ロボロ
ピカッ、と室内が光って数秒後に音が鳴る。
ロボロ
黒い雲が広がっていき、気温も低くなっていく。
春にしては少し寒くて、暖房の付いた部屋でロボロと気象を語る。
ロボロ
窓の外を見つめるロボロがぽつりと呟く。
ロボロ
雨の匂いの良さなんてよく分からない。
別にそこまで好きじゃないけれど
雨を理由にして貴方をここに留められるなら
少し好きになれるかもしれない
...雨もいいかもしれない
ロボロ
___まだ雨は降ってくれない。
雷神の少し響みてさし曇り 雨もふらぬか君を留めむ
意味 雷が少し響いて、空が曇り、雨も降らないだろうか。あなたをここに留めたいから。
ピカっ、と室内が光る。
ゴロロ、と音が響いて雲も先程より黒く、広がっていた。
最近いつも雨ばっかで、雨は好きとはいえ憂鬱になってくる。
洗濯物が干せなくて迷惑だ。と彼女は頬を膨らませて文句を言っている。
雨の良さを語っていると、確かに。と納得していなそうな顔をしながらも彼女は言った。
ロボロ
また雷が鳴って、窓の外を見るとまだ雨は降っていなくて。
彼女に目を向けると何だか考えているような表情をして
どうしたの?と声をかけようとするとこっちを向いて
なんだ、そんなこと考えてたの?と思わず笑いそうになる。
彼女が望むなら、雨が降らなくたってここにいるというのに。
ロボロ
__まだ雨は降らないようだ。
雷神の少し響みてふらずとも 吾は留らむ妹し留めば
意味 雷が少し響いて、雨が降らなくても、私は留まろう。あなたが望むのであれば。
完
コメント
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天体観測に続きまたロボロさんのお話ですがお許しを...