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第1話 - あ

2023年07月31日

#恋愛

結城真矢

セカイ

ユヤで間違い無いですか？探して欲しい男がいるんですが

ユマバ

誰だい急に不躾なお願いだね

セカイ

すみません

ユマバ

まずは名前から名乗るもんだろ

セカイ

セカイです

ユマバ

セカイ？贅沢な名だね

セカイ

そうでしょうか

セカイ

すみません

ユマバ

職業年齢

セカイ

昼は普通の会社員として働いています

ユマバ

昼は？

セカイ

はい

セカイ

退勤後は夜職をしています

セカイ

キャバクラかい？

セカイ

いえピンサロ店で週5勤務をしています

ユマバ

そんなに金貯めて何か使う予定でもあるのかい

セカイ

借金の返済のために…

ユマバ

ずいぷんと借りたみたいだね

ユマバ

いくら借りてんだい

セカイ

多方面から色々借りてまして全部で大体

セカイ

2000万ほど

ユマバ

それは大金だね

ユマバ

何に使ったんだい

セカイ

ある男に騙されたんです！

ユマバ

それが最初に言ってた男かい

セカイ

はい

セカイ

ユマバさんは人間を買取って裏の世界に売っているとお聞きしました

セカイ

どうかマコトさんを見つけて買い取って欲しいんです

ユマバ

なるほどね

ユマバ

言っとくが私は誰でも喜んで買い取るわけじゃない

ユマバ

あくまで商品になる人を買っているんだ

ユマバ

こっちで見極めさせてもらうよ

セカイ

はい

ユマバ

それと

ユマバ

買い取ると言っても別にあんたに金を払うわけじゃない

ユマバ

マコトとかいう男の口座に払うことになる

ユマバ

借金は自力で返していかなきゃならないよ

セカイ

わかっています

セカイ

私は彼が許せないんです

ユマバ

とりあえず調査するから

ユマバ

またこちらから連絡するよ

セカイ

お願いいたします

〜1週間後〜

ユマバ

やぁお嬢さん

セカイ

まさかユマバさんですか？

セカイ

連絡先変わったんですか

ユマバ

そんなずっと同じ番号使っているわけないだろう

ユマバ

仕事用の携帯は常に変えてんのさ

ユマバ

それよりマコトの情報洗ってきたよ

セカイ

もうですか！？

セカイ

すごいですね

ユマバ

ありゃとんでもない大詐欺師だね

セカイ

そうなんです

セカイ

私に愛の言葉を囁いて近づいてきたのに

セカイ

気づいたら全てのお金を持って私の前から消えたんです

ユマバ

それが大体5年前か

セカイ

そこまで調べたんですか

ユマバ

逆になんでこの5年間あんたは動かなかったんだい

セカイ

それは

セカイ

私にマコトさんは不釣り合いだとわかっていたし

セカイ

なんとなく納得していた部分はあったんです

ユマバ

でも借金までさせられて悔しいだろ

セカイ

もちろんですよ

セカイ

会社の事業を成長させたいから今お金が必要なんだって頼まれて…

セカイ

すぐに回収できるから今だけっていうのを信じちゃって

セカイ

銀行と色々な金融会社からお金を借りてきて渡したんです

セカイ

騙されたって気づいた時は夢であって欲しいと何度思ったか

セカイ

でも同時にやっぱりなとも思ったんですよ

セカイ

10歳も年上の私に近づいてきた時点で怪しむべきでした

セカイ

私の人生っていつもツイてないんですよ

ユマバ

随分とネガティブな子だね

セカイ

だからマコトさんのことは夢だったんだって考えるようにして

セカイ

風俗を始めて借金を返済していたんです

セカイ

でもこの前他の女性と歩いているマコトさんを見つけて…

セカイ

私だけがこんな思いをしていることに耐えられなくなったんです

セカイ

マコトさんと歩いてる楽しそうな女の人の顔が忘れられなくて

ユマバ

先月その女もあんたの仲間入りしたよ

セカイ

え？

ユマバ

マコトはまた飛んだ

ユマバ

あんたを含めて5人目だ

セカイ

そんな

ユマバ

あんたの件を初めに年に一回のペースで詐欺してる

ユマバ

マコトは結婚詐欺師になってるよ

セカイ

それじゃあの人はまたいなくなっちゃったんですか

ユマバ

心配するな今うちの優秀な部下が追跡してる

ユマバ

それより深刻なのは遂に被害者に死者が出たことだ

セカイ

死者？

ユマバ

そのお嬢さんが最後に見かけた女

ユマバ

多額の借金に追われたのと恋人を失ったショックで自殺してる

ユマバ

警察も動いてるみたいだ

セカイ

なんてことを

ユマバ

もうしばらく調査はするが

ユマバ

ああいう奴が泣き喚くのは金持ちが好きなんだ

ユマバ

商品価値はあるよ

セカイ

そうですか

セカイ

安心しました

セカイ

それにしてもまさか人が死ぬなんて…

ユマバ

あんたは強く生きるんだよ

セカイ

はい

〜1週間後〜

ユマバ

あんたは地獄を信じるかい

マコト

急になんだよ

マコト

ていうか誰？

ユマバ

おいおいほんとにあんた結婚詐欺師かい

ユマバ

レディの扱い方を知らないね

マコト

なんで結婚詐欺のこと知ってるんだ

マコト

誰だよおい！

マコト

警察か！？あいつが俺を打ったのか！？

ユマバ

安心しな

ユマバ

私は警察でもないしあんたを警察に連れて行きもしないよ

マコト

信じられるかよ

マコト

大体なんで俺の連絡先を知ってるんだ！

ユマバ

うちの優秀な部下を舐めてもらったら困るね

ユマバ

あんたの連絡先を特定するなんざ朝飯前らしいよ

マコト

他人事かよ

ユマバ

それよりあんた随分と酷いことして回ってるみたいだね

ユマバ

女性の心を弄ぶなんざ罪な男だよ

マコト

お前に迷惑かけたかよ！

マコト

それに俺のターゲットは全員年増のババアだよ

マコト

若い男を抱けてむしろラッキーだろ

ユマバ

随分と元気がいいねお前

ユマバ

気に入ったよ

マコト

向こうは若い男と結婚ごっこできて

マコト

俺は大金が入ってウィンウィンだろ

ユマバ

あんた見た目はいいらしいからね

ユマバ

相手を見つけるのは簡単だろうね

ユマバ

最近の女は社会に抑圧されて飢えてるからさ

マコト

そうなんだよ

マコト

ちょっと乾いた母性に水をかけてやったらよ

マコト

すぐに俺に懐いてくるんだ

マコト

俺の人生ちょろすぎまじww

マコト

もう少し攻略しがいがあってもいいんだけどなw

ユマバ

それならちょっとハードモードにしてみるかい？

マコト

へ？

ユマバ

あんたを買い取ってくれって依頼が来てる

ユマバ

いいよあんたの望み通りもう少し手応えのある相手を用意してやろうじゃないか

マコト

何言ってんだよあんた

ユマバ

セカイって名前覚えてるかい？

マコト

セカイさん！？

マコト

セカイさんが俺のことをあんたに話したのか

ユマバ

そうだよあんたの一番最初の被害者

ユマバ

もといえば彼女が少しズボラだったからあんたがつけあがったのかもね

マコト

待ってくれ

マコト

違うんだ

ユマバ

もう遅いよ

ユマバ

アンタは手遅れ

ユマバ

女性をあまりにも食い物にしすぎたんだ

ユマバ

次はアンタが食われるばんだ

ユマバ

今日中に迎えがいくよ

マコト

待ってくれ！

マコト

頼む話を聞いてくれ！

〜次の日〜

ユマバ

調子はどうだい

マコト

やっと返信したな！

マコト

ここはどこなんだよ！

ユマバ

今からアンタは高さ30メートルの綱渡りをしてもらうよ

ユマバ

もちろん命綱なしでね

マコト

は！？

マコト

どういうことだ！

マコト

訳がわからない！

ユマバ

アンタはもう私たちの商品

ユマバ

金持ちの変態どもを楽しませるピエロってわけさ

ユマバ

アンタには合計２億の金が掛けられてる

ユマバ

アンタが下に落ちればお偉いさんたちの2億はパァだ

マコト

待ってくれ！

マコト

何か誤解があるんだ！

マコト

俺の話を聞いてくれ！

ユマバ

誤解？

ユマバ

散々女を騙しといて何が誤解だよ

マコト

違うんだ俺は指示されてやってたんだよ！

マコト

俺一人の反抗じゃなかったんだ！

ユマバ

じゃぁ指示をされてたからって女を騙していいなんてことになるのかね

マコト

それは

ユマバ

そうじゃ無いだろ？

ユマバ

アンタは何人もの人生をダメにしてきたんだ

ユマバ

一回綱渡りするぐらいどうってことないだろう

マコト

頼む

マコト

せめて内容を変えてくれ

マコト

高いところがほんとに無理なんだ

ユマバ

悪いがもう変更はできない

ユマバ

対戦相手も決まってるんだ

マコト

対戦相手？

マコト

なんだよ対戦相手って

ユマバ

まだ説明の途中だったね

ユマバ

この綱渡りは二人のプレイヤーがいてどっちがゴールに辿り着くかを当てるゲームなんだ

ユマバ

綱渡りって言っても幅20センチほどある鉄骨だ

ユマバ

鉄骨渡りといった方がいいかね

マコト

対岸からってお互い真ん中でぶつかるんじゃないか

マコト

幅20センチなんてすれ違うことなんかできないぞ

ユマバ

そのとうり

ユマバ

つまりこれはデスマッチってわけだ

ユマバ

落としあって生き残った方が対岸に辿り着く

ユマバ

対岸にある鍵をとって自分の首輪を外したらクリアってわけさ

マコト

お前らは人間じゃない！

マコト

こんなものサイコパスのやることだ！

ユマバ

ちなみに投票率を先に教えてやろう

ユマバ

お前が勝つに賭けた人はたったの10%だ

ユマバ

大穴だな

マコト

俺が負けると思ってるのかよ

マコト

いいぜやってやる

マコト

どんな奴が相手でも俺が突き落としてやるよ！

ユマバ

そろそろドアが開くよ

ユマバ

対戦相手が見えたかい？

マコト

嘘だろ？

マコト

なんでいるんだ

ユマバ

指示した黒幕っていうのはあいつだろ？

ユマバ

アンタの第一被害者　

ユマバ

西園寺セカイ

〜すぐ後〜

セカイ

このまま無視するつもり！？

セカイ

なんで私がマコトとゲームしなきゃいけないのよ！

セカイ

ちょっと！

ユマバ

お待たせしたねお嬢ちゃん

セカイ

やっと返信したわね！

セカイ

私まで拉致してどういうことよ！

ユマバ

全く悪知恵が働く子だよアンタは

ユマバ

あの詐欺師もとんでもないクズだが

ユマバ

アンタはその上をいくクズだったね

セカイ

へ？

セカイ

一体何を言っているの？

ユマバ

言っとくけどアンタの演技は効かないよ

ユマバ

念の為依頼人のことも根掘り葉掘り調べてるんだよ

ユマバ

そしたらアンタ逮捕履歴があるんだってね

ユマバ

結婚詐欺

ユマバ

しかもこりゃ5人どころじゃないね

セカイ

どうやら全部調べられちゃったみたいね

ユマバ

一回捕まってアンタはヒヨったんだ

ユマバ

でも詐欺以外の生き方を知らない

ユマバ

今度は他人を使って詐欺をすることにした

ユマバ

その標的となったのがあの小僧

セカイ

マコトはね無職でその日暮らしの生活をしてたから金の話にすぐ食いついたわ

セカイ

私が詐欺のノウハウを全て彼に叩き込んだ

セカイ

私の経験知識と彼のルックスがあれば完璧だとおもっわ

セカイ

実際驚くほど上手くことは運んだ

セカイ

彼の才能には驚いたわ

ユマバ

お前はもし小僧がしくじっても逃げられるように自らを第一被害者に仕立て上げていた

ユマバ

小僧を盾にして逃げられるように

ユマバ

しかし小僧は思った以上にデカいしくじりをした

ユマバ

被害者の自殺

セカイ

ほんと呆れたわ

セカイ

これで刑事捜査されたら私のところにたどり着く可能性が高い

セカイ

普通の結婚詐欺とは捜査網の張り方が比べ物にならないもの

ユマバ

そこで小僧が警察に捕まる前に私たちに消させようとしたわけか

ユマバ

ほんとにお前ほどの悪女はなかなかいないよ

セカイ

才女って呼んでほしいわね

セカイ

自分の手を使わずにお金を稼ぐなんて誰でもできることじゃないわ

ユマバ

そうだね

ユマバ

だができる女っていうのはいざという時に一番頼りになるのは自分の力なんだよ

セカイ

だからゲームで勝って見せろってわけ？

ユマバ

そのとうり

ユマバ

オーディエンスは小僧よりアンタに少しばかりは期待してるみたいだよ

セカイ

いいわよ

セカイ

期待に応えてあげる

ユマバ

ゲーム内容は簡単

ユマバ

相手を押し退けて向こう岸に辿り着けばアンタの勝ちだ

ユマバ

ただし高さ30メートルの鉄骨を渡ってもらうよ

セカイ

噂には聞いてたけど

セカイ

ほんとに狂ったイベントね

ユマバ

そうさここは上の世界では禁じられた興奮を体験できる

ユマバ

ローマ時代のコロシアムみたいなものさ

ユマバ

人間の本能はここを求めてる

ユマバ

アンタも欲に溺れて上の世界で正しく生きられなくなったんだろ？

ユマバ

ここなら欲を沢山出したヤツが勝つ

セカイ

私にピッタリね

セカイ

絶対に勝ってみせる

セカイ

そしてアンタを必ず引き摺り下ろす

ユマバ

さぁゲームが始まるよ

ユマバ

せいぜい頑張りな

〜後日談〜

ユマバ

上の世界では誰もがうちに潜めている欲を抑えて生活しています

ユマバ

潜在的に眠る欲を悪という名前をつけて社会は秩序を保っているのです

ユマバ

しかし眠れる欲を起こしてしまった者たちは一体どうすればいいのでしょうか

ユマバ

そんな者たちを私たちは集めて彼らが輝ける場所を提供してやっているのです

ユマバ

ゲームの結果がどうなったか気になるですって？

ユマバ

とてもつまらない者でしたよ

ユマバ

変態どものオーディエンスの予想結果どうりとなりました

ユマバ

それならお嬢ちゃんが勝ったのかって？

ユマバ

いいえ

ユマバ

オーディエンスの予想はこうです

ユマバ

小僧が10%

ユマバ

お嬢ちゃんが15%そして

ユマバ

勝者ゼロが７５%でした

ユマバ

ね。つまらないでしょう？

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結城真矢

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