ
カゲチヨ
おう。
ヒサメ
あぁ、とっても素敵な呪いだなぁ…
ヒサメ
例え、明日死んでも。
ヒサメ
今が確かで大切になるから。
カゲチヨ
…！
カゲチヨ
おう、そうだな。
ヒサメ
(く、口に出てた…)
ヒサメ
カゲっ！
ヒサメ
カゲっ！！！
カゲチヨ
…
ヒサメ
ｳｩｸﾞｽｯ
ヒサメ
もう、声は届かないんだな…。
ヒサメ
まるで、透明になったみたい…。
ヒサメ
そういえば、みんなに知らない振りされてたなぁ…。
ヒサメ
この世界は、呪われてるから。
ヒサメ
カゲ、私も今、そっち行くから。
グサッ
そうして、永遠の呪いは解かれたのでした。
まるで、2人の方が狂ったみたいに。
2人はこの世界から放たれ
死んだ世界では唯2人だけが幸せだったのでした。
おしまい。
電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい！がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。
