「 先生が好きだよ。 」
蒼
その言葉は 確かに告白だった
悟
蒼
いやもう、訳がわからん
蒼
悟
口から出た名前が 本人によって遮られる
彼の大きな手が 私の口を覆った
悟
悟
悟
蒼
悟
蒼
蒼
蒼
口を覆った手が 離れた時
綺麗な蒼と 視線がかち合う
宝石の様に 輝き続けるそれを
何秒私は 見つめているのだろう
悟
蒼
蒼
私の名前を呼ぶ 悟の声が
甘く響いて 脳を刺激する
どこで覚えてくんだッ こんな事!
悟
蒼
後頭部に添えられた手が やけに大きい
何時の間にか 腰にまわった腕も
全てが熱を帯びている
蒼
逃げる程 角度が変わる彼の唇は
私を決して 逃しはしない
それが 心地良いなんて
そう思ってしまうのは
脳に酸素が 回らないからからだろう
悟
蒼
ゆっくりと 其れが離された時には
もう全身が 熱を帯びていた
蒼
本当に 私は馬鹿だ
この男を "態と"突き飛ばさなかったなんて
悟 side
先生の唇は 甘くて少し煙草の味がした
蒼
そう言う彼女は 頬を少し赤く染めていて
触れると とても熱を帯びていた
悟
頬を撫で乍 彼女の顔を覗き込む
蒼
悟
悟
蒼
蒼
少しでも 意識してくれたことが嬉しくて
俺は万遍の笑みを見せた
悟
悟
聞こえた声色に 自分でも驚く
それは 酷く甘いものだったから
蒼
蒼
悟
悟
俺は御前だから
こんなに愛おしく感じるんだ
蒼
蒼
蒼
蒼
悟
悟
蒼
蒼
蒼
煽る様にそう言う 彼女は
意地悪い顔をしていた
悟
そんな彼女の 頭を撫でると
驚いた顔をして 目線を此方に向けた
悟
その発言に 彼女が石の様に固まったのは
言うまでも無いだろう
悟
悟
手を振り 保健室を去る
蒼
勿論先生がこんなことを 呟いていたなんて
俺は知らない
あれから二週間後
先生がロスに 行く日がやってきた
蒼
硝子
傑
蒼
蒼
仁
甚爾
甚爾
蒼
蒼
蒼
呆れたように 笑う先生は
何故か とても嬉しそうにしていた
蒼
蒼
悟
悟
俺は先生の 顎に手を添えて
唇を撫でた
悟
蒼
( ピーンポーンパーンポーン
丁度アナウンスが鳴り
俺は先生の背中を 押した
悟
蒼
蒼
悟
さっきまで 感じなかったのに
寂しいという感情は 突然襲ってくる
蒼
悟
言葉の続きは 彼女の唇に奪われた
蒼
蒼
そんな爆弾発言を残し
彼女は スタスタと乗り場に行ってしまった
傑
硝子
仁
甚爾
甚爾
悟
彼女は知らない
これから俺が 質問攻めにあうことも
教師になろうと決意することも
今俺の顔が 林檎の様に火照っていることも
呑気な彼女は 知らない
でもそれでいい
悟
悟
だってこんなにも 御前が愛おしいんだから
六年後
ある居酒屋
傑
硝子
悟
傑
硝子
悟
悟
悟
悟
悟
「 え君誰? 」
悟
傑
硝子
悟
悟
悟
悟
硝子
硝子
傑
悟
硝子
傑
傑
悟
悟
悟
傑
悟
傑
傑
硝子
悟
悟
頭上から聞こえたのは あの日のアルト
蒼
蒼
悟
硝子
傑
蒼
蒼
硝子
蒼
蒼
蒼
目の前を彼女の細くて嫋かな指が 左右に動く
頬を常られて 彼女が本物だと分かった
悟
蒼
蒼
蒼
悟
蒼
蒼
硝子
傑
店を出た後 近くの桜の木の下で
感動の再会を果たす
悟
悟
蒼
蒼
蒼
悟
本当にあの同期たちは 痛いことをしてくれる
悟
蒼
悟
悟
悟
告白するつもりだったのに
悟
蒼
蒼
蒼 side
「 悟に会えただけで十分だけど。 」
そんな私の言葉に サングラスの奥にある瞳が丸くなる
蒼
会えたのは ビデオ通話だけ
お互いの声も表情も 曖昧な儘で
過ごしたこの六年間
蒼
蒼
自分がかなり 寂しがり屋だということに
気付かされた六年間
悟
悟
教師を目指すという夢を 突き進んでいる
この男の六年間を
私は知らない
蒼
蒼
でもそれでいい
悟
蒼
だってその六年間より
悟
「 付き合って下さい。 」
この瞬間の方が 私にとっての宝物だから
蒼
蒼
自然に繋がった唇に 想いを寄せていると
彼はこんな言葉を 口に出す
悟
蒼
蒼
煙草も春も卒業した
だって私は
蒼
"キミ"だけで十分だから
悟
彼の緩んだ 顔を見つめたまま
私はまた顔を近づけた
この想いの 始まりはきっと
煙草と春とキミのセイ
𝑭𝒊𝒏.
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