コメント
2件
春海暗
春海暗
春海暗
春海暗
俺の学校には "王子様"がいた
ㅤㅤ
ㅤㅤ
優しくて 愛想よくて かっこよくて かわいくて
それに
初兎
純白じゃない 少し濁ったような笑顔
その不思議な感じや 近寄り難い雰囲気に
男女問わず 色々な人が魅了された
初兎
いふ
そして俺も その1人
朝から雨が降っていて 憂鬱な気分の中
先生に頼まれた書類を運ぶ
いふ
……なところが好きなんだ! 付き合ってくれ!!
いふ
校舎裏の方から告白する声 恐らくだか… あいつだろう
いふ
初兎
やはり初兎だった この光景も見慣れたものだ
初兎が告白されるなんて 日常茶飯事だった
初兎
いふ
上手く隠れていたつもりだったが 初兎にはお見通しだった
いふ
初兎
そう言って俯く初兎は 少しだけ寂しそうに見えた
いふ
いふ
初兎
考えるよりも先に 口が動く
いふ
自分でも何を言っているのだろうと思った
初兎の事が好きなのは本当だ
でも、告白はこんな軽々しくするのじゃない
分かってはいたが 口から出たのはそれだけだった
いふ
いふ
初兎
いふ
断られるのは目に見えてたから 冗談で誤魔化そうとしたのに…
初兎
どうやら…俺の恋は 叶ってしまったようです…
初兎
初兎はまた何か隠すように 濁った笑顔をしていた
初兎と俺が付き合ったという 噂は瞬く間に広まった
ㅤㅤ
いふ
さっきからずっと質問攻め 正直めんどくさい
ㅤㅤ
初兎
初兎の方も大変そうだ
初兎
初兎と目が合う
凄く助けて欲しそうな 目をしている
いふ
ちょっと無視すると 頬をぷくっと膨らませていた
いふ
いふ
初兎
いふ
可愛さに負けて教室から連れ出す
女子からブーイングを食らったが 全く気にしていなかった
初兎
肩の力が抜けたのか 少し口調が荒くなっている
いふ
いふ
初兎
いふ
鞄を取りに教室に戻ろうとした
しかし、袖をクイッと 引っ張られて止められる
いふ
いふ
初兎
初兎
いふ
わざとらしく顔を赤らめる初兎
俺はそっと頭を撫でた
いふ
少し崩れた髪の下は ニヤッと笑っていた
いふ
初兎
初兎
いふ
初兎
初兎
色気のある目で見られ 喉を鳴らす
いふ
少しイタズラしてみた
でも、初兎は
初兎
あの笑顔を俺に向けた
初兎
初兎
俺の頬に手がのびてくる
ドサッ
咄嗟にその手を掴んで押し倒した
初兎
いふ
初兎は戸惑った顔をしたが
初兎
すぐにあの笑顔を作った
違う…
違う!!
俺が見たいのは その笑顔じゃない…
いふ
俺は怒りをぶつけるように
濁った白に 濃いアイを彫った
初兎
おかしい…おかしい…!!
計画通りに進んでいたはずなのに
いふ
色々と大丈夫じゃない
初兎
頭とは裏腹に 言うことを聞かない口
ふと、窓の外が目に入った
少し濁った曇り空が 藍色がかっていた
まろちゃんは会った時から 何か違った
いふ
初めての会話がこれだよww
思えば…ここからまろちゃんを 気にしていたのかもしれない
僕は "黙っていたらモテる人" だった
だからニコニコして優しくして 自分を偽っていた
キャラじゃない雰囲気を作って 自分の周りに堀を作って 罠を仕掛けた
もっと僕に興味をもって 本当の僕を知ってもらえるように
初兎
偽りの笑顔で過ごした
でも…
ㅤㅤ
ㅤㅤ
やっぱりみんな偽りの所しか 見てくれない
いふ
いふ
まろちゃんだけだ 僕を見てくれてるのは
罠に…はまってくれたのは
みんなの前ではいい子ちゃんで
まろちゃんの前では 悪い子で
いふ
まろちゃんは 否定も何もしなかった
どんどん…俺の堀に 罠に…はまってくれた
まろちゃんに告白された日
正直付き合う気はなかった
でも
いふ
僕のどこが好きだとか そんな口だけの事は 何も言わなかった
それが嬉しくて 受け入れた
受け入れて…しまった
計画は順調だった
まろちゃんを完璧に 罠に落とすために
初兎
わざとらしく甘い声で 恥ずかしそうに言う
返事は…帰ってこなかった
代わりに頭を撫でられる まろちゃんは 悲しそうな顔をしていた
初兎
僕は…バレないように笑った
そして僕がまろちゃんを落とす…
はずだったのに…
結局その日堕ちたのは 僕の方だった
いふ
初兎
初兎
いふ
いふ
初兎
いふ
いふ
まろちゃんの、背中には 猫に引っ掻かれたような 跡があった
初兎
初兎
初兎
いふ
いふ
初兎
初兎
いふ
初兎
いふ
いふ
初兎
思えば 忘れていたのかもしれない
いつも濁ったような笑顔を 作っていたから
笑い方をすっかり忘れていた
いふ
そっちの方がええんちゃう?ww
初兎
まろちゃんがふわっと笑った
僕も初めて見た きっと本物であろう まろちゃんの優しい笑顔
そっか…そうだったんだ
初兎
罠にはまっていたのは 僕の方だったんだ
僕に アイボリーにつけられた 濃いアイをそっと触る
まろちゃんの優しい罠に 愛しい藍に
深く溺れていった