赤
俺は莉犬
いや、俺…というより私…かな
体は女なんだけど自分では男だと思ってる
学校で1度間違えて"俺"って言った時
変人とかキモイとかボロくそ言われた
そこから俺に対する虐めが始まった
親?言えるわけないじゃんそんなの
親は優しいよ、愛してくれてるし
虐待を受けてる訳でもない
それでも言えないのは怖いから
親に理解して貰えなかったら俺は
もう生きていけないから
桃
赤
赤
紫
赤
お父さんは呼び捨てにするけど
お母さんはちゃん呼び
最初は嫌だったけど、
今ではもう慣れたもんだよ
平気な演技をする事に、ね
桃
紫
赤
アナウンサー
紫
アナウンサー
アナウンサー
アナウンサー
赤
付けたと同時に流れた1つのニュース
俺はそのニュースに釘付けになった
アナウンサー
アナウンサー
アナウンサー
アナウンサー
アナウンサー
奏母
奏父
アナウンサー
そうして流れた一枚の写真
遺書 学校では気持ち悪いと虐めを受け、 家ではきっと気の所為よと言われ、 誰にも理解してもらえない生活。 私は、心と体の性別が違う性同一性障害 という障害を持っています 家でも学校でも"僕"という生活 そんな生活に嫌気がさし、私は カミングアウトする事を決めました 周りを変えるには自分が変わらなければ 私は、世界を甘く見ていたようです 私は今、皆さんに問います "普通"とは一体何なのでしょう 他の人と同じ事が"普通"ですか? 誰一人として同じ人間は居ないのに、 他の人と同じ事が"普通"なのですか? 生きにくいこの世の中 そんな世界に私は終わりを告げます お父さん、お母さん。 先立つ不幸をお許し下さい 奏
写真が写り、その写真に書かれた文字を
アナウンサーが淡々と読んだ
この人、俺と同じだ
ふとそう思った
この人は理解して貰えなかったけど、
頑張って周りにカミングアウトしたんだ
最終的に"自殺"を選んだけれど、
俺はすごいと思った
その意思に感動し勇気を貰った俺は
カミングアウトする事を決意した
赤
紫
桃
赤
弱虫な俺は、ハッキリいえなかった
出来たのはこのニュースの感想を聞く事
ここで否定されたら俺は生きれない
でも、もしそうじゃなかったら?
その場合はしっかり伝えよう
そう、心に誓った
紫
紫
紫
赤
桃
桃
桃
桃
紫
桃
!!
嬉しかった
これならカミングアウト出来るかも……
そう思った
赤
桃
紫
赤
赤
紫
桃
赤
紫
取っておいで
そう言われ、俺は重い体を動かした
そして、親の横を通り過ぎる時、
桃
桃
そう言われ頭をくしゃっと撫でられた
赤
紫
紫
赤
その言葉で体が軽くなった気がした
赤
見せる物というのは診断書
俺は親に隠れて病院に通ったのだ
その時に貰った診断書
いつか見せよういつか見せようと
思ってはいたもののズルズルと引きずり
見せずに今である
赤
桃
紫
俺が戻ると
親はソファに座っていた
近くには折りたたみ式の小さなテーブル
その上にはほくほくと湯気を立てる
ホットミルクが置かれていた
桃
赤
紫
赤
怖い
反応がこわい
なんて言われるのかが怖い
俺は恐怖から咄嗟に耳を塞ぎ、
ぎゅっと目をつぶった
桃
聞こえたのはお父さんの怒りの籠った声
怖い
こわいこわいこわいこわい
やめて怒らないで
桃
赤
赤
でも、その後に背中に手が置かれた
大きくて温かい手
その手が優しく背中を摩った
桃
桃
その後に聞こえたお父さんの声は
さっきみたいに怒ってなくて
優しくて落ち着く声だった
紫
赤
紫
紫
赤
紫
紫
赤
男の子だって事と、
くん呼びされた事
そのせいで今まで耐えていた涙腺が
崩壊した
赤
赤
桃
桃
赤
俺の好きな温かくて大きな手が
背中を摩って、頭を撫でてくれて
あぁ、しばらく泣き止めないな
そう思いながらひたすら泣いた
どれだけ泣いても止まらない涙を
服の袖で何回も何回も拭った
桃
赤
紫
紫
そう言われた後体がふわっと浮いた
降ろされた場所はお母さんの膝の上
赤
紫
胸元に顔を押し付けて泣くと
お父さんとはまた違った温かい手が
俺の背中をトントンと優しく叩いた
赤
紫
赤
もしこれが夢だったらって思うと
寝るのが怖くなって眠気に抗う
紫
紫
桃
赤
紫
紫
桃
桃
桃
そう両側から交互に囁かれた
俺の大好きな、落ち着く声で
赤
そう言い残して俺は夢の世界に旅立った
親の優しい愛に包まれながら……
コメント
40件
俺もいつか自分の性別、感覚過敏、精神のこと等言える日が来るのかなぁ… (時差コメ失礼しました)
最高です 。感動しました !! ブグマ 、失礼します !!
俺もカミングアウトしたい… けど一回起立性調節障害をカミングアウトしたら信じてもらえなかったから恋愛対象も性同一性障害もないも言えないな〜w…