俺には夢という夢が無かった。
バレーはあったけど、高校で辞めるつもりだったし、バレー選手ってほど好きではなかった。
だから探した。
俺は何になりたいのか。何が好きなのか。
将来、何をしていきたいのか。
Tik〇okerだって。
お医者さんも、看護師も、歯医者さんも、サッカー選手も、野球選手も。
ピンと来なかった。
そして、ある時人気のある配信者を見ていた。
その人は凄くて。
ファンのこと考えて、質問コーナーや、たくさんのゲーム、自分の目の前はパソコンとカメラだけのはずなのに、その人の目の前にはファンが見えているようだった。
アンチコメントも居なくて、居たとしても無視。
配信者はこんなにもすごいなって思った。
クリスマスプレゼントや、誕生日プレゼントで両親に買ってもらったパソコンや色々な道具。
そして、バイト代で貯めた、ウィッグとカラコン、洋服や色々で俺は配信者になることにした。
でも、理想には届かなかった。
最初は優しい人が居た。
【可愛い】【そのゲームいいよね】とか、コメントをくれてた。
でも、時が経つにつれ、アンチコメントが増えるようになった。
【顔晒せ】【抱きてぇ】【女なんじゃね】とか。
苦しかった。
あの人は無視してたのに、俺はアンチコメントで苦しむ弱い人なんだって、実感した。
その時に助けてくれたのがネットで知り合った【コズケン】さんだった。
日向
コズケン
コズケン
コズケン
コズケン
日向
日向
コズケン
コズケン
コズケン
コズケン
コズケン
日向
日向
それでも、アンチコメントとを見てしまう。
苦しい。怖い。泣きたい。
そんな気持ちを隠して、俺はファンのために笑った。
配信をした。
そうすればファンは喜んでくれる。
笑顔で、優しいコメントを打ってくれるから。
陽那(ヒナ)
アンチ
いつからか怖いと感じるようになった【死ね】という言葉。
胸が傷んで、手や足が震える。
声が震える。
コメント
陽那(ヒナ)
助けられるコメントをもらった。
俺にはアンチコメントしかないと思ってたけど、ちゃんとファンはいるんだって。
ファンに答えるために俺はファンのみんなにはアンチコメントが見えないように設定した。
俺だけ傷つけばいい。みんなには可愛くて優しくて、笑顔の俺だけ見てもらえればいいって思ったから。
コメント
陽那(ヒナ)
アンチ
陽那(ヒナ)
ほらね。みんなには見えてなくて、俺にだけ見えてる。
俺だけ傷つけばいい。俺だけ見えてればいい。
みんなには...こんなアンチコメント見て欲しくないから。
それから頑張って、頑張って配信した。
アンチコメントを見て苦しんで、ファンのコメントを見て、嬉しくなって。
だから、喧嘩なんかして欲しくない。
他の配信者のファンが、コメントして欲しくない。
【死ね】なんて言わないで欲しい。
活動休止なんて...本当はしたくなかった。
ファンが喜んでくれるから。
ファンのために。
俺にはファンしかいない。
ファン以外...俺には何も残ってないんだから。
だから、お願い。
もうやめて。
喧嘩しないで。
コメントしないで。
お願い...やめてよ。
陽那(ヒナ)
やっちゃった。
怒っちゃった。
優しい陽那を演じるはずだったのに。
幻滅される。
ファンがいなくなる。
何も残らなくなる。
一人ぼっちになる。
嫌だな。
やっと見つけた...夢なのに。
陽那(ヒナ)
ポチッ
怖い...なぁ。
苦しい。
胸が...痛い。
日向
こんなんじゃ...配信向いてないじゃんか。
配信なんて...やめとけば良かった。
つらい...なぁ。
くるしいなぁ。
だれかだきしめてほしい。
だれかに...だきついてなきたい。
ひとりぼっちは...こわい。
だれか...ッ。
コメント
3件
ほんとに白鳩さんの作品読んでると涙腺ガバガバになる😭😭😭 続き楽しみすぎますッッッ‼️💕