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君が僕の視界に映らなくなってから

この世界は

_____灰色と化した

初夏、涼しい風が吹いていた

ふわりと靡いた君のスカート。

見えそうで見えないこのもどかしさ。

いやいや、何を考えているんだ俺は。

ゆっくりと振り返った君は、とても上品で、端正な笑みを浮かべる。

ひらひら揺れる胸元のリボン。

誰がどう見ても、「綺麗」と言う言葉しか浮かばないだろう

ただ、彼女の境遇を知って、痛い程その現場を見て、それを見ぬ振りをしてでもそれは言えるだろうか

…ねぇ、今日はどこまで連れて行ってくれるの?

裸足で、いくつかの傷を露にした足で、じたばたと地面をふむ。

どうせなら、誰にも追いつけないような、そんな遠いところに行こうよ。

まるでバンドの歌詞を引用したようなそのフレーズも、彼女が言うとしっくりくる。

彼女にとっては、傍迷惑だろうが。

ひんやりと冷たい、小さく骨の少し出た手を握る。

一直線に進んで行く。

誰にも追いつけないような所___

ふと思い浮かんだ情景。そこを目指す。

ほら、ここなら大丈夫だよ。

君を傷つける人も、馬鹿にする人もいない

そう言うと、彼女はまたあの笑みを浮かべて、

あ り が と う

優しい声でそう言った

行き着いた先には何も無かった

俺の前に現れた彼女は、そのような顔をしていた。

今息をしているだけで私は幸せです

僕の問いかけに、君はにこりと笑って言った。

痣だらけで、傷だらけで

それでも必死に生きようとしている彼女に、人目見て惹かれた。

私、理解者が居ないのが辛かったの

それでも、貴方に出会えて幸せだった。

絶対に忘れないよ

まるで、終わり。なんて言うように

彼女はそう発した。

目を細めて彼女は

雫を零した。

村人

…見つけたぞ。

ザッ、と足が地面に触れる音がした。

男の手には、拳銃。

その瞬間、怖い程体が震えた。

彼女の方に目を向けると、堂々と男の正面に立っている。

…ごめんなさい

どこに行ったって、意味は無いの

私にはGPSが付けられているから

ごめんなさい。騙してごめんなさい…

ぐしゃ、と地面に座り込んで、空に向かって泣く。

そんな景色を見ても、男は彼女に銃口を突きつける。

…あぁ神様、

もしも神様がこの世にいるのなら。居るのなら

彼女を…どうかお助け下さい

なんて思いも虚しく、バァン!と耳に刺さる音。

わけも分からずに森を抜けだした

うぁっ、うわぁっ、ううっ…ぁ

ぼろぼろと涙が止まらない

懸命に生きようとしていた人間の命が、今失われた。

そのことに対しての苛立ちと、自分の無力さに涙が込み上げてきた。

その瞬間、世界は灰色へと切り替わった

何にも面白みを感じなくて

何も、何も感じない

何も、楽しくない

貴方に出会えて幸せだった

絶対に忘れないよ

じわりと涙が出てきた

彼女の、最期の言葉

貴方に出会えて幸せだった

彼女にとってこの人生が幸せなら

それは僕にとっての幸せでもある

忘れないよ

それなら、僕も忘れてはいけない

深く深呼吸をして、空を見上げる

…少しだけ、色ずいて見えた

これから、君の事を思い出す度に、僕の世界に色をつけて行こう。

きっと、難しい事じゃないと思うんだ

それが、僕にとっての幸せだから。

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