コンコン…
ドアをノックする音が、廊下に静かに響く
no
はい?
no
あぁ、もふくんでしたか
no
どうぞ
mf
あ、お邪魔しまーす…
入室を促され、言葉に甘えてなお兄の部屋に入る
mf
ねぇ、なお兄
no
はい、なんでしょう
mf
死ぬのってさ、病気?
no
いえ、寿命ですね
mf
え?なお兄まだ20代だよね?なのに
no
実は、寿命に年齢は関係ないんです
no
僕の場合、たまたまそれが早かっただけですよ
mf
へぇ…
no
運、悪いですねぇ、僕
mf
…それなら、俺も悪いよ
mf
なお兄と出会って、なお兄のこと好きになっちゃったんだし
mf
好きな人と一緒にいれないのは、なによりも辛い
no
そう、ですね
沈黙
no
僕、やっぱり死にたくないなぁ
その沈黙を破ったのは、なお兄だった
no
リーダーはいい人だし、副リーダーは面白いし、クッキーさんは料理上手だし、ななちきくんはゲーマーだし、きつねさんはかわいいし、カエルさんはゆるいし、ギターさんは多才だし、チョコさんはかっこいいし、羊くんは王子様だし、麦芽さんは無邪気だし…………
no
もふくんとっ…離れたくない、しっ…
mf
っ……
なお兄の声が、徐々に震えていく
no
……でも、しょうがないですよね
no
過去も未来も、変えようがないですし
no
ましてや寿命だなんて、そんなもの
no
あはっ……
mf
……
mf
そう、なのかも、ね
その夜、俺はなお兄の部屋に泊まった
no
今度、二人で旅行とか行きたいですねぇ
mf
……そう、だね
わざとそう言ってるのがわかって、辛くなる
mf
明日さ、またあの草原に行かない?
no
!
no
そうですね、行きましょうか
来もしない「明日」
少しでも気を紛らわそうとして
no
おやすみなさい、もふくん
俺には、その「おやすみなさい」が
「さようなら」に聞こえた
mf
……うん…おやすみ、なお兄
mf
ん…
目を開けると、白と青で飾られた天井が目に入る
すぐに、なお兄に視線を向けた
no
……
死んでいるかのように眠る彼
いや、違う
本当に死んでいるんだ
そっと、その真っ白な頬に手を伸ばす
冷たかった
mf
あ……あ、あぁ……
意味のない言葉が口から漏れる
俺は、彼の……美しい、芸術品のような死体を抱きしめ
声も出せずに泣き続けた