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なおくん (主)
なおくん (主)
5月下旬。 気温が段々と上がり 夏が近づいてくるこの時期。
俺__ 黒沢 うりは
サッカー部の中学最後の大会で、 試合の真っ最中だった。
うり
敵チームの選手達に囲まれそうになっているチームメイトに呼びかける。
それに気づいた彼__ 白宮 ヒロは ( ハクミヤ ヒロ ) すぐにこっちにボールを蹴り出した。
ヒロ
うり
綺麗なグラウンダーのボールが足元にピタリと収まる。
ここから一気に攻めたいところだが、 次に敵チームはあっという間に 俺を囲んできた。
敵チームの人
直後、囲んできた選手たちの 1人が指示を出す。
なかなか酷いことを言ってくれる。 まぁ、合ってるんだけど……。
うり
スコアは1-1の同点。 試合時間はもう延長戦に突入して、 後半のロスタイムに入っている。
たぶん残りは二分くらい。 ここで時間を使わされると PK戦に突入か……。
うちはあんまりPKって 得意じゃないんだよなぁ。 ってなると、うちとしてはここで絶対に得点しないといけないわけで……。
のあ
不意に女子の声援が聞こえてくる。 『りう』っていうのは、 俺のニックネームだ。
周りは選手の指示やサッカーコートを駆ける足音でうるさいはずなのに、 彼女の声だけは不思議と はっきり耳に入った。 ……頑張ってみるか。
唯月(イツキ)
声がした方を見ると、 うちのチームのキャプテンであり、 エースストライカーであり、 俺の親友__ 星乃 唯月が ( ホシノ イツキ ) 手を挙げて呼んでいる。
敵チームの人
さっき俺のことをバカにした選手が再度指示を出すと、囲んでいた選手たちが一気にボールを奪いにくる。
俺が見くびられて、 唯月が警戒される。 何度も見た光景で、いつもの光景だ。
うり
名前を呼んだあと、 囲まれていた俺は真正面からボールを取ろうと足を出してきた選手に対して、真っすぐにボールを蹴り出した。
相手は一瞬戸惑った表情を見せるが、ボールは綺麗に相手の股の下を通って唯月の下へ。
唯月(イツキ)
うり
エールを送ると、 ボールを受け取った唯月は 物凄い速さでドリブルしていく。
敵チームの人
俺の目の前にいる選手が 慌てたように指示を出す。 直後、容赦なく前線を進む唯月の前に、敵チームの選手たちが立ち塞がった。 人数は三人。 普通ならパスを出す場面だけど…… 唯月は違った。
敵チームの人
1人目は単純なスピードで抜き、
敵チームの人
敵チームの人
二人目と三人目は巧みなフェイントを駆使してあっという間に抜いた。 さすがボールを持たせたら 最強のうちのエースだ。
敵チームの人
相手のディフェンスが 全て抜かれたせいで、 唯月の前に残っているのはキーパーのみ。 キーパーは唯月のシュートコースを、塞ごうと思い切って前に出てくる。 それはたぶん悪い判断じゃない。
ただ相手の動きを見た唯月は優しくボールを蹴り出した。ボールはふわりと浮き上がり、キーパーの頭上を通過。 美しい弧を描いて、 そのままゴールへ吸い込まれた。
唯月(イツキ)
唯月は控えめな声と一緒に ガッツポーズをする。 もっと喜べばいいのに、と思うが、 いつも彼はあんな感じだ。
チームメイト
チームメイト
チームメイトたちが勝ち越しのゴールを決めた唯月を賞賛する。 残り時間はもう一分もない。 気を抜かなければおそらく俺たちの 勝ちだろう。
唯月(イツキ)
唯月がこっちに向かってグッドサインを出している。チームメイトが誰一人として俺のことなんて口にしない中、彼だけがそうやって称えてくれた。 これもいつものことだ。
うり
俺の言葉に、 唯月は手を挙げて応えた。
そして、俺たちは 残りの一分を危なげなく守り抜いて 試合に勝利した。
これで都大会の決勝に進出。 念願の全国大会まで あと一勝にまで迫ったのだった。
なおくん (主)
なおくん (主)
なおくん (主)
次 ⤿ ♥ 200 ~
コメント
1件
これ見てから忘れた頃に『シェーマ』見て、『あれ?この最初のところ、なんか見た事ある気がするような...しないような...』って感じになりました!w