テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
MARIMO
MARIMO
MARIMO
MARIMO
MARIMO
サトウ
ヒノ
MARIMO
MARIMO
午前5時。
いつもなら、クソ上司からの着信音で強制的に叩き起こされる時間だ。
サトウは泥のように重たい瞼をこじ開けた。
昨日も終電を逃し、終夜運転の電車に揺られて帰宅したのは午前3時を回っていた。
サトウ
スマホに手を伸ばす。
しかし、画面は真っ暗だった。充電は満タン。なのに、電波のアイコンの場所に『圏外』の文字。
家の中が妙に静かだった。
いつもなら外から聞こえる車の走行音も、隣の部屋の目覚まし時計の音も、何一つ聞こえない。
サトウは、ベランダの窓を開けた。
サトウ
静寂。
ただ、どこまでも冷たくて、綺麗な静寂。
通路に車は一台も走ってない。 歩道にも、駅へ向かう社畜の群れは一人もいない。
いつも、灰色に濁っている東京の空が、驚くほど澄み切った青色をしていた、
サトウは数秒、その光景を眺めていた。
そして、ゆっくりと部屋に戻り、ベットにダイブした。
サトウ
絶望なんてしなかった。
むしろ、全身を突きつけるような圧倒的な解放感に、サトウは一人でニヤニヤが止まらなかった。
※崩壊してる感じの背景なかったんでこれです。
ーーそれから数日。
サトウ
サトウは、くたびれたビジネススーツのまま、誰もいない東京の道路をトボトボと歩いていた。
ネクタイはとっくに外してポケットに突っ込み、ワイシャツのボタンも大胆に開けている。(シタニフクハキテイルヨ)
コンビニに入れば、賞味期限の長いパンやジュースが実質食べ飲み放題。
お金という概念が消えた世界は、サトウにとって楽園そのものだった。
サトウ
独り言が、誰もいない高層ビルの間に虚しく響く。冷たくて、乾いた風がサトウの髪を揺らした。
ヒノ
後ろから、よく通る、柔らかくて優しい声が聞こえた。
サトウが驚いて振り返る。
そこに立っていたのは、一人の若い男だった。
白っぽい長袖のTシャツの上に、鮮やかなオレンジ色の短いジャンパーを着ている。
その服装は、色彩を失ったモノクロ街の中で、そこだけポツンと灯った明かりのように眩しかった。
ヒノ
オレンジジャンパーの男は、顔をパッと輝かせてサトウに駆け寄ってきた。
歩きやすそうな軍隊風のブーツが、アスファルトを小気味よく叩く。
ヒノ
ヒノと名乗った男は、サトウの手をそっと握り、めちゃくちゃ心配そうに覗き込んできた。
その目は、本当に、心からサトウの身を案じている優しさに満ちていた。
サトウ
ヒノ
ヒノは困ったように眉を下げて笑った。
普段はこんなに物腰柔らかくて優しそうなのに、パワハラ上官をボコボコにしてクビになったらしい。
サトウの脳裏に、前の世界で自分を理不尽に怒鳴り散らかしてたクソ上司の顔が浮かんだ。
サトウ
ヒノ
サトウ
ヒノ
ヒノは、サトウのスーツの汚れを優しく払ってくれる。
サトウ
ヒノ
サトウ
ヒノ
ヒノはオレンジのジャンパーを揺らしながら、サトウの隣に並んだ。
サトウ
ヒノ
くたびれた黒スーツの男と、鮮やかなオレンジジャンパーの元警官。
二人の、目的地のない、ただ静かな世界を歩く旅が始まった。
MARIMO
MARIMO
MARIMO
MARIMO
MARIMO
MARIMO
#ふぉろわー様
コメント
3件
みぅ🤍🥀だよ〜 「世界が滅んだな。会社休みだ」で笑っちゃった😂 絶望じゃなくて解放感じゃん、わかる。 オレンジのジャンパーのヒノさん、優しそうで実はパワハラ上司ぶっ飛ばした元警官ってギャップやばい…好き。 静かな世界を二人で歩く感じ、すごく丁寧で映像が浮かんだよ。 続き、気になる〜!