塩対応なあの子

えとさんにそう言われると、あの時の情景が走馬灯のように頭の中に流れてきた

るなさんの性格なら有り得なくは無いと思いますけどね

なぜだか疑いの目を向けられている気がする

そうか、るなさんと私が一緒に帰ってるから えとさんとるなさんの時間が失っていると考えているのか

よかったよかった。と普通一件落着してここでおしまい というところだろう

だが、私にはまだ疑問が残っている

えとさんは最初、るなさんと私が初対面では無いと疑っていた

いや、なんで ? 普通そうはならんやろ

キーンコーンカーンコーン

その場に逃げるように走り去って行ったえとさんを私は引き止めなかった

そして、周りの騒音に溶け込むように 私の蟠りも無かったことになってしまった

5校時目が終わり 本番へと近づく

私は走るのが遅いので てきるだけ足を引っ張らないよう

12番目というなんとも言えない 順番で走ることになった

どうやらじゃぱぱさんは1番目 黒川さんはアンカーになったらしい

あの二人も足が速いことに少し驚いた

2人とも帰宅部なのに、バスケ部の田村さんよりも足が速いだなんて …

ﾋﾟｯｯ !!!!

笛の音と同時にタッタッタッ、とバラバラな足音が鼓膜を通る

じゃぱぱさんが抜いて … え差開きすぎじゃないですか ?

思わず漏れてしまった声

淡々と差を開いていくじゃぱぱさんに目が離せなくなった

1位2位を繰り返している

遅い人速い人の順番のバランスがよく取れているのか、差はあまり開いていない

どうこうしている間に私の番だ

私と同じレーンの人は男の人で

どうやらあの二人の友達のようだ

それが分かったのは、三人で休憩時間に喋っていたところがちょくちょく見えたからだ

特徴的な髪色だったからすぐに分かった

黒川さん情報だと足が田中さん並に速いらしい

私の手が赤色のバトンを握る

面倒くさい訳では無い ただただ走るのが嫌だ

徐々に徐々に後ろの人が 私との距離を詰めてくる

視界が下に向かっていくのと同時に身体が倒れ込むのを感じた

膝から赤色の血が垂れている

周りがザワザワとしだしている

私のせいでリレーを止めてしまったことで罪悪感に襲われる