百物語体験

全員の目が部屋の片隅にあるモノの方へ向けられる。そこには「二宮金次郎像」と新しく追加されている。

「二宮金次郎像」

たいして古くもない校舎の一角で五人は目を覚ます。

五人はワイワイと騒いでいたが、唐突にアユが四人に静かにするように伝えた。

アユの指差した窓から外をみる。本来なら二宮金次郎像があるはずの台座のみがそこにあり、二宮金次郎像自体はない。

微かにドスドスと重いなにかの足音がする。明らかにこちらに向かってきているようだ。

五人は足音のする方向とは反対方向に走りだした。 途中逃げることに必死で、はぐれた事に気付いたのは立ち止まった後の事だった。

アユ&ソラ　side

チイ&メイ&ユユカ　side

アユ&ソラ　side

喋りながら廊下を歩く二人は後ろからドスドスと重い足音が聞こえてくるのがわかった。

足音とは反対方向に走り出した二人は廊下の角から曲がってくる人物とぶつかった。

アユが見た先にいたのは「二宮金次郎像」であった。

二人は再び廊下を駆けていった。 その先でチイ達とぶつかった。のだが、

ドスドスと重い足音が近付いてくる。その事にいち早く気付いたユユカとソラが音の聞こえる方、アユの後ろに目を向ける。そこには既に「二宮金次郎像」が居た。

ある程度会話して落ち着いたのか、それとも何か思い付いたのかアユは「二宮金次郎像」をじっと見つめたあと「お疲れさまです！！」と見様見真似の敬礼をした。

その言葉に反応したのか「二宮金次郎像」も腕を動かし敬礼をしている。

アユのその言葉を聞いた「二宮金次郎像」はくるりと身を翻しドスドスと廊下を歩いていく。時折アユ達の方を見るのはついてこいと言っているようにも見えた。

そんなことを言いつつアユ達は「二宮金次郎像」について校内の見回りを済ませ、アユとチイに促されるまま「二宮金次郎像」へのお礼を述べた。

ソラの言葉を最後に視界が光に包まれ、気がつけば元の部屋に戻ってきていた。

「二宮金次郎像」 終了