伏黒恵
込み上げてくる咳に睡眠を妨害されて、伏黒は、瞼を開けた。背中を震わせて一つひとつ咳をこぼしながら、寮の壁が非常に薄いことを思い出して咄嗟に口元をタオルで覆う。
伏黒恵
原因不明の咳たちは、抑えようとして抑えられるものではなかった。酸素を吸い込む隙すら与えずに次から次へと飛び出してくるので、苦しさで生理的な涙すら浮かぶ。
これは、止まらないやつかもしれないと本能的にそう感じて、よたよたといつもより時間をかけて身体を起こした。
伏黒恵
苦しい。なんだこれ。気持ち悪いのもあるし、吐き気もある。熱い何かが喉の奥から込み上げてくるのを感じて、脳裏にそんな考えが過ぎる。
咳き込んだ勢いでそのまま嘔吐する可能性に気づいたから、伏黒は、ふらふらとベッドから立ち上がった。
伏黒恵
少し歩いただけで馬鹿みたいに息が切れるけど、そんなことを気にしている余裕はなかった。部屋で吐きたくなんかない。
伏黒恵
連発する咳のせいで喉に鋭い痛みを感じるようになってきた頃、伏黒の瞳に微かな光が映った。それが共用キッチンから漏れているものだと気がついて、目的地をトイレからそこへ変更する。
信じられないほど止まらない咳が少なからず不安をもたらすから、もしそこに誰かがいるのなら助けてほしかった。
おぼつかない足取りで廊下を踏みしめながら、飽きもせず続々と飛び出す咳をこぼしながら、光の出処へと進んでゆく。
虎杖悠仁
釘崎野薔薇
次の瞬間、視界に登場した虎杖と釘崎が居た。の姿に安心がぽっと胸に灯って、危うく泣き出してしまうところだった。
伏黒恵
伏黒恵
釘崎野薔薇
虎杖悠仁
虎杖悠仁
虎杖悠仁
伏黒恵
伏黒よりも困った顔をした虎杖が、近くの椅子へ腰を下ろすよう同級生を促した。咳き込む度に震える背から伝わる温度は決して高くないので、熱があるわけではなさそうだ。咳のしすぎで体力もそろそろ限界なのか、途中で伏黒がぐったりと体重を預けてきた。
釘崎野薔薇
釘崎野薔薇
伏黒恵
虎杖悠仁
伏黒恵
特級である五条に引けを取らないくらい多忙なもう一人の家入の睡眠時間を心配しているんだろうなと、危なっかしく紡がれる言葉を一つひとつ拾い上げて、虎杖と釘崎は、そう推測する。
こんなに苦しそうに咳き込んでいるくせに、一体どこに他人を心配する余裕があるのだろう。
伏黒恵
勢いをゆるめる気が全くない咳たちに、伏黒がいよいよ胸をぎゅっと握りしめた。
虎杖悠仁
伏黒恵
伏黒恵
釘崎野薔薇
虎杖悠仁
伏黒恵
伏黒恵
伏黒恵
虎杖悠仁
虎杖悠仁
釘崎野薔薇
伏黒恵
咳と咳の間にやっとのことでねじ込まれる声は、もうすっかり掠れている。ここまで咳を連発させていれば、喉がダメージを負うのも当然だ。
大きく咳き込んだ拍子にぐらりと体勢が崩れた。ふらふらと重心が迷子になっている伏黒の身体を支え直して、虎杖は彼の顔を覗き込む。虎杖は、片手で、履歴の中から五条先生の携帯番号を探すと電話をかけた。
五条悟
虎杖悠仁
虎杖悠仁
五条悟
五条悟
虎杖悠仁
五条悟
追い打ちをかけるように込み上げてきた吐き気に、伏黒が小さく嘔吐く。虎杖がそれに驚くより先に、五条の口元へ清潔なタオルがあてがわれた。
五条悟
五条悟
伏黒恵
虎杖悠仁
五条悟
五条悟
家入硝子
家入硝子
伏黒恵
未だなかなか止まる気配を見せない咳たちに鼓膜を揺すられながら、家入の小さな手が伏黒の大きな背中をさすった。大体の状況を五条から聞いて、呼吸のしやすい体勢を教えてくれる。
釘崎野薔薇
虎杖悠仁
釘崎野薔薇
釘崎野薔薇
釘崎野薔薇
虎杖悠仁
家入硝子
伏黒恵
五条悟
五条悟
伏黒恵
伏黒恵
伏黒恵
伏黒恵
伏黒恵
五条悟
五条悟
呆れた顔を浮かべながらも伏黒の意志を尊重してくれる五条は、家入に言われた通りに、喉の痛みを緩和させたり咳の症状を鎮めたりする働きを持つというホットココアを作ってくれた。
伏黒恵
虎杖悠仁
虎杖悠仁
虎杖悠仁
五条悟
五条悟
家入硝子
家入硝子
釘崎野薔薇
その間も伏黒からはひたすら咳が溢れるから、その度、五条は、伏黒の背をさすった。途中何度か嘔吐いたけれど、家入がくれたタオルのおかげで大惨事にはならずに済んだ。
五条悟
五条悟
虎杖悠仁
五条悟
虎杖悠仁
虎杖悠仁
釘崎野薔薇
虎杖と釘崎は、共用スペースから自分の部屋へ戻って行った。五条さんに、背中を摩って貰って居るけど、全然咳が、治らないし止まらない。五条と家入の睡眠時間を削ってしまってると思って焦ってしまって、過呼吸気味になった。
伏黒恵
五条悟
伏黒恵
伏黒恵
五条悟
ゆっくりと呼吸をしたら過呼吸は、治った。 家入と五条にかわりばんこで背中をさすってもらったり。彼らが繰り広げる非常にどうでもいい世間話に耳を傾けていたりしたら、なんだかじわじわと睡魔が忍び寄って来た。
家入硝子
家入硝子
五条悟
すっかり通常運転なふたりのそんな会話から言いようのない安心をもらいながら、伏黒は、そっと眠りの中へ足を踏み入れた。
コメント
6件
お久しぶりですΣ੧(❛□❛✿)ご無沙汰しています。顔を出さずにすみませんでした。色々と、忙しかったもので!!悠二君と野薔薇ちゃん、伏黒君に優しいですね♡読んでてホッとしちゃったのは何故だろう? 次回も楽しみにしています〜♪ 参加型、是非参加させて下さい♡ よろしくお願い致します🌸
お久しぶりです♪ 元気してましたか? 今晩は〜♡ この物語、結構好きです! ブックマーク🔖させて頂きました! 次回も楽しみにしています〜♪♪ 参加型、是非参加させて下さい♡ よろしくお願い致します🙇♀️
上記に追加で、次回作は、リクエスト作品と同時進行で参加型も検討しております〜♪♪また、参加型の物語など、詳細が分かり次第、管理人のお知らせ📢で、雑談小説で、出させて頂きますので、そちらも是非、ご参加の程…よろしくお願い致します!!