俺は赤。 今、美容院に行ってきた。
高校の入学式の前に行っちゃおうということで、髪を切りに行ってきた。
お母さん
赤
お母さん
赤
お母さん
赤
俺は、さっきまでのウキウキが一気に冷めた。
あぁ、お酒飲むんだな、と。
お母さんは、お酒を飲むと、吐きまくるんだ。
トイレにこもって、吐いて、吐いて…。
小さい頃の俺は、それがとても怖かったのをよく覚えている。
今は完全に怖くない、といえば嘘になる。
普段優しいお母さんが、あんなに苦しそうに嗚咽を漏らしていたら、誰だって怖いだろう。
お母さん
赤
ガチャッ
バタン
赤
今は午後5時30分。
地獄へのカウントダウンが始まった。
それからと言うもの、やることがなく、今ハマっている音ゲーをしたり、YouTubeを見たりして過ごした。
画面から流れる軽快な音楽は、時間を忘れさせてくれた。
赤
11時45分
赤
もうそろそろか…
さっきまでの脳内を流れていた音楽が消え始めた頃。
ガチャッ
お母さん
赤
お母さん
赤
俺は早足で階段を駆け上がり、ベッドに潜り込んだ。
お母さん
…きた
お母さん
赤
俺は思わず顔をしかめ、布団をぎゅっと握った。
スマホをとり、イヤホンを耳に差し込む。
耳せん代わりに音楽を流し、恐怖を和らげる。
赤
こんな時、ジェルくんがいてくれたらなぁとつくづく思う。
ジェルくんなら、どんな時でも笑わせてくれる。
一緒にいると安心するし、欲しい言葉をくれる。
大好きな、彼氏。
しばらくすると、トンッ、トンッ、トンッという階段を上がる音が聞こえた。
収まったのかな…?
お母さんはいつも、俺の隣で寝る。
家が狭く、本棚を置くとベッドが置けなくなってしまったため、自分専用のベッドはない。
お母さんが隣で横になったのが、気配で分かった。
あぁ、もう大丈夫だ、と安心したのも虚しく、十数分後。
お母さん
赤
お母さん
赤
こんなに近くで吐かれたのは初めてで、思わず部屋を飛び出した。
大好きなジェルくんのアニマルクッションを持って。
勢いのまま、外に飛び出してしまった。
赤
どうしよう。
帰りたくないなぁ…
赤
俺は思わずその場にしゃがみ込んだ。
モブ
赤
モブ
赤
モブ
赤
モブ
赤
怖くなって、思わず目をつぶった時。
橙
大好きな人の声が聞こえた。
モブ
橙
モブ
男の人はジェルくんに拳を振りかざした。
赤
俺は2人の間に入り込んだ。
ガンッ!
橙
赤
立てなくなって、フラフラと倒れ込む。
橙
ジェルくんが支えてくれた。
モブ
橙
モブ
橙
ジェルくんは、俺が持ってたアニマルクッションを枕にして、俺を地面に寝かせた。
橙
モブ
モブ
橙
赤
橙
赤
俺が地面に手をついて立ち上がろうとすると、くらっと目眩がした。
橙
赤
なんとか立ち上がって、ジェルくんに抱きついた。
橙
赤
橙
赤
橙
赤
赤
橙
赤
橙
赤
橙
赤
橙
赤
ジェルくんのいつもの調子に安心して、また涙が溢れた。
橙
赤
俺は涙をゴシゴシ擦って、ジェルくんの方を見た。
橙
赤
橙
赤
橙
赤
橙
赤
橙
ジェルくんは俺の手をとって、ゆっくり歩き出した。
赤
橙
赤
橙
俺は大好きなアニマルクッションを片手でぎゅっと持ち、ジェルくんと手を繋いで家に向かった。
鼻にツンとくるこれは、美容院のシャンプーの匂いだろう。
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