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僕が笑う理由

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僕が笑う理由

1 - 僕が笑う理由

♥

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2019年09月20日

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あの日

僕は君に恋をしていた

片思いだった

華やかに笑う君は

まるでスポットライトが 当たったみたいに

明るく見えて

気付けばいつも 目で追っていた

君が口角を上げると

僕も自然に笑うことができた

ある日

僕は君に告白をした

好き……です

付き合ってください

たった二言で熱くなる僕の頬

果たしてこれでも僕は 君を守れるのだろうか

今更ながらそんな不安が 胸に宿った

いいよ

え?

付き合おう?

あの太陽のような笑顔が

目の前に見えた

……ありがとう…

もっと言いたいことはあるのに

もっと堂々と言いたかったのに

消え入りそうな か弱い声になってしまった

ふふっ…

宜しくね

薄く笑った顔

逸らした瞳

紅色の頬

こちらこそ

僕も釣られて

笑った

ある日

僕は君にプロポーズをした

ある高級レストランでの事だった

結婚してくれますか?

告白したあの日のように

緊張と恥じらいで 顔の熱が上がった

……ありがとう

泣きながら頷く君

ホッとしたのか 僕の目からも涙が出た

末永く、宜しくお願いします

片思いしたあの笑顔で

君が笑って

……こちらこそ。

応えるように僕も笑った

あの日

僕と君は結婚式を挙げた

爽やかな初夏の風が吹く 6月だった

青空に映える 美しいウェディングドレスだった

緊張するなぁ…

そう言いつつも

幸せそうな笑みをこぼす君

ふふっ

なんで笑うのー!

いや?

綺麗だなぁ、と思って。

……っ!

一瞬で頬を赤く染めた

分かりやすいね笑

好きだな。

そういう素直なとこ。

もー……

口を膨らませて

ムッとする君

それとは相対的に

僕は幸せいっぱいの 笑顔が浮かんだ

ある日

僕との間に子供が産まれた

とても可愛い長女だった

丸い瞳が君とよく似ていて

愛くるしい声で泣いていた

可愛い

思わず呟くと

当たり前じゃんっ

その子を抱いて

自慢気に微笑んでいた

母の顔だ、と思った

頑張ろうね

なんとなく呟いた言葉

……うん

全てを察したように頷いていた

この夏できた新しい家族に

夫婦揃って微笑んでいた

あの日

僕たちの子が家を出た

少しシワの増えた君は

泣きながらも誇らしげに 笑っていた

幸せそうな 顔だった

僕が幸せにしたかったのになぁ

思わず嫉妬して呟くと

何言ってんのよ…

呆れながらもやっぱり

目を細めて口角が上がっていた

貴方との思い出が

生涯一番の幸せ。

迷いのない表情で

誰よりも幸せそうだった

……ありがと

僕は

照れながらも 少し嬉しかった

今日

僕の心臓が止まろうとしていた

ねぇ…

ねぇ……っ

君は僕の前で

初めて悲し涙を流す

泣か…ないで……

え…?

君の頬に触れると

目からの水滴で濡れていた

暖かくも

冷たい涙

あーあ…

泣かせちゃった

聞いて…?

え……?

僕は君が泣かないようにと

精一杯笑った

僕の伝えたいこと

君にちゃんと言わなくちゃ

今まで、ありがとう…

今まで、なんて言わ…

聞いて…?

言葉を遮って僕は続ける

君は納得したように頷いていた

君とは……沢山

笑った、ね…

君と一緒に、なって…から

僕の人生は…笑顔で……いっぱい、なんだ

途切れそうな声を

何度も張り上げた

君が笑っていたら、

僕も自然に、笑顔に…なれたんだ

そうなんだ

君の表情筋と僕の表情筋は

まるで連動してるみたいで……

僕に、笑顔を…

沢山、くれて、ありが…とう

…うん

あぁ…やっとだ

やっと笑ってくれた……

あの頃よりシワの増えた君

それはきっと

名前のとおり 「笑いジワ」だろう

また、来世でも…

僕を……笑顔に、してね…

約束、ね…?

悲し涙を流しながら

それでも幸せそうに笑っていた

良かった

良かったよ

最期に君の笑顔が見れて良かった

また、来世で

僕を笑わせてね

また、ね…

その言葉を最期に

僕の目は二度と開かなくなった

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