短編集

赤side

人にはそれぞれにテンポがあると思います

俺、赤坂 莉犬(15)の場合

ﾌﾟﾙﾙﾙﾙｯ

- ̗̀📢危険ですので白線の内側にお入りください

ﾌﾟｼｭｰ

そう

極端にとろいのです

だけど、こればかりはどうにも…っ

黄瀬 るぅとくん それが彼の名前

るぅとくんとは同じクラスで たまに同じ車両で登校する

話すことはほぼない いつも何かしら騒いでいる

俺はどちらかと言うと苦手…かなぁ〜

ｷｰﾝｺｰﾝｶｰﾝｺｰﾝ

〜♪

〜♪

転がれるような滑らかな音

ｶﾞﾗｶﾞﾗ

………え、

るぅとくんー…!?

耳に残るのは 柔らかくて優しい音

どうして俺はこんなにとろいんだろう

やっぱりこの人苦手だ

ｷﾞｭｯ

…どうして るぅとくんが泣きそうなの？

それを傷つけたと思って？

………た、

単純だなぁ〜…

雨にうなだれる子犬みたいな瞳…

るぅとくんのことを少し可愛いと思ってしまった

…って言われても〜

なんだかるぅとくんは不思議

無神経なんだか 真面目なんだか

おまけにピアノも弾けちゃうし

よくわかんないなぁ

だけど、あれ？

もう苦手じゃないかも？

そうして 願い事は決まらないまま

ほんとに妙に律儀だなぁ

あぁ

なんだかまた

あの音が聴きたいなぁ

と、言うわけで

るぅとくんの家に来ました

いきなり家ですか…!?

2人きりっ

別に、ピアノを弾いてもらうために来ただけだし… 大丈夫だよね？

いいなぁ〜 ピアノ弾いてみたい…

曲名「〇〇踏んじゃった」

…わっ……

その時俺は

人生で1番の反射神経を発揮したと思う

ど、どうしよう

びっくりした びっくりした

さっきのなんだったんだろう

明日 学校で

どんな顔して合えば…

あれ？

えぇぇー!?

いつもどうり…？？？

昨日のあれは夢か幻だったのかなぁ〜…

目もあわずに放課後になっちゃったし…

夢か、幻？

そんなわけない

ちゃんと話をしたい

モヤモヤした気持ちが だんだんと形になっていく

あぁ、そうだ俺、

…あ、そうだ

ﾁｭ

俺たちを音に例えるなら 綺麗に重なるものばかりではないのかもしれない

それでも

それはなんて愛しい響きだろう

❦ℯꫛᎴ❧

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