おれ
おれ
おれ
おれ
???
僕の名前を呼んだのは、
アルバーン
紛れもなくお兄で。
アルバーン
サニー
誤魔化さなきゃ。
そう思ったけど、ホテルの前で腕掴まれて入ろうとしてるのに、誤魔化すなんて無理な話だった。
アルバーン
サニー
アルバーン
グイッ
ナギサさんは驚いた顔でこちらを見ている。
腕はお兄に掴まれていて、少し痛くて、少しあったかくて、変な感じだった。
あぁ、お兄のことはもう好きじゃないはずなのに。
あぁ、今日他の人と過ごせば完全に、少しだけ残ってしまったこの気持ちに別れを告げることが出来たのに。
ねぇ、お兄。
今日だけは許して欲しかったんだけどなぁ。
サニー
あぁ、なんで。やっぱり遅かったのかも。
探し回って、探し回って、やっとの思いで見つけたアルバーンは知らない男とホテルに入ろうとしていて。
全てが遅かったのだろうか。
君が好きだと気づくのも、君を見つけるのも、君に好きと伝えるのも。
また、頭の中をぐるぐると。
気がついたときには、声をかけてアルバーンの腕を引っ張って早足で歩いていた。
アルバーンの腕は思ったよりもずっと細くて、少し冷たくて、でもあの男の人の暖かさが残っていて、悔しくなった。
なんだかわかってしまうんだ。
ねぇ、アルバーン。
きっと今日で全てが決まってしまうよ。
カチッカチッカチッ
ワッフルの甘い匂いがほんの少し残った部屋の中で、時計の音だけが響く。
カチッカチッカチッ
サニー
先に沈黙を破ったのはお兄の方だった。
アルバーン
サニー
アルバーン
わかってる、約束をしたのも、それを破ったのにお兄が怒っていることも。
サニー
本当はね、僕が行きたいだけなんて嘘。 あのね、お兄を忘れようと、忘れたかを試しに行こうとしたんだよ。
アルバーン
約束なんて、最初からするんじゃなかった。
サニー
アルバーン
心配って、なにが。
だってエッチは、僕を保つための行為で、僕には必要な行為で。
サニー
アルバーン
サニー
アルバーン
サニー
アルバーン
お兄だって、シテたじゃないか。
だから、僕は。
あの日は確か2年前、お兄のオトモダチが家に遊びに来ていた日。
その日は中学生の僕の方が帰りが遅かったのに、帰ったらリビングには誰もいなかった。
晩御飯を何にしようか、お兄に相談しにお兄の部屋に行ったら少しだけドアが空いていて、
中を覗いたら、
お兄がオンナノヒトとキスをしていて。
ただの触れるだけのキス。
同意の上か、好奇心か、はたまた無理矢理か。
何もわからなかったけど、とにかく驚いて、
お兄が女の人とって考えるだけで気持ち悪くなって、視界がぼやけてきて、悲しくて、苦しくて、怖くて。
恋心を自覚すると同時に失恋をした。
急いでリビングに戻っても心臓の音は止まないし、今何しているのか気になって仕方がなかった。
少し時間が経って出てきた2人は少し頬を赤らめていて、それにもう一度悔しくなったのもよく覚えている。
別に行為をしていたわけではなかったけれど、キスだけでも叶わない恋を自覚するには十分すぎたんだ。
それからオンナノヒトが家に来たことはなかったけれど、僕の心にはぽっかりと穴が空いたみたいだった。
それからだった。僕がいろんな人とエッチするようになったのは。
エッチは心の穴を、一時的ではあるけれど、埋めてくれる。
もう一度、もう一度。
それを繰り返していくうちにそれが当たり前になってきて、やめられなくなって。
だから、エッチは僕を保つための行為で、僕には必要な行為なんだ。
ねぇ、お兄。
こんな弟をどう思う? こんなことを話したらどう思う?
こんなこと、言えるものか。
アルバーン
アルバーン
アルバーン
アルバーン
コメント
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好 き で す 🥲♡ 今 に な っ て お す す め に 出 て き ま し た … な ぜ も っ と 早 く 出 て こ な か っ た の か … !! 続 き 楽 し み に し て い ま す っ !
めちゃくちゃいい…… 天才的作品や、続き待ってます!
うわぁぁぁぁあ!!!好きすぎる心がグッとくるのもまた味いやーーーすき。