鯨
鯨
鯨
鯨
鯨
鯨
注意 nmmnです。 黒桃♀です。 地雷様、夢女子様はお戻り 頂けたら幸いです。 御本人様方に関係は一切御座いません。 なんでも大丈夫な方のみで お願い致します。
nmmnへの理解が得られない方のご閲覧も控えて頂くよう、 よろしくお願いいたします。
ふわりと、何かに包まれるような感覚で 目が覚める。
ゆっくりと浮上する意識が、 自分の身体の外と内を彷徨って。
ふわふわとした意識の中、 隣で寝ているあにきを起こさないように 身体を起こした。
♀
流石にキャミソール一枚では 日本の冬の夜は寒い。
ドアの隙間から入ってくる冷気が 肩を撫で、背中を撫で、 そして足に届く前に毛布の隙間を 手で抑える。
数時間前、寝る直前に投げた シープボアの部屋着はどこだろうか。
♀
指がもう冷たいよ。
だいぶ足元の方にあったそれを羽織り、 ベットサイドテーブルの上を弄る。
コツンと当たった硬い物。
これは灰皿。
それのすぐ横にあったスマホを取って 時間を確認。
♀
良い感じに覚醒した頭は 別に時間を確認したところで 次にすることは変わらない事に気付く。
♀
ベットから足を下ろすとフローリングの 冷たさが足を刺す。
♀
流石にこの季節にショートパンツは反省。
明日からはもこもこにしよう。
なんて決意したところで きっと、明日の夜には忘れてるだろうな、 なんてどこか他人事のように思う。
灰皿と、スマホと、それから煙草。
それだけ持って静かに部屋を出た。
カチリ、
深夜のベランダに響く 小気味良い音と共に青白い炎が 手の中に咲く。
咥えたセブンスターに火を灯せば、 身体に悪いものの出来上がり。
♀
一口吸って吐けば 冷たい風が吹きつける。
中途半端な長さの痛みきった自分の髪が 頬に当たって痛い。
染めた当初はあにきも苦笑する程だった どピンクは、 今では色が落ちてブリーチ直後と 変わらない色味をしている。
♀
なんて言いながらもう一口。
♀
次は何色が良いだろう。
またどピンクにしたら、 あにきはまた呆れたような、 それでもどこか嬉しそうな顔をして 頭を撫でてくれるだろうか。
自分よりも一回り、二回り近く大きく、 骨ばっている、あの力強い手で、
不器用な程に優しく、 撫でてくれるだろうか。
そうだったら良いな、 そう思いながら風でずり落ちた上着を 肩にかけ直す。
ぼうっとした煙草の煙は 風に揺られ、するりと手から抜け、 階下へ落ちていった。
灰皿をたぐり寄せ一度灰を落とす。
小さく、赤く、繊細な光は美しいと、 何度見ても思う。
視線を遠くにやれば、 深夜2時半とは言え、 まだまだ多くの建物に光が灯っていた。
煙草の火とは対象的な光。
白く輝くそれらは爛々と、 何かを受け止めるように 揺れることなくそこにある。
このままあの光に飛び込んでも、 きっと当然のように 羽を与えてくれるのだろう。
手を伸ばしても掴めない何かを 与えてくれるような、 そんな柄にもないファンタジーを 想像していた。
♀
そっと室外機に腰掛ける。
あにきに見られたら怒られるなぁ、
ていうかめっちゃ砂埃やばいだろうな。
あーあ、このままベット戻れないな、
このまま朝までこうしてよっかな
流石に寒いな、
纏まらない独り言が頭を渦巻く。
ぜんぶぜんぶ まあいっかで済ませようとした時、 室内からベランダに続く窓が開いた。
♀
呆れたような声を出しながらも彼は 毛布片手にベランダに出てきてくれた。
それに合わせて自分も立ち上がる。
あたしを見るなり毛布を広げ、 後ろから包みこんでくれた彼に大人しく捕まっておく。
♀
布団に当たらないようにと 煙草を持つ手を伸ばしたところで 彼に奪われる。
♀
♀
拗ねるように腕にしがみつくが 彼は構わず煙草を咥える。
咥えて、離して、一つ息を吐く。
その仕草一つ一つが どこか自分と似ているような気がした。
♀
♀
俺の嫁
自分はつくづくその言葉に弱い。
♀
♀
♀
重量でずり落ちた毛布を肩に掛け直し、 窓をくぐった。
温めた赤ワインに 少しのシナモンと、はちみつを入れた マグカップを2つ持ってくると ちょうどあにきがベランダから 戻ってきた。
続けて小皿に入ったビターチョコを運ぶ。
♀
灰皿片手にゆっくりとソファーに腰掛けたあにきの隣にお邪魔すると セブンスター独特の重く、それでいてすっきりとした甘い匂いが漂ってきた。
自分も同じ匂いなんだろうな、と どこか多幸感を感じる。
あにきがカップを口に運ぶ。
♀
そう言いながら自分も一口飲む。
お、今日は上手くいった。
続いて小皿のチョコを一つ口に入れる。
口の中、 甘い甘いとほろ苦い。
それを 「俺らみたいだ。」 とあにきが言っていたのは まだ同棲したての頃だ。
甘いのとほろ苦いのが とろとろ溶けて混ざり合う。
それでいて、お互いが分けられなくなる程混ざり合うことは無い。
あの時は分からなかった 「俺らみたいだ。」 が少しだけ、分かった気がした。
あにきがマグカップを 覗き込みながら呟く。
彼の長い髪がカーテンから漏れる灯りに 照らされて煌めく。
さらりと肩にかかる髪は あたしよりも長い。
それでいてきちんと手入れされた 髪を撫でる。
こちらを向いた彼に微笑みかけながら 毛先の黄金色に一つ、キスを落とした。
呆れたように 眉を垂れさせながら笑っていても、 手はしっかりあたしの腰に回っている。
それに従うように身体を寄せると、 どちらかともなく軽いキスをした。
♀
♀
口に出してから、間違いに気付く。
♀
言われた通りあにきの膝の上に跨ると、 羽織っていた毛布を肩に 掛け直してくれる。
そのままふわりと あたしの髪を撫でながら微笑んだ。
♀
♀
当然の如くそう返したあたしのお腹に 抱きついてくる彼。
安堵の溜息が小さく聞こえた気がした。
♀
ぜんぶ俺の好きなないこだから。
そう小さく付け足したあにきの声は いつも通り優しく、 全てを包みこんでくれるような 雰囲気を纏っていた。
♀
♀
♀
視界の端にちらりと映る自らの髪を弄る。
♀
♀
どピンクで。
入店早々いつもの美容師さんに そう告げると、 迷う余地もなく、目が痛い程のどピンクに仕上げられた。
何度見ても真新しい、というべきか、 ペンキを被ったようなピンクには 慣れない。
玄関ドアを前に足踏みを繰り返す。
あにきなら、絶対に褒めてくれる。
そう確信があるのに緊張するのは、 きっと深夜のプロポーズのせいだ。
会いたい、見せたい、と、恥ずかしい がぐちゃぐちゃに襲う。
そろりと鍵を手に取る。
遅かれ早かれ、絶対に見られるのだ。
異様に力の入った手で玄関ドアを開いた。
♀
♀
後ろ手にドアの鍵を閉めると、 リビングの方からあにきが顔を出した。
♀
ふふふ、と笑いながら 靴を履いたままのあたしの髪を撫でる。
♀
♀
やっぱり。 心配する必要なんてなかった。
安心して靴を脱ごうとすると、 片手で制止された。
♀
彼の左手には深い青色のリングケースが 握られている。
すっと一瞬頭が真っ白になり、 戸惑う間もなく脳裏に、 深夜のプロポーズが浮き上がる。
思わず彼の顔と 差し出された手を見比べる。
眉を下げて、困ったように、 それでも固い決意が見える表情で 差し出された手は震えている。
差し出された彼の右手に自身の左手を ゆっくりと重ねる。
スローモーションかのように ゆっくりとした動きにも関わらず、 彼はあたしの手が完全に重なるまで 待っていてくれた。
そう言いながら彼はリングケースから そっと取り出したゴールドピンクの 指輪を見せてくれる。
♀
彼の長く、細い指がゆっくり薬指を伝う。
輝く、細いリングが指の付け根に着く。
彼の目が一瞬細められたのを見て思わず、彼の左手を掴んだ。
♀
渡されたリングケースからそっと、 自分のより一回り大きい指輪を取り出す。
こんなにも緊張するだなんて 思ってなかった。
するりと彼の左手の薬指が それを迎えいれる。
ぴたりと嵌ったそれが、 世界で一番価値あるものに思えた。
そっと彼の手を解放すると、 その瞬間、
♀
身体がふわりと浮いた。
彼の筋肉質な腕が、 あたしを抱き上げている。
重いよ、とか、玄関狭いから、 なんて野暮なこと言う前に あにきはあたしを抱き上げたまま、 くるりとその場で一回転した。
今にも泣きそうな顔をしているあにき。
抱き上げられた事により いつもより随分下にある彼の顔。
彼の唇に引き寄せられるように キスを落とした。
世界一、幸せなキスだった。
♀
♀
あ、と小さく声が漏れる。
婚姻届。
本当に、結婚出来るんだ。
胸を張って、あにきのことを 「自分の旦那だ」って。
これからは言えるんだ。
♀
彼の首に手を回す。
肩に顔を埋めると、 相変わらずセブンスターの香りが鼻腔を くすぐる。
急にそれが恥ずかしくなって、 小さく下ろして、と呟く。
♀
♀
♀
彼のそんなかっこいい言葉に微笑み、 靴箱の上に置いてあった二つ折りの紙と、ペンに手を伸ばす。
ゆっくりと紙を開くと、 左側に書かれたあにきの名前。
証人の欄には、あいつらの名前。
緊張しているのか、 少し震えた字に笑みが溢れた。
目を閉じ、 深呼吸をしてからペンを手に取る。
靴も脱がずに、靴箱を机にして、 漏れの無いように、 丁寧に記入していく。
最後の印鑑の欄になって、 ずっと静かに見守っていたあにきが、 ふっと口を開いた。
♀
♀
♀
零れそうになる涙を堪え、 朱を押す。
ぐっと力を入れ、手を離す。
真っ赤に咲いたその光は、 何よりも何よりも、美しかった。
コメント
3件
ごめんなさい今気付きました! 沢山の♥ありがとうございます!🙇♥1000行ったの過去1早かったのでめっちゃ驚いてます✨️多くの方々の目に留まることができて光栄です!!
えちょっと待って好き。 え、かっこいい感じと可愛い感じがいい感じに混ざってるこのペアほんといいな︎🫶💕 旦那さんと同じタバコを吸うのが夢だったりしたのかしら…🤔💭 赤ちゃん産むために一緒に喫煙するの優男すぎて泣けてきた。 桃さんだけっていう選択肢もあったかもなのに、一緒に…尊いね🤦🏻♀️ 💞 お久しぶりの投稿めちゃめちゃニヤニヤしながら読ませて頂きました😇