保
失礼します。
野口
どうぞ、その手前の椅子に掛けて下さい。忙しい中、来てもらって悪かったね。
保
いえいえ、そんな事ありません。失礼します。
野口
今日来てもらったのは、今後の働き方の相談と、藍澤くんの今の心境を訊いておきたくてね。この間、武田さんにも来てもらって、同じような事を話したばかりなんだ。
保
はい、武田本人からも少しだけ、聞いています。色々決め事をしてきたようでしたね。
野口
我々の仕事は同時にいくつもの事をできるようなものではないからね。取捨選択が必要なタイミングが必ずあるんだ。
保
はい、私もそういう事に少しずつ気付いてきました。那須さんや武田を見てると、特にそれを思います。
野口
なるほど、、それでは話が早いかもしれない。とういのも那須店長は現在、シトラテラス各店の店長が受け持っている重要顧客担当の中で特に顧客数が多い。
保
それは出向系の仕事という事で認識していいですか?
野口
そうだ。赤坂店で働いている君なら当然分かるだろうか、なかなか店の仕事と両立が難しくなってきている。
保
分かります。その為に武田を那須さんのサポートに充てたんですよね。
野口
勿論そうなんだが、藍澤くんにも店のマネジメント側で協力してもらえないだろうか?那須の後任として、店長補佐として仕事をしてもらいたい。その後、那須が本部長なったタイミングで赤坂店の店長を任せたい。
保
随分、急な話なんですね。少し驚いていて、上手く想像できないんですが。。
野口
経緯を話すと長くなるんだが、コロナ以降、この重要顧客事業の需要が伸びてきている。色々な因果関係があるのだろうが、正直なところ出向事業は別のスキームでチーム編成しなければならないと考えている。
保
そういう事でしたか。
野口
まぁ、一朝一夕で出来る事ではないから、これから数年間を掛けて作り上げていく。つまり引き継ぐ時間はたっぷりあるという事だ。今、君がやっているOJT担当も実はそのステップのひとつなんだ。
保
でも、それなら武田の方が実績もありますし、店の顔としても適正なのではないでしょうか?
野口
人には向き不向きというものがある。この事を武田さんにも伝えたところ、君が適任だと彼女も言っていたぞ。ふふふ。
保
えっ、そんな事、環の奴言ってませんでしたけど!あ、いや、失礼しました。
野口
いいんだ、いいんだ。私の口から直接伝えたいと彼女には釘を刺しておいたんでね。それで、やってくれるか?
保
はい、、わかりました。確認ですが、那須さんは当然この事を知っているんですよね?
野口
知ってるどころか、全て彼が考えたシナリオだよ。






