死んでも君を＿＿

ｶﾞﾁｬﾝ

いるまはいつからか素っ気なくなって、よく一人で出掛けるようになった

自分に問題があるのかと思ったから、いるまに何度も質問したが、答えてはくれなかった

挙句の果てには浮気

…何でこんな事になったんだろう

ﾄﾞｻｯ(座り込む

これが嘘であって欲しい そればかり願っていた

でもそんなはずもなく、現実はどこまでも俺に優しくはなかった

…いるまは日に日に俺に暴力を振るうようになっていった

ﾀﾞﾝｯ…！

(写真を見せる

ﾄﾞｶｯ…！(蹴

こんな生活がほぼ毎日続いた

俺は何度もいるまとちゃんと話し合おうとした

…いるまとずっと一緒に居たかったから

でも何度頑張ったって無理で

…いるまは俺を見てくれなかった

俺は人を手のひらで転がすのが好きだ

俺はとにかく周りから必要とされたくて、…だから俺を好きにさせるような言動や素振りをして、何人もの相手と付き合っている

罪悪感は無い

だって俺にとっては全員同じで、特別な存在なんて居ないから

…皆どうしてあんなにも夢中になれるものがあるのか、俺には検討もつかない

ｶﾞﾁｬ…

…いるまは俺を愛してなかった

…遊びだったんだな、俺の事

…じゃあもういいか

ｺﾞｿｺﾞｿ

いつかアイツを殺してやろうと思ってた

…その為に俺は、通販サイトから毒を買った

…アイツは勘が鋭いし、きっと物理的に殺そうとしても力で負ける

本当はこの手でねじ殺してやりたかった

…でも仕方ない

確実に殺す為には、一番危機感が薄れる”料理を食べる時”を狙った方がいい

その為に”これ”を買ったんだから

ｶﾞﾁｬ

ｶﾞﾁｬ

ﾎﾟﾀﾎﾟﾀ

…これが自分の為になる選択だ

…悲しくなんかない

いるまが居なくなったところで何も変わらない

…今までだって何ともなかった

…暴力を振るわれて、罵声を浴びせられてバカにされて、そっちの方が何倍も辛かった

大丈夫…、大丈夫

俺は間違ってない

ﾊﾟｸ…

ﾓｸﾞﾓｸﾞ…＿ｺﾞｸﾝ

立ち上がる)

ｽ…(ナイフを取り出す

ｸﾞｻ…(自分のお腹を刺す

ﾄﾞｻｯ

…結局俺はなつが一番大切だった

…なつが居なくなってから、独りじゃないのに、ずっと独りのような気がして…

俺にとってなつが、どれほど大切な存在なのか、居なくなってから気づいた

それから一年が過ぎた

今日はなつの命日

…ﾊﾟﾝﾊﾟﾝ

ﾊﾟｯ

そこには、死んだはずのなつの姿があった

ﾊﾟﾁ…

「夢じゃないよ」

ﾊﾟｯ

散々なつを独りにした癖に…

…でも俺は、なつだけ見るって決めたんだ

…なつの事だけ思い続けて、なつの為に生きていく

…それでいつか、なつに会いに行く

…居なくても居るんだよ

そこに＿＿

いつものなつの姿が…＿＿

end