テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
短編__『貴方の名前を呼んでいいかな.』 StaRt. 藤澤涼架side.
『死にたい』
そんな暗く、重たい一文は夜の闇によく映えた
時計を見ると、もう日付は変わろうとしていた
メッセージの送り主は、大森元貴。
いつからだろうか
元貴に鬱の様な症状が出始めたのは。
今日の昼間は、元気そのものだった
マネージャーさんとスタッフさんと談笑して
若井と僕と楽しそうにふざけ合って
レコーディングだって大きなハプニングなく終わらせた
なのに夜になると
元貴はいつも
『死にたく』なっている
ーーー
元貴の家に入ると元貴はいつもボロボロの状態で泣いている
腕を切って血が流れていたり
薬を沢山飲んで意識が飛びかけていたり
髪の毛を沢山抜いていたり
そんな状況下にいる
一昨日は薬を沢山飲んで苦しそうにしていた
昨日は自分で自分の腕を引っ掻いていた
そして今日は
腕から沢山の血を流して泣いていた
そしてやってきた僕の方を見上げる
Mtk.
Ryok.
Mtk.
Ryok.
Mtk.
元貴は鼻水を啜ると、僕の胸を弱々しく叩いた
目からは大粒の涙を流して
腕からたくさんの血を流して
元貴は僕に抱きついた
弱くて、力無い腕
僕は元貴を優しく抱きしめ返す
元貴の肌の暖かさに少しだけ安心した
元貴は何度言っても自傷行為をやめない
Ryok.
Mtk.
Ryok.
Mtk.
Ryok.
Mtk.
Mtk.
元貴はそこで言葉を切った
これ以上言うことない、と言う様に僕の胸に顔を埋める
元貴が喉を鳴らして涙を零す度に、僕に微弱な振動が伝わる
本当は僕も、若井も
沢山悩んでる
苦しくて、寂しくて、『死にたく』なってる
元貴だけじゃないんだ
『独りになる恐怖』 『居場所が無いかもしれない不安』 『ほかのアーティストへの嫉妬』
僕も若井も、それぞれ苦しんでる
僕も、消えてしまいたいって思ってる
生まれてきてから、今この瞬間まで。
僕は、いつか出会える元貴のことを探していたのかもしれない
元貴を優しく抱きしめて、涙を掬ってあげるのが、
僕の生きる使命
元貴が居場所を無くして彷徨うくらいなら
誰かが身代わりになればなんて思うんだ
僕は、心が廃れてるのかもしれない
でも、そんな僕を
元貴の側にいる数多くの人から僕を選んで
頼ってくれることがどれだけ嬉しいか
元貴が思うより僕はいくつも意気地無いのに
元貴が思うより大袈裟に僕は不甲斐無いのに
そしてこんなにも泣き虫で、弱くて
元貴の幸せのために他人の不幸を願う、最低な奴なのに
Ryok.
Mtk.
Mtk.
Ryok.
元貴は俯いて僕の胸におでこをぶつける
そしてぎゅっとしがみついた
その背中をトントンと優しく叩く
大丈夫だから、僕がいるから
絶対、独りじゃ無いんだから
もう無理に『大森元貴』を演じなくていい
一日に何曲も曲を作らなくていい
メディアに出る機会も減らしていい
もう少し、休んで
もう、頑張らなくても、いいのに
元貴の頭をそっと撫でる
ふわふわな黒髪が、僕の手に沈む
頭を撫でながら背中をポンポンと叩いていると
元貴は規則的な寝息を立てながら眠っていた
今まであんまり寝れてなかったんだろうな
止まりかけている血を拭き取り、包帯で傷口を塞ぐ
元貴をベットに運ぶ
びっくりするくらい、元貴は軽くて、
おきたら、何か食べさせてあげよう
…元貴の閉じられた鮮やかな瞼
それさえも綺麗に彩るために
僕には何ができるかな
貴方の名前を呼んでいいかな
fin.
こんにちは
前作♡1000ありがとうございます 感想も沢山嬉しいです
まじで最近スランプ気味です そしていろんな作家さんに嫉妬してます
この作品も♡&💬よろしくお願いします
それではまた
コメント
4件
あああああーーーー もう ありがとうございます まじで 大好き愛してる 優しさがしみる、、、、、 居場所がない気がする、そんなことないのに自分も周りも信じられなくなっていく、でも💛ちゃんは信じているの愛おしいです、、、 本当にありがとうございます😊
まさかの3人とも同じ事を思ってたなんて…😯今回の作品も大興奮でした✌️
闇系やばい〜😖ぶっ刺さりました😭マジで天才ですね…みのりさん…好きです…