ロボロ
あ...雷。
ピカッ、と室内が光って数秒後に音が鳴る。
結構近いかもね。
...雨も振りそう。
ロボロ
最近いつもやな。雨ばっか
黒い雲が広がっていき、気温も低くなっていく。
春にしては少し寒くて、暖房の付いた部屋でロボロと気象を語る。
洗濯物外に干せなくてほんと迷惑
ロボロ
俺は雨も好きやけどな
窓の外を見つめるロボロがぽつりと呟く。
...確かに。雨もいいかもね
ロボロ
やろ?雨の匂いが好きやねん
雨の匂いの良さなんてよく分からない。
別にそこまで好きじゃないけれど
雨を理由にして貴方をここに留められるなら
少し好きになれるかもしれない
...雨もいいかもしれない
あ、あの、雨が降ったらさ
止むまで暫くここにいない?
ロボロ
___まだ雨は降ってくれない。
雷神の少し響みてさし曇り 雨もふらぬか君を留めむ
意味 雷が少し響いて、空が曇り、雨も降らないだろうか。あなたをここに留めたいから。
ピカっ、と室内が光る。
ゴロロ、と音が響いて雲も先程より黒く、広がっていた。
結構近いかもね。
...雨も降りそう。
最近いつも雨ばっかで、雨は好きとはいえ憂鬱になってくる。
洗濯物が干せなくて迷惑だ。と彼女は頬を膨らませて文句を言っている。
...確かに。雨もいいかもね
雨の良さを語っていると、確かに。と納得していなそうな顔をしながらも彼女は言った。
ロボロ
...やろ?雨の匂いが好きやねん
また雷が鳴って、窓の外を見るとまだ雨は降っていなくて。
彼女に目を向けると何だか考えているような表情をして
どうしたの?と声をかけようとするとこっちを向いて
あ、あの、雨が降ったらさ
止むまで暫くここにいない?
なんだ、そんなこと考えてたの?と思わず笑いそうになる。
彼女が望むなら、雨が降らなくたってここにいるというのに。
ロボロ
...うん。ええよ
__まだ雨は降らないようだ。
雷神の少し響みてふらずとも 吾は留らむ妹し留めば
意味 雷が少し響いて、雨が降らなくても、私は留まろう。あなたが望むのであれば。
完