大嫌いなあいつと。

まるで効果音がつくかのように笑うhr

流石、入学式から噂される程のイケメンだ

俺は彼を手招きして自分の側に寄せる

こんな会話を小声なうえに早口で交わしてる俺ら

側から見たら完全に不審だ

いや、幼稚だな

どちらかと言えば子供っぽかったetさん

あんなに子犬みたいな笑顔だったのに

今は大人の女性みたいに微笑んでいる

その笑顔から溢れ出す包容力と母性

やばい、ギャップがやばい

こんなの反則だろ、

明らかに鼓動が速くなっているのが分かる

心臓が暴れすぎて胸が苦しい

いつの間にか遠くにいたetさんrnちゃん

hrと小走りで彼女達の方へ向かう

頼むから惚れずに耐えてくれ、俺

これはピンチ

2人は俺らの一歩前で盛り上がっている

どうやらhrとetさんはバスケ部らしい

一方俺は吹奏楽部

なんとも言えねぇ

　俺の学校の吹部は最初の1ヶ月だけ 学年別に練習が行われる

楽器の変更や選択もこの時期に行う

1ヶ月が経って初めて全学年合同練習がある その時に初めて他学年の顔を見ることができる

逆に1ヶ月経たないと他学年の顔が見れない

変なシステムだよな

照れ隠しのように笑う彼女

女子のこう言う所が1番可愛い

あ、やべ

etさんの表情から見るに聞かれてたか

ま、いっか

多分etさんも俺に惚れる筈だし

〜 しばらく歩いて〜

あまりにも驚いたのか声が裏返る彼女

目をぱちぱちさせながらこっちを見ている

あ~、女子のこう言うところもマジで可愛い

照れて口元を隠す彼女に追い討ちをかける

これでetさんは嫉妬したかな？

俺はハイタッチしようと言わんばかりに 右手をetさんの前に差し出す

彼女は俺の右手を凝視してたのにも関わらず

無視してそっぽを向き、帰ってった

苦笑いしながらそう言うhr

え、何を、？

やべ、今思い出したわ

『因みになんすけど、 etはチャラ男嫌いです笑』

脳内再生されるhrの声が尖って聞こえる

あぁ、すっかり忘れてたわ

ちゃんと覚えておけば良かった───。