「狐の窓」
というものがあるらしく。
壱、両の手で狐を作る。
弐、くろすをし耳を合わせる。
参、指を開く。
四、中心の窓から覗くべし。
このような手順で作られた窓で人を覗くと
その人の、"本当の姿"が 見えるらしい。
まあ、その人が妖怪かなにかなら、 という話ではあるけれど。
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このウワサが流れ始めたのはつい最近。
ネットでは有名らしいけど、 ここはド田舎で。
学生なんて少ないこの学校で、 初めてこのウワサが流れたのだ。
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こんなウワサも気にせず、 想いを寄せる彼は俺を神社に誘う。
別に珍しいことでは、無い。
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ニコッと笑った君の笑顔が、 なんだか不気味に見えた。
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ジェルくんはすぐ本気にしちゃう人。
いじりがいがあって、楽しくて。
でもどことなく感じる違和感が、 小さい頃から気になっていた。
学校を休みがちで、あまり来なかった。
話を聞いたら、
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なんて言う。
動物に懐かれがちで、特に 近隣に住んでいる狐とは仲が良かった。
そもそも、狐が里に降りるなんて あまり聞かない話だけど。
橙
不思議と意思疎通が出来ていて、 名前さえつけるほどだった。
色んな狐と仲が良かったから、
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って聞いてみると、
橙
橙
橙
橙
ジェルくんがちっさいって言うと、 鳴き声でその子は威嚇してきた。
ていうかじゃれているのかな?
紫
橙
橙
ジェルくんがそう聞いたら、 うなずいていた。
ネーミングセンスも、 意思疎通できていたのも、
今まで謎のままだった。
ずっと感じていた違和感を、
なんでもいいから証明したかった。
橙
紫
壱、両の手で狐をつくる。
弐、くろすをし耳を合わせる。
参、指を開く。
四……
中心の窓から……覗くべし。
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彼の姿が瞬きをした瞬間、 変わっていくのだ。
耳が生え、しっぽが九つ生え……
まるで、妖怪九尾のようだった。
紫
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ん…ぐふふ()