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第1話 - あ

2023年06月13日

#恋愛

結城真矢

ユウキ

ショウタさん、いつになったらそこのタワマンから退去していただけるのかしら？

ショウタ

義姉さん…

ショウタ

またその話ですか？

ショウタ

いつになったら、僕の事情を理解していただけるのでしょうか

ショウタ

これで何度目ですか

ユウキ

そりゃあ、何回も嘘を言われてもねぇ？

ユウキ

本当のことを知りたいの

ユウキ

いつになったら本当のことを言ってくれるのかしら

ユウキ

あなたが住んでるタワマンは

ユウキ

あなたのお兄さんであり、私の夫であるリュウヘイが２億で購入したのよ？

ユウキ

つまり、私の家なのよ

ユウキ

それなのに、寄生虫のように居座るなんて大人として恥ずかしくないの？

ショウタ

そのセリフは、父を亡くして失意のどん底にいる母にも言えますか？

ユウキ

お義母さんはお金を家に入れてくれてるから同居はいいんだけど

ユウキ

あなたは突然仕事を辞めたと思ったら

ユウキ

入居できるってなった途端に大荷物抱えて転がり込んできて！

ユウキ

仕事を探すこともしないで自分のスペースでゴロゴロとニート三昧して！

ショウタ

義姉さんだって働いてないじゃないですか

ユウキ

私は働かなくてもいいの

ユウキ

リュウヘイが私の分まで稼いでくれてるから

ユウキ

ニートと専業主婦を一緒にしないでくれる？

ユウキ

そもそも

ユウキ

夫のタワマンに妻が住んで何がいけないの？

ユウキ

あなたに、どうこう言われる筋合いはないけど

ショウタ

何回もお伝えしてますが…

ショウタ

俺は兄の仕事を手伝うために必要な資格を取得しようとしてるだけで

ショウタ

そのために会社を辞めただけなんです

ショウタ

それに、このタワマンは兄と俺の新事務所兼自宅として購入したんです

ショウタ

お義姉さんの部屋も準備してあるので

ショウタ

いつでもこのタワマンに引っ越してきてもらっていいわけですよ

ユウキ

寄生虫が出ていったら私もタワマンに住むわよ

ユウキ

私はあなたのために言ってるの

ユウキ

お義母さんと兄の稼ぎに頼って自分は何もせずにダラダラと

ユウキ

寄生虫そのものじゃない！

ショウタ

さっきから寄生虫、寄生虫と

ユウキ

言われたくなきゃ、さっさと仕事を見つけて自立することね

ユウキ

とにかく！

ユウキ

あなたが出ていくまで私は催促しますからね

〜その直後〜

ショウタ

兄さん、今手空いてる？

リュウヘイ

ショウタ、どうした？

リュウヘイ

資格の勉強は進んでるか？

ショウタ

うん、何とかできてるよ

ショウタ

お義姉さんが、いい加減に限界なんだよね

リュウヘイ

ユウキに何か言われたか？

ショウタ

ここのところ、毎日タワマンから出ていけメッセージが送られてきててさ

ショウタ

俺をニートと信じ込んで疑わないんだよね

ショウタ

兄さんと事業を立ち上げるために資格の勉強中だって言っても全く聞かなくてさ

リュウヘイ

そっかぁ…

ショウタ

ごめんね

ショウタ

兄さんも仕事で大変な時に

リュウヘイ

こっちこそユウキのせいでストレスをかけてごめんな。

ショウタ

タワマンに義姉さんの部屋があるから引っ越したらどう？って言っちゃった

ショウタ

まずかったかな？

リュウヘイ

いや、大丈夫だよ

リュウヘイ

会社の応接用の部屋として準備している部屋を一時的に住処として与え解けば文句ないだろ

ショウタ

この調子なら仕事中にも乗り込んできて

ショウタ

何か難癖つけてくるかな？

リュウヘイ

いや、あいつは仕事のことを何も知らないからな

リュウヘイ

おれからも話してないし、何よりあいつには仕事に対する興味がない

リュウヘイ

自分が寄生虫のように生きていければいいんだろ？

ショウタ

寄生虫ね…

ショウタ

義姉さんにも言われたよ

リュウヘイ

まぁ何にしてもあと数日でおれもタワマンに移るからさ

ショウタ

会社で残ってる業務がんばってね

リュウヘイ

おう、ありがとうな

〜数日後〜

ユウキ

ショウタさん、私明日そっちに引っ越すことになったから

ショウタ

え？

ショウタ

ああ、そういえば

ショウタ

今住んでるマンションの退去日が今月末でしたっけ

ユウキ

そうよ

ユウキ

正直あなたがまだ居座ってる状態なのに引っ越さなきゃいけなくなって

ユウキ

すっごくすっごく嫌なんだけどね

ユウキ

引越し業者の手配も住んで明日に荷物移すってなると仕方なくて…

ショウタ

兄さんも明日は休みなんですよね？

ユウキ

引越し日だからね…

ユウキ

会社でのゴタゴタ？

ユウキ

詳しくは知らないけど、それも片付いたようだし

ユウキ

ニートと化しているあなたへの鬱憤も聞いてもらえそうだわ

〜翌日〜

ユウキ

ちょっとショウタさん！

ショウタ

義姉さん、どうかされましたか？

ユウキ

あなた！リュウヘイに何か吹き込んだ？！

ユウキ

私ね今朝から頭痛がひどくってリュウヘイから渡された薬を飲んだの

ユウキ

急に眠気が襲ってきて、起きたらユウサクの家の前なんだけど！

ショウタ

ユウサク？

ショウタ

ああ！

ユウキ

お義姉さんの不倫相手のお名前ですね

ユウキ

ちょっと！

ショウタ

つまり

ショウタ

義姉さんは兄さんから渡された薬を飲んだけど、それが睡眠薬で

ショウタ

起きた時には不倫相手のご自宅の前だったというわけですね！

ユウキ

何なのよ！

ユウキ

あなた何か知ってるの？！

ショウタ

いや、俺は…

ショウタ

兄さんから聞いていたことを今お伝えしただけなんですけど…

ユウキ

え？

ショウタ

兄さんにここ最近の義姉さんからのメッセージのことを相談してたんです

ショウタ

そしたら

リュウヘイ

寄生虫のお前がいうな！

ショウタ

だそうですよ

ユウキ

寄生虫？

ユウキ

私が？

ユウキ

どういうこと？

ユウキ

自分の妻にそんなんこと言うなんて…

〜その直後〜

リュウヘイ

ユウキ

リュウヘイ！

ユウキ

どういうこと？

ユウキ

私が不倫なんて…

リュウヘイ

俺に不倫がバレているというのにまだ惚ける気か

リュウヘイ

どこまで浅ましい女なんだ…

ユウキ

何を言ってるのリュウヘイ

ユウキ

私、あなた以外の男性なんて…

リュウヘイ

いるんだろ？

リュウヘイ

俺と一緒になってからも定期的に会っていた男性が

ユウキ

そんなことない！

ユウキ

私はあなただけなのよ！

ユウキ

信じて！

ユウキ

ショウタさんに何を言われたのかは知らないけど

ユウキ

鵜呑みにしないで！

ユウキ

あんなニートの言う言葉を信じるの？

ユウキ

妻である私よりニートを信じるの？

リュウヘイ

俺の弟に対してニート呼ばわりするなんて良い度胸だな

リュウヘイ

俺の弟はニートじゃない

リュウヘイ

お前なんて俺の金目当てに近づいてきた寄生虫じゃないか

ユウキ

へ？

ユウキ

そんな、寄生虫だなんて…

リュウヘイ

仕事はしてない

リュウヘイ

俺が仕事に出ている間、男と遭っている

リュウヘイ

これが金だけを目当てに近づいてきた魂胆じゃないか？

ユウキ

だから、それはショウタさんの妄言で…

リュウヘイ

証拠はたんまりとあるぞ？

ユウキ

へ？

リュウヘイ

お前、気づいてないんだろ

リュウヘイ

不倫相手のユウサクくんはショウタの前の職場の同僚だったんだぞ？

ユウキ

え

リュウヘイ

ユウサクくんとお前がホテルに入っていくところを仕事帰りのショウタが発見してな

リュウヘイ

すごく悩んでたんだぞ

リュウヘイ

義姉さんと兄さんの仲を壊したくないって

リュウヘイ

それでも、その後何回か目撃したからって

リュウヘイ

俺に相談してくれたんだ

リュウヘイ

俺も最初は信じられないが、興信所に依頼して驚いたよ

ユウキ

興信所なんて利用したの！？

リュウヘイ

ユウサクくんとは、俺との結婚より前からの付き合いだったんだな

リュウヘイ

そうとも知らずに俺はお前と結婚して…

リュウヘイ

稼いだ金は湯水の如くお前が使っていたんだろ

リュウヘイ

俺はお前ら寄生虫のATMとして利用されたってわけだ

リュウヘイ

そりゃあ、金を出してくる女なんて男からしたら都合が良いからな

リュウヘイ

お前みたいな虫でも付き合ってくれるな

リュウヘイ

お前、俺の弟を寄生虫呼ばわりしてたそうだな

ユウキ

それは…

リュウヘイ

その魂胆は、お前が男を連れ込んでホテル代を浮かそうとしてたんだろ？

リュウヘイ

だが、常に家にいる弟が居るとバレるから

リュウヘイ

それを恐れたお前は連日出ていけと言っていたんだろ

ユウキ

ちがうわ！

リュウヘイ

何が違う！

リュウヘイ

言ってみろ！

ユウキ

それは単純に…ずっと家にいるのは良くないと思って…

リュウヘイ

お前にとって都合が良くないだけだろ

リュウヘイ

意味不明に話逸らしてんじゃねぇぞ

ユウキ

じゃあ！

ユウキ

ユウサクとは別れるから！

ユウキ

それで良いでしょ？

リュウヘイ

は？

ユウキ

実はね

ユウキ

ユウサクには借金があって、ゴチャゴチャ言ってるの

ユウキ

私はそれに巻き込まれただけ！

ユウキ

私はあなたと一生添い遂げるつもりよ

ユウキ

あなたと幸せになりたいから結婚したの

ユウキ

お願い、信じて？

リュウヘイ

俺と一生一緒にいるつもりのやつが、結婚後も不倫相手とホテル三昧かよ

リュウヘイ

証拠はあるんだぞ

ユウキ

それは‥二人きりで話すことがあったから

リュウヘイ

月に何回もか？

リュウヘイ

もういい

リュウヘイ

お前が何をどう言おうと

リュウヘイ

お前との離婚は確定事項だ

リュウヘイ

というか、もう離婚届は役所に出した

ユウキ

は？

リュウヘイ

お前、覚えてるか

リュウヘイ

俺が帰るの遅くなった時に離婚届に記載して突きつけてきたな

リュウヘイ

こんな遅くなるなら離婚よ！って

リュウヘイ

思えば、帰ってくると思って家にいたけど、こんなに遅く帰ってくるなら

リュウヘイ

ユウサクと会えたじゃないか！

リュウヘイ

っていう怒りだったんだな

リュウヘイ

くだらない

リュウヘイ

まぁ、でも

リュウヘイ

その時の離婚届が今回役に立ったわけなんだけど

ユウキ

そんな…

リュウヘイ

だから、俺とお前は綺麗さっぱり他人だ

リュウヘイ

他人をタワマンに住まわせるわけにはいかないからな

リュウヘイ

とはいえ、住んでたマンションも解約したわけだから

リュウヘイ

最後の俺の優しさで荷物を送ってやったってわけだ

リュウヘイ

感謝しろよ

ユウキ

待ってよ！

リュウヘイ

なんだよ

ユウキ

私たちやり直せるでしょ

リュウヘイ

なんで、そう思えるんだよ

リュウヘイ

やり直せるわけないだろ

リュウヘイ

不倫していた事実は消せないからな

リュウヘイ

お前とユウサクくんに慰謝料を請求することにした

ユウキ

慰謝料？！

リュウヘイ

当然だろ？

リュウヘイ

不倫されたんだから

ユウキ

そんな…

ユウキ

私貯金なんてないわ…

リュウヘイ

良いじゃないか

リュウヘイ

借金したら

リュウヘイ

ユウサクくんと借金カップルの完成だ

ユウキ

やだ！

ユウキ

そんなのみっともない！

リュウヘイ

みっともないのはお前だろ？

リュウヘイ

お前のそのちっぽけな見栄とプライドが今回の事態を招いたんだ

リュウヘイ

反省するんだな

ユウキ

こうなったら…実家に帰るわ

リュウヘイ

そうだ

リュウヘイ

実家な

リュウヘイ

お前のご両親にも今回の件を伝えたぞ

ユウキ

は？

ユウキ

なんでそんなことするのよ！

リュウヘイ

そりゃあ、お前の親だからな

リュウヘイ

わけもわからず、娘が離婚しましたってなったら

リュウヘイ

混乱されるだろう

ユウキ

なんてことを！

ユウキ

私が今から訂正する！

リュウヘイ

そうそう

ユウキ

なによ！

リュウヘイ

お義父さんから伝言を頼まれている

ユウキ

伝言？

リュウヘイ

ユウキ、なんてことをしてくれたんだ

リュウヘイ

全く不釣り合いな女のお前と結婚してくれたリュウヘイくんに申し訳がたたない

リュウヘイ

ユウキ、お前はリュウヘイくんと離婚をしろ

リュウヘイ

お前のことだ

リュウヘイ

稼ぎの良いリュウヘイくんとは別れたくないだろうが、これはケジメだ

リュウヘイ

その後、ユウサクとか言う奴と結婚できるようになる100日後に結婚しろ

リュウヘイ

俺はもう知らん

リュウヘイ

お前とは絶縁だ

リュウヘイ

2人で好きに過ごせ

リュウヘイ

だってさ

ユウキ

絶縁！？

ユウキ

待ってよ！どういうことよ！

リュウヘイ

お義父さんは、俺に深い謝罪と共に慰謝料を肩代わりすると申し出てくれたよ

リュウヘイ

あんな出来損ないでも俺の娘だって

リュウヘイ

最後に娘の尻拭いをしてやるってさ

ユウキ

待って待って

ユウキ

ひどくない？

リュウヘイ

お前らが招いた結果だろ

リュウヘイ

誰も過剰な罰は与えてない

リュウヘイ

2人で暮らしてくれ

ユウキ

父さんにも電話繋がらないし！

ユウキ

リュウヘイ！

リュウヘイ

それは、そっちの問題だろう

リュウヘイ

俺に言ってくるなよ

リュウヘイ

とりあえず、お前との関係は終わりだ

リュウヘイ

ブロックするからな

リュウヘイ

じゃあな

〜後日談〜

ショウタ

兄さんと元兄嫁の離婚騒動の後、俺に元兄嫁からすぐに連絡が来た

ショウタ

「アンタのせいで、私の人生めちゃくちゃよ！責任取りなさいよ！だそうだ」

ショウタ

兄さんにもメッセージが来た件を伝えたが「無視してろ。携帯電話を変えろと一言だけ」

ショウタ

そういえば、この前出先の近くで安っぽい格好した似た女が客引きしてたなぁ

ショウタ

もちろん、路上での客引き行為は御法度だから警察官に連行されていったけど…

ショウタ

寄生することしかしてこなかった人は、他に生きる術を知らないんですね

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