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夜のざわめきが 、 少しずつ遠のいていく 。
衝突の気配はあった 。
でも _
決定的な一線は 、 踏み越えられていない 。
それでも 、 周囲の空気は重かった 。
誰かが言う 。
モブ
その言葉に 、 場の視線が一斉に女に向く 。
女は 1 歩前に出た 。
相変わらず 、 言葉は少ない 。
でも 、 逃げない 。
静かに 、 はっきりと ___
一拍
周囲の空気が僅かに揺れる 。
その一言に 、 皆の動きが止まる 。
女は誰かを責めない 。
パーちんのことも 、 誰かのことも 。
ただ 、 ″これ以上悪くしない″ために 。
現実をその形に置き換える 。
視線は真っ直ぐじゃない 。
それでも 、 嘘はない 。
沈黙 。
やがて ____
誰かがそう呟く 。
それをきっかけに 、
張り詰めていた空気が少しずつ緩んでいく 。
パーちんも 、 その場に立ったまま動かない 。
女はもう何も言わない 。
ただ 、 静かに目を伏せて __
その場の″終わり方″を 、 見届けていた 。
誰かがそう呟く 。
その言葉に 、 明確な答えはない 。
けれど 、 これ以上はなにも起こらない ____
そんな空気だけが残っていた 。
遠くから 、 サイレンの音 。
近付いてくる警察の気配 。
誰かが声を上げ 、 周囲がざわつく 。
さっきまでの緊張が 、 別の意味で一気に張り詰める 。
しかし _____
その場にいる誰もが 、 ある異変に気が付く 。
さっきまで確かにそこに居たはずの女 。
静かに立って状況を見ていたはずの女 。
__ 女の姿が 、 どこにもない 。
誰かが呟く 。
さっきまで確かにいたのに 。
血も垂れていたのに 、
まるで 、 最初からそこにいなかったように 。
たけみち
サイレンの音がどんどん近付いてくる 。
その声を合図に 、 皆が動き出す 。
夜の闇の中へ 、 それぞれが散っていく 。
取り残されたのは
壊れかけたのは _____
何もなかったような 静けさ 。
夢主は 、 既にそこを離れていた 。
何も言わず 、
誰にも気づかれず 。
ただひとつ 、 確かに残したのは __
″最悪の結末が起きなかった 。″
という事実だけ 。
女は 、 夜の裏路地をひとり歩いていた 。
小さく 、 規則的な足音 。
数歩歩いたところで 、 ふと足を止める 。
ゆっくりと振り返る 。
さっきまでいた場所 。
もう人の気配はない 。
あるのは __
カラン ッ
地面に転がるナイフ 。
月明かりに照らされて鈍く光る 。
一瞬の沈黙 。
小さく息を吸って 、 女は引き返す 。
しゃがみ込む 。
僅かに地面が鳴る 。
ナイフを見つめる 。
触れる寸前で 、 ほんの一瞬だけ止まる指先 。
__ でも
布越しに 、 それを拾い上げた 。
キン
微かな金属音 。
ぽつり 。
そのまま袋の中へ 。
サ ッ
音を立てないように 、 静かに滑り込ませる 。
周囲は 、
シン ………
何もなかったような静けさ 。
立ち上がる 。
再び歩き出す足音だけが 、 夜に溶けていく 。
やがて __
その音も消えた 。