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プロローグ
良く晴れた陽春。 今日はいつもと違った道を探検しようと山の上にあるお花畑に到着した。 そんなお花畑の中に人の形をした何かを見つけ近寄ってみると気持ち良く寝息をたてている白兎の姿があった。俺も睡眠が好きだしこういうときは何もせずその場を去るのが一番。そう思い下山しようとした。…が振り向くとなぜか彼から目が離せなくなり思わず彼の元へ戻っていた。 本当によく眠っている。しばらく起きそうにないし風邪を引くと大変だ、と思い自身の身に纏っていた羽織を彼の胴体にかぶせてその場を後にした。
意地悪な黒猫さん
みかside
どのくらい寝ていただろうか。目を覚ますと太陽は半分姿を隠していた。
みか
身を起こすと腰辺りに見知らない衣類があり頭上にクエスチョンマークが浮かんだ。野生本能で思わずその羽織のにおいを嗅いでみるとそれはそれは良い匂いで自分のものにしたいくらいだった。 しかしそうもいかないので持ち主を探そうとしたが時間が時間なので探すのは明日にすることにした。
次の日、何もせずただ呆然と持ち主を待ってみたが辺りを通る人物はなかなか居らずこの日は捜索を断念した。 その次の日も同じように待っていると突然眠気に襲われてうっかり眠りについてしまった。
_____薄く瞼を開くと日光が眩しくこちらを照らしていた。 体を起こす最中、右手に違和感を感じ恐る恐る見てみると見知らない黒髪の美人さんの手が繋がれていた。
みか
驚きで思わず声を上げてしまった。……あかーん起こしてまう…。
??
そう眠たげにこちらに声をかけてくる彼が妙に怖くて無意識に腰を引いてしまう。 彼はまだ眠いであろう重い瞼を擦りながら俺にもたれ掛かってきた。
みか
??
みか
??
てことはこの人?が俺に羽織を掛けてくれたんやね……?そこは優しいけど…なんか怖い
??
みか
??
んあぁぁバレてる!
みか
??
みか
??
みか
??
みか
??
そう俺に背を向けて去っていく彼に何も言えずただ座り込むしかない俺は、その背中を眺めながら彼の羽織をギュッと抱きしめた。
次の日、約束どおり彼は俺に会いに来た。
??
みか
??
みか
いつもならこの時間はお昼寝の時間やのにこれじゃ寝られへんやろ…。
??
特にそういった名前は無いが昔森に遊びに来た子供が俺のことをなんか呼んでた気がするな…
みか
凛月
みか
凛月
みか
凛月
みか
凛月
みか
友達……。そんな言葉初めて使われた…。こんな俺でも仲良くなりたいって思う人が居るんや。 俺は他の兎とは違って目の色が左右で違う。せやから避けられることが多く独りで過ごしてきたけど…
この猫さんは変。
兎さんの隠れ家
出会ってから数日、毎日のように顔を合わせてはお花畑の中でなにかしら遊んでいた。 しかし今日は突然の大雨に当てられ大きな木の下で雨宿りするとこにした。
凛月
みか
凛月
みか
俺のくしゃみを聞いて、すかさず凛月君が心配してくれる。それが妙に嬉しくて心がくすぐったい。凛月君から預かっている羽織を羽織っていながらも寒さは変わらないため、お互いにくっついて暖をとっている。 出会い立ての頃の俺なら考えられへんやろな。
凛月
みか
グイッ
みか
近寄れと言われたので言葉どおり近寄るとまるで最初から決めていたかのように凛月君は俺の腰を掴んでは自身の腕の中に俺を放り込んだ。
凛月
みか
人の体温が温かいのは知ってる。けど凛月君の体温は心地よく、ずっとこうしていたいとまで思ってしまうほどで俺はと言うと完全に安心しきっていた。
凛月
みか
凛月
みか
凛月
みか
凛月
みか
凛月君は飼い猫やから絶対に帰らないといけないんや…。きっと“ご主人”も凛月君もお互いが大事なんやろな。それって凄い良いことなんだろうけど…
ちょっと寂しい。
みか
さっきまで近くにあった彼の熱が、鼓動がこんなに恋しくなるなんて…。
雨上がり、今日はとてつもないほどの快晴で気温も高い。春にしては暑すぎるのでさすがにお昼寝は出来ない。
みか
いつもなら来てる頃なのに凛月君の姿がない。やっぱり昨日の雨で風邪でも引いたんかな。
みか
…もしかしてもう来ないとか…? いやいや、そんなはずはない!友達やもん、約束したし、来るに決まってる!
それから数時間が経っても彼の姿は見えなかった。諦めて隠れ家に戻ろうと体を動かした瞬間、俺の体は自然に後ろへ倒れ込んだ。
みか
ずっと同じ体勢で座っていたためか体が言うことを聞かない。どうにかして足を立たせようとしてもなかなか力が入らずまたしても座ってしまう。仕方ない。体勢を変えてもう少し待っていよう。 それにしても一週間前ぐらいまでは毎日のようにここでお昼寝をしながら独りで過ごしていたにも関わらず、今、こんなにも人肌が恋しくなるとは…。
……やばい、寂しい。
もう凛月君はここへは来ないかもしれない。二度と会えないかもしれない。
__辛い
なんで俺ってばこんなにモヤモヤしてんやろ。いつも独りだった俺が…。
__苦しい
俺にとって凛月君は……
みか
突然の衝撃。脳天を突き刺すほどの耳鳴り。呼吸が乱れて視界も朦朧としてく。 そのまま俺は横に倒れた。
みか
意識もだんだん遠くなり、無意識に悪い方の考えばかり浮かんでいく。
みか
___出会ってくれてありがとう。
____…りん ______…みか…
凛月
みか
突然の大きな声に反応して起き上がった。 ……あれ…俺…
みか
凛月
ギュッ
俺が凛月君の名を声に出すと凛月君は瞳に涙を浮かべて抱きしめてきた。あの雨の日と同じ、いや、それ以上に温かい体はとても安心できた。 それは倒れる前のあの苦しさが嘘だったかのように。
凛月
みか
凛月
みか
凛月
みか
みか
凛月
凛月君がいなくて辛かった。会いたくて仕方がなかった。
みか
どうしよう…本音が勝手に漏れて…涙まで出てきてしまう。止められない…
凛月
みか
凛月
凛月君……
凛月
みか
そ、そういうことやったんか…!?そいえば俺、待つのに必死で飲食してへんかった…! てことは凛月君が今来てなかったら本当に……
みか
凛月
みか
好きなんて初めて言われたわ…。特に深い意味は無いってわかるけど言われると恥ずかしいもんやな。
凛月
みか
宗くん(ご主人)
零さん(宗くんの同居人)
…なんなんこの状況。 凛月君に誘われて家に来てみたものの『ご主人』が二人もいて片方は全く相手にしてくれない。
凛月
宗くん(ご主人)
零さん(宗くんの同居人)
凛月
ゴスッ
零さん(宗くんの同居人)
なんか凄い賑やか(?)な家に住まわせてもらうことになったけど、
これからはずっと凛月君と一緒に居られる。
宗くん(ご主人)
凛月
最初は意地悪な黒猫さんだったけど、一緒にいたいって思うくらい優しくて格好よくて安心するし
凛月
みか
俺はもう独りやないんやね。
みか
__出会ってくれてありがとう__
ℰ𝒩𝒟