相澤桜子
(!?…何で、居場所だけじゃなくて会話の内容まで…)
一条翡翠
『何で知ってるの』って顔してるね
相澤桜子
…ッ
一条翡翠
GPSと盗聴機、桜子の鞄に仕込んだから
相澤桜子
なっ…
相澤桜子
や、やめてよ…ッ!ひどい…ッ、信じられない…
一条翡翠
酷いのはそっちだろッ!
相澤桜子
ひッ…
突然の大きな声に体がすくんでしまう
一条翡翠
何アイツにそそのかされて別れようとしてんの…ッ!?
腕を掴む手に更に力が入る
相澤桜子
(う、痛…ッ!)
一条翡翠
…ねぇ、別れるなんて嘘だよね?
一条翡翠
俺のこと好きだもんね?
相澤桜子
……ッ、、
一条翡翠
…、無視すんなよ頷くだけだろ簡単だろうがぁッ!!
相澤桜子
…ッい、や…
一条翡翠
…は?
相澤桜子
(怖い…怖いけど)
相澤桜子
(ちゃんと言わなきゃ…ッ!)
相澤桜子
わ、私…、は、
相澤桜子
翡翠のこと…絶対、好きになれない…
どうかもう、解放して…
相澤桜子
…私と別れて
一条翡翠
……ッ!
長い睫毛の切れ長の瞳が大きく見開かれる
一条翡翠
な、んで…
一条翡翠
俺は…、こんなにも桜子のこと愛して…ッ!
相澤桜子
私は…嫌いだよ、翡翠のこと
あの日からずっと…
一条翡翠
…ぁ、、
ポタッ…
その瞬間、翡翠に掴まれた自分の手に水滴が落ちた。
相澤桜子
(え…?)
一条翡翠
う…ッ、や、だ…ッ
彼の声は震えていた
一条翡翠
…俺にッは、桜子しか、いないのに……
一条翡翠
嫌い、なんて…うっ、言わないで…
相澤桜子
(うそ…)
相澤桜子
(翡翠が、泣いてる…?)
私は予想外の反応に戸惑ってしまった
相澤桜子
…えっ?!、えっと…
相澤桜子
(まさか、こんなことになるなんて…)
一条翡翠
うっ…、あぁ…ッ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ、嫌だよ…うっ…ッ
そう言ってすがるように私に抱きついてきた
相澤桜子
(…!)
相澤桜子
(…震えている)
彼に今までのような威圧感はなく、まるで不安で泣いてる小さな子供のようだった
一条翡翠
俺を…拒絶、しないで…
一条翡翠
捨てないでよ…