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ガチャッ ..
鼻先で扉を閉められ、ご丁寧に鍵を閉める音まで聞こえてきて、俺は深くため息をつく..
ただ バイト から帰ってきて、たまたま部屋の前で住民の ドヒョン さんを見かけた為、家賃を払うように声を掛けただけなのだが ,, 当分払ってくれそうにないな..
こちらだって接活費を稼がなきゃなんね-っつーのに . いちいち家賃催促できるほど暇じゃねーんだよ..
ただでさえ、その日暮らしの危うい生活を切り詰めて生きてるっつーのに..
半端な気持で大家やってんじゃね-よ、貧乏人舐めんな .
y g .
通りに散乱しているごみの袋を避けながら, 立ち込める空気はまさに悪臭そのもので汚染されているようだな .. , ふぅ、そろそろ片付けなきゃな ..
野犬でも来たのか, 糞尿の悪臭もする。
こんな廃れかけている場所が , まさかあの観光地で賑わい高層 ビル の立ち並ぶ ソウル 内にあるとは、到底想像できないな .. 住人のくせして苦笑する。
気分は最低だが , 無理やり笑顔を捻りだし、自分の住む部屋番号へと悪臭の漂う通路を進んでゆく。
y u r a .
y g .
年頃の娘だから、きっとお洒落に着飾ったり、学校に行って友人と遊んだりしたい盛りだろうに .. 唯一の妹の ユラ は文句ひとつ言わないのだ ..
兄として申し訳なく不甲斐なく思うのだが、ユラ はそんな俺よりずいぶん強く , 弱音を見せない為、たまに心配になる .
バイト から帰って来る度に心配になるのだ , 家に帰ってからもし ユラ があの日の父と同じように絶命していたら , と .
そんな心配をする俺の本心など露知らず、ユラ は笑顔で帰宅したばかりの俺の元に駆け寄り、荷物を持ってくれる .
だから、せめてもの、沢山美味しいものを腹いっぱいに食わしてやりたいのだが , 学生が出来る バイト の給料などたかが知れている .. ハァ .
y g .
y u r a .
y u r a .
y g .
何日ぶりの夕食かしら ? と喜んでいる ユラ を見て、こちらまで嬉しい気持ちになるのだが , 成長期の ユラ にもっと旨いものを食べさせてやりたい ..
穴の開いた靴を脱ぎ , 部屋に上がると , 青い ビニールバケツ がいくつも目に入り , 訝し気に思い , ユラ に問いかける ..
y g .
y u r a .
y u r a .
y g .
頭一つ分程しか残されていない程低い天井を見上げる .. 所々雫が垂れたような跡があり , バケツ の中には水が溜まっていた .
俺が大家をしているこの集合住宅は、半地下物件で、半分地下に埋まっている状態の小さな部屋が軒を連ねている .
確か前に半地下を題材にした韓流映画が凄い有名になっていたが , 俺たちの住む"半地下"の現状 , 劣悪な環境はその映画以上に生々しく、廃れていて、それでいて貧乏人の集まる集落だ .
韓国で年々浮上してきている問題の内の一つ、圧倒的な格差社会の落ちぶれ家はこの集落に肩身を寄せ合い暮らしているのだ .
そんな限界集落 , 何処にあるのだろうか , と疑問に思う人も多くは無いだろう , 大抵の人が韓国の山陰地方を想像するのではないかと思うが、現実そうではない。
ここは、ソウル だ .
紛れもない , 観光地として人が賑わい , 高層ビルの立ち並ぶ ソウル の中にあるこの半地下集落は , ソウル 市の北の ハズレ にある『 タルトンネ 』.
"タルトンネ" とは"月の街" を表し , 一見美しい街のように思えるのだが , そうではない , 廃れ , 朽ちた廃墟と化した町に近づく人はわざわざいない為 ,
人の寄り付かない町 , 遠い町という意味合いで "タルトンネ" と呼ばれている , まさにこれこそが皮肉であろう .
母は , 三年程前に癌になったのだが , 入院費や治療費などを出すことが出来ず , 結果的に病院に受け入れられずに亡くなった .
親父は .. あまりに貧相な生活をしている俺と妹の姿に耐えられなくなったのか .. ある日 バイト先から帰ると、
そこには瞳を揺らし , 瞳孔を大きく開き , 信じられないというように突っ立っている妹と , 首を吊りなくなっている親父の姿があった .
親父の首つり現場付近には , 細長い親父の筆跡で ,
" 保険金等の金を使って幸せになれ .. "
と書かれた手紙が落ちていて . 親父は俺たちが生活するための金を残すために自殺した .
俺と妹は残された .
俺は親父の仕事の一つだったこの限界集落.半地下の大家を引き継ぎ,その他にも数十個以上の バイト をして、日々の生活費を極限まで切り詰めてその日暮らしをしている.
せめてもの.妹だけは..命に代えてまで守ってやりたい .. その思いを胸に今日も俺は働く , 汗水垂らし,生きるために金を求めるのだ.
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夜勤の時間になり , 妹と玄関で分かれ , 夜の夜勤バイトへと古び , 錆びれた自転車を軋ませながら朽ちた町を駆け抜ける .
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自転車に乗り , スラム 街とは真逆の方向 , 治安の整った大都会のまさに ソウル と言えるほどの場所まで自転車を走らせて .
カラオケ の バイト 先に入る , カラオケ の夜勤の為 , これがまた以外にも儲かる バイト なのだ .
妹を満足に食べさせてやれる食費と , 満足に学校に行けない妹の為の学費を稼がなければ , その思いだけで一心不乱に働く , 朝まで.
j y e m i n .
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バイト の制服に ロッカー 室で着替えていたら , 同僚で同い年の ジェミン に声を掛けられた .
ジェミン は , いつも誘ってくれるのだが . 娯楽のための金など一切ない , 生活をぎりぎりまで切り詰めて生きている俺には , 少しの娯楽も許されないのだ ..
俺と同じ年代の人ならばきっと今頃は大学生活 , キャンパスライフ を楽しんで , バイト して遊んで , サークル とかにいっているんだろうなと思うと ,
結構 メンタル がやられそうになる事も事実だが , 我慢しなければ , 妹の中学生の ユラ でさえ , 我慢しているというのだから .
j y e m i n .
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そういうと , ジェミン は何か袋を差し出した .
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.. 最後の飲んだのは , いつぶりだったかな .. 袋に一杯の コーラ を見て , 何故か泣きたくなる .. きっとこれを持って帰ったら .. ユラ も喜ぶだろうな , と .
俺にとって コーラ 一本でも , 生活に役立てられ , 食費を節約できるため , とても有難いというのに , ジェミン にとっては一本の コーラ に対して思い入れが無いようで .
韓国で問題になりつつある貧困 , 格差社会の現実を突きつけられたような気がして .. ,
入り時間になったので カウンター に立ち , 客を待つが , 先日この近くに新しく カラオケ が出来たようで , 客の流れがとことんに減っている ..
"あの.."
"あの ~ ??"
"お兄さん ~ ??"
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バイト の シフト 時間に寝ていたなんて , とんだ ミス だ .. 店長に知られたら , 確実に クビ.. いや , それだけじゃ済まない , ぜってーに殺される ..
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マニュアル を一語一句間違えずに読み上げる . はぁ , 業務中の居眠りがバレたら .. まぁ、とりあえず深くは考えないでおこう ..
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この流れは .. 初めてだ . マニュアル にもなかった流れの為 , 店長に許可を取りに控室に顔を出す ..
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店長によると, 新しく出店するお店がチラシ掲示を頼みに来るのは,何も珍しい事ではないようで.
新店舗のチラシ掲示に協力すると,そのお店が後で売れた時に,見返りが凄くいいらしいという店長の主張が,何よりも計算高く驚く,
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鮮やかな ネオンビビットカラー の チラシ を受け取る .. 何のお店なのだろうか, チラッ と目を通していると .. まさに金欠キギリギリの生活を送っているからか, 給料という文字が目に飛び込んでくる,困った癖だ.
へぇ.. 平均的な給料が..100万ウォン ~ 1000万ウォンか..
ん?
隅の方に書かれた従業員募集の給料提案をもう一度見る..
ん?
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.. 1000万 ウォン もあれば .. 学費も払えるし ,, 生活費だって .. え、嘘だろ .. ?
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思わずつばを飲み込む .. これほど条件の良すぎるバイト.. 逆に怪しくないか, と少しは疑わなければならないのだろうけど ..
ゴミ捨て場に落ちている腐った食物でさえも十分なおかずにしなければ生きていけないほどの貧乏生活をしている俺には .. 危ないバイトでも,どうでも良かったのである.
気づいた時には, 俺は決心を決めていた.
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