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ナマエ
呪術高専東京校の食堂はそこそこ賑わっていた。 学生は数える程しか在籍していないが、高専に勤務する補助監督、校内の清掃や一般科目の教師を務める窓など、関係者を含めれば小さな会社くらいの人数にはなる。 ただ、特殊な業務内容故、全員の昼休憩が重なることはあまり無い。補助監督である私も日々の休憩時間はばらばらで、今日は伊地知さんの計らいもあり12時半からという比較的早めの昼休憩を取ることになった。
ナマエ
食券機の前で胃を揉みながら午前を振り返る。今度の除霊案件にあたって必要な書類を市役所へ提出するはずだったのだが、記載漏れがあることが判明、今のタスクを終わらせた後で修正しようと机の端に置いたが最後、どんどん積まれるその他の業務に埋もれてしまい、ついに提出期限を越えてしまったのだった。
ナマエ
伊地知さんの助けでなんとか危機は乗り越えたものの、入社以降初めての大きなミスの余韻は消えることを知らず。そんな私の顔色を見てか、早めの昼休憩に投げ出されたというわけだった。
ナマエ
レトロな食券機のボタンを押し、カウンター越しに調理場の職員さんへ券を渡す。恰幅のいいおばちゃんは勤務歴が長いようで、たまにあの五条悟とも世間話をしているのを見かける。私だったら恐れ多くて無理だ。五条悟といえば御三家のひとつ、五条家の当主。なんの気まぐれか分からないが高専の教師も務めており、私のようなちょっと呪霊が見えるだけのほぼ一般人にとっては雲の上の存在。言うなればアイドル、というよりは総理大臣とか、国のお偉いさんのような立ち位置に近い。髪色は韓国アイドルみたいだけど。
そんなことを考えているうちに注文したものが出来上がったようで、カウンターにどかっと置かれたトレイの上の定食からは出来たての湯気が立ちのぼる。私はおばちゃんにお礼を言いながらそれを受け取り、テーブルへと移動した。
虎杖 悠仁
熱々のとんかつを無心で頬張っていると、不意に声をかけられた。慌てて口の中のものを嚥下し水を飲んで、口元を手で隠しながら応える。
ナマエ
虎杖 悠仁
伏黒 恵
釘崎 野薔薇
ナマエ
やって来たのは一年の悠仁くん、恵くん、野薔薇ちゃん。私の研修中、三人の任務の送迎に同行してからというもの、見かけると挨拶してくれるようになったとてもいい子たちだ。いつも三人で行動している仲良しさんで、その気の置けないやり取りはいつ見ても楽しいし、可愛い。学生時代、人には見えないものが見えるという点で不気味がられ、あまり友達の出来なかった私にとってはとても眩しくもあった。 私の横に野薔薇ちゃん、前に悠仁くん、その隣に恵くんが座った。
虎杖 悠仁
釘崎 野薔薇
伏黒 恵
釘崎 野薔薇
虎杖 悠仁
ナマエ
虎杖 悠仁
伏黒 恵
釘崎 野薔薇
虎杖 悠仁
釘崎 野薔薇
なんて賑やかなんだろう。切り替えると決めたものの、未だに雲で覆われていた私の心に陽が差すようだ。疲弊した社会人の身体に若者のエネルギーがすっと浸透していく。もちろん食堂のおばちゃん特製のとんかつも美味しいけれど、この三人からしか得られない栄養があるのだ。
ナマエ
しばらく歓談が続き、ふと時計を見ると昼休憩も終わりが迫っていた。残りの味噌汁を流し込み、テーブル脇のナプキンで口を拭いて席を立つ。
ナマエ
釘崎 野薔薇
ナマエ
伏黒 恵
ナマエ
虎杖 悠仁
ナマエ
差し出した手に渡されたのは、小さなミルクチョコレートだった。キャンディのように包んである、ころんとした愛らしいそれを、なんだろう、と思って悠仁くんの方を見ると、屈託ない笑顔で親指を立てている。
虎杖 悠仁
釘崎 野薔薇
虎杖 悠仁
ナマエ
一回りとは言わないが。10歳近く離れた子供たちに己の不調を悟られ、あまつさえ気を遣わせてしまったこと、その混じり気の無い優しさに鼻の奥がつんと熱くなる。せめてこんな公衆の面前で醜態を晒さないように、鼻をすすって涙をこらえた。
伏黒 恵
ナマエ
虎杖 悠仁
ナマエ
釘崎 野薔薇
虎杖 悠仁
伏黒 恵
ナマエ
空の食器が乗ったトレイを持って返却口へ向かう。ごちそうさまでした、と声を掛けるとおばちゃんが笑顔でお粗末さま、と応じてくれた。 さて、職場までの道中で午後のタスクを整理しなくては。まずは伊地知さんにお礼を言って、次の現場の資料作成に各種手続きのリストアップ、車の手配にエトセトラ。やることは山積みだ。伸びをして深呼吸をひとつ。行きより軽い足取りで一歩を踏み出した。