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ギスギスもないただのハッピーエンドストーリー

第7話 - 司流デートサプライズ

2025年08月16日

#司寧々

#恋愛

#プロセカ

#創作

ミルニル/MILNIL

ミルニル

この章も終盤にかかってまいりました。

ミルニル

四の五の言わず、こっからかけていきます。妄想のままに

ミルニル

このままお付き合いくださいませ。

司

寧々！これ見てみろ！

寧々

わぁ…！かわいい…！って、あれ？

寧々

なんかこれ、フェニーくんに似てない？どっちかっていうとペンギンだけど

司

そういえば、試作品も一緒に陳列されてると慶介さん達が言ってたな

寧々

コラボ製品ってこと？流石に手回しが早すぎない？まぁ、いいんだけど

司

どうする？これにするのか？

寧々

うーん、迷うなぁ…

司

…じゃあ、これなんてどうだ？

寧々

ん？…それは？

司

ここのメジャーな動物を基にした集合写真みたいなものらしい。床下が水色で緑の風景をバックに黄色の暖かい色の縁で囲んでてきれいじゃないか？
それに、ほら、ここ見ろ

寧々

え！これって、人魚？なんで？

司

それはわからんが、人魚があるのはこれだけのようだ。これにしないか？ちょうど2個あるしな！

寧々

…うん！それに、なんだか懐かしい感じがする

司

よし！では買ってくるぞ！少し待っていてくれ

寧々

いや、いいよ、混んでるわけじゃないし。一緒に行こう

ギュッ…

司

！（服の裾を…）

司

…あぁ、行こう！

寧々

…………///

寧々

（もう、嬉しそうな顔しちゃって…店員さんも空気読んじゃってるじゃん。恥ずかしいなぁ、もう…）

寧々

熱帯魚コーナーかぁ…

司

ん？この魚、どこかで見たことあるような…

寧々

どれ？…あ、それ、たしか人魚姫のショーで見たことあったと思う

司

それだ！確か名前が………――

寧々

そうそう。それで………――

寧々

わぁ…きれいな人口池…

司

確かに、素晴らしい造形だな

寧々

水族館なんて久しぶりどころか、ショーと類に出会ってからは、全く縁が無かったんだよね

司

そうだったのか？…いや、なんとなく分かるぞ。大方、類がそのあたりのもので作ってしまうんだろう。
あいつは、自分の望むものは何でも独りで作ろうって人だからな。

寧々

…うん、そうだね。

司

今回は寧々のためだったが、次ここに来るときは、他のあいつらも一緒に連れて行ってもよいかもしれんな

寧々

…うん。

司

…もう、すっかり、辺りが暗くなってきたな…

寧々

……

司

……

寧々

ね、ねぇ、司…

司

…どうした？

寧々

…今日は、ありがとう。

寧々

出かける前は、つい疑ったりしちゃったけど、

寧々

あの時司が言ってたこと、本当に感じるようになっちゃった

司

あの時？

寧々

ほら、言ってたでしょ？「初心に帰る」って

寧々

司と一緒に子の水族館を歩いて、お喋りして、今を楽しんでるとね、

寧々

なんでか、心を奥底から、なにかが湧きあがってくるんだ

司

なにか？とは、どんな感じか分かるか？

寧々

上手く言えないけど…、

寧々

周りが水に囲まれて、目の前に水しぶきが飛んできそうで、それでいて、頭の中で歌が流れて、視野が広がって見えるような、

寧々

あの、初めて出会った人魚姫のショーを見た時と同じ感情が…！

司

…そうか、そこまで感じてくれたんだな

寧々

うん。

寧々

…司の「初心に帰る」って意味、最初はよくわからなかったけど、

寧々

こうやって思い出を振り返るのって、凄くドキドキできるものなんだね。
なんか、今回、司にいろいろ教えてもらっちゃった気がする

寧々

本当にありがとう、司

司

寧々…
…まぁ、これでもみんなの座長だしな！寧々のためならば、努力を惜しむつもりは無いからな！

寧々

はいはい、司はずっとそうだよね。

司

…それに、礼を言うのは俺の方だ。

寧々

…え？

司

寧々がショーをやるきっかけの話は前に聞いてるが、俺はその感触というものを肌で感じ取りたかったんだ。それも、できれば寧々と一緒に…な。

寧々

私？なんで私と…？

司

それは…少々、言うのが恥ずかしいが…

寧々

…？

司

寧々の気持ちを、もっと、
……知りたくてな。

寧々

えっ

司

あの時にも言ったが、俺はこの先寧々と一緒にいたい

司

さらに言えば、寧々と共に人生を歩みたいと思っている。

司

それゆえに、寧々の気持ちをもっと知り、もっとお前の力になりたいと思ったんだ。

寧々

私の、役に…

寧々

で、でも、司の夢は、世界一のショースターになることでしょ？

寧々

その夢はどうするの？私も世界的なミュージカル俳優を目指してるけど、ジャンルも違うし、司の手間になるんじゃ―――

司

寧々。

寧々

！

司

前にえむにも言った気がするが…

司

俺は、遅かれ早かれ、いずれスターになる。だから気にするな。

司

それに、こういうのは過程が大事なんだ。

寧々

過程…？

司

俺は一生を懸けてスターの道を歩む

司

その道中で、自分の後悔するような選択肢は絶対に選びたくない

司

その後悔の中に、「寧々と離れること」も含まれているんだぞ

寧々

！つ、か、…さ…

司

…そういえば、まだ告白の返事はもらっていなかったな

寧々

あ…

寧々

わ…私は…

寧々

（本当は、今すぐにでも応えたい…！
返事を、言いたい…！）

寧々

（…でも……）

寧々

（…司が私のこと、本気で想ってくれてるってわかって、安心と、喜びの気持ちが湧き上がったのが自分でもわかった。すごく幸せな気持ちになった。…なのに、）

寧々

（返事を出すのが、コワイ…）

司

…寧々？

寧々

（なんで、怖がってるの？…いや、理由は、多分分かってる。）

寧々

（もし私が司と付き合えたら、今以上に練習も本番も頑張れる気がするし、プライベートでも、いつもより欲や我が出てくると思う。）

寧々

（わたしは、結構…いや、かなり司のことが、…好きだから）

寧々

（でも、さっき、司から「寧々と『離れる』こと」って言われて、）

寧々

（少し、心が傷んだ）

寧々

（いや…いや！少しじゃない。ずっと恐れていたんだ！でも、まだ先のことなのに、勝手に楽観視してたのは自分だ。）

寧々

（私は、司のことが、大好き。）

寧々

（でも、同じくらいかそれ以上に、ワンダショのみんなと今の状態でいるのが、何よりも好きなんだ）

寧々

（だって、えむちゃんが司を憂いてたみたいに、）

寧々

（類が先の未来を憂いてたように、）

寧々

（司が、わたしとの将来を憂いてたのと、同じで、）

寧々

（私は「司と」よりも「みんなと」離れ離れになることを、憂いてたから。）

寧々

（司はこんなにも私のことを考えて、デートに誘ってまでしてくれたのに）

寧々

（私は、あなたのことを考えるどころか―――）

寧々

（…こんな気持ち、どうやって伝えればいいの）

寧々

（告白の返事として、最低すぎるでしょ…）

司

寧々…

司

もしかして、寧々は…

寧々

！！言わないで！！

寧々

お願い！それ以上は！！！

司

！ね、寧々…？

寧々

ハァ…ハァ…
…！

寧々

な、なんでも、ない…

寧々

そ、その…も、もうちょっとだけ、考えさせてもらっても、い、いい、かな…？

司

寧々…

寧々

（あぁ、そんな顔しないで）

寧々

（そんな顔をさせたかったわけじゃないの、…でも）

寧々

（…ごめん）

司

（…ふむ）

司

（やはり、類の言った通りになったか）

司

（あいつの筋書き通りのようで、なんだか釈然としないが、）

司

（まぁしかし、さすが幼馴染、だな）

司

ところで寧々

寧々

な、何、ですか？

司

言い忘れていたんだが、今日は視察ということもあって、兼ねてより予定していたサプライズイベントが開かれるらしいんだ

寧々

イベント…？

司

せっかくだし、見に行かないか、今日のデートの締めとして、な？

寧々

…うん、そうだね、行こうか。わたしも気になるし

寧々

（イベント…？パンフには載って無かったけど、サプライズって、何の？）

寧々

うわぁ…！

司

これは…すごく美しい世界観だな…

寧々

ほんとに…！こんなとこがあるなんて、知らなかった…！

司

（…どうやら、観客は俺たち2人だけのようだな）

司

（…本当にここまでやってくれるとはな、頭が上がらないぞ、全く…）

司

（さぁ、寧々。お前の本心を教えてくれ）

寧々

あ…！始まる…！
って、この音…嵐？

？？？

『船長！！舵が言うことを聞きません！！』

寧々

え？

？？？

『諦めるな！帆を張り続けろ！』

寧々

このショー…！それに、この声って

ピシ”ャ”――――― ン！！

寧々

きゃぁ！！（ギュッ

司

ガクッ）うお！？

寧々

あ…！ご、ごめん…//

司

い、いや、気にするな…

司

（…流石類だな…（汗））

寧々

も、もう…
（類だと予想してなかったら、こんなにも驚くもんなんだ…抜かってた…）

？？？　

ーー～～♪

司

おぉ…！なんと撫でやかなメロディだ…

寧々

（え！！？こ、これって、この声って！）

風祭

『…いい音色ね。今日もお魚さん達が躍ってる。』

寧々

風祭さん！！？？なんでここに…？？

司

寧々。

寧々

え？

司

今は、ショーを楽しもう。

司

ほら、初心に帰って。もっと近くで見てみよう（グイっ

寧々

あ、あぁ、ちょっ、ちょっと待って！司！

・・・

風祭

―――私は行くわ！！あの人に会いに！！

風祭

ーー～～～－～♪ーー～♪

寧々

わぁ…！

寧々

（まさか、また生であの時のショーが見られるなんて…！）

風祭

ーー～～～…！

寧々

！（今、目が、合って…）

風祭

～～～－－～～♪

寧々

（？語りかけてきてる…？）

風祭

ーーーー！♪－－～～～！

寧々

（フシギ…）

寧々

（励ましてくれてるみたい…「あなたなら大丈夫だよ」って）

寧々

（なんの根拠もないのに、そう思わされるだけで、段々と勇気も、自信も、気力も湧いてきて―――）

寧々

（…あ、そうか…私、そういうことだったんだ…）

終演後

えむ

ねねちゃーーん！！つかさくーん！！

類

やぁ、二人とも♪　…今回のショーは、どうだったかな？

司

うむ、最高だったぞ！俺がいないにしては中々のハイクオリティだった！

類

うんうん、お褒めにあずかり光栄だよ

えむ

ねねちゃんはーー？？どうだった？どうだった？

寧々

うん…本当に、きれいだった…！ありがとう、二人とも
…でも、なんで二人とも、ここに…それに―――

風祭

寧々ちゃん、久しぶり！

寧々

なんで風祭さんまで…？

類

あぁ、それはね―――

風祭

私から志願したんだ

寧々

え…？風祭さんから？

風祭

うん。元々は、ここでショーをやらず、魚のショーと関わり深かった者としてのインタビューショーになるはずだったの

類

そこに僕たちが頭を下げたんだ。友達のためにショーをしたい、そのためにこの場所は最適だと

えむ

ねねちゃんのこと、いーーぱい話して、館長さんやスタッフさん、イベント運営の人たちみんなに許可取ってきたんだ！

寧々

そ、そんな大掛かりに…どうしてそこまで？

司

全部、寧々のためだ

寧々

わ、私？

類

そう、寧々の、ほんのちょっと芽生えた恋心に、ね

寧々

え…えぇえー～～～！？

寧々

い、いつから！

類

結構最初から、司君以外は。

寧々

え！てことは
えむも！？

えむ

ごめんね～ねねちゃん。かくしごとは良くないけど、その時は私もねねちゃんのこと、よくわからなったから、お姉ちゃんに聞いて分かったの！

寧々

そ、そう…

司

なぬ！？そ、それは初耳だぞ、お前たち！！

寧々

（なんで司も気付いてなかったわけ…？）

風祭

寧々ちゃん

寧々

？

風祭

寧々ちゃんのこと、お友達から聞かせてもらったよ

風祭

今の寧々ちゃんの気持ち、聞かせてくれない？

寧々

わ、私の、気持ち…？

類

司君から、告白されたんだよね…？

寧々

！

えむ

まだ、返事、出来てないんでしょ？

寧々

なんで…

類

盗み聞いてたわけじゃない。でも…

えむ

ねねちゃんの考えてること、なんとなく、分かっちゃってるんだ。

寧々

…っ

司

寧々…

司

本心を、聞かせてくれ

寧々

わ、私…わたし…怖かったの

寧々

この4人で今まで活動してきて、これからもずっとこの幸せな空間であり続けるんだって…！

寧々

前に、風祭さんから聞いた、仲間を離れ離れになるって話…

風祭

うん、言ったね。

寧々

私だって、覚悟してた…でも、思った以上に、ここが「4人で１つ」なのが、心地よかったの…！

寧々

それはショーを繰り返すたびに、強く、大きくなって、でも、

寧々

最近までのわたしは、、離れ離れを考えるよりも、今この瞬間を楽しむことに執着してたから、…4人でい続けたい気持ちも、別れを惜しむ気持ちも、全然、自覚していなかった

類

！（今、この瞬間をお、楽しむ…）

寧々

私、司が最近伸び出して、ワークショップとか独りで突っ走っちゃって、

寧々

負けてられないって思う反面、遠くにいっちゃったみたいで、怖かったの

司

…

寧々

多分、この時に、私の中で、2つの選択肢があって…

寧々

これが「私個人としての不安」なのか、それとも「離れ離れになることへの恐怖」なのか

寧々

前者は、その時は全く自覚できなかった。好きだなんて気持ち、初めてだったし…でも、後者は、…予想はしてた。

寧々

だって…無人島で、私は伝えたから…！伝えたかったから！私の気持ちを、みんなに！

えむ

あ…

類

…そうだね、

類

『たとえ離れ離れになったとしても、お互い、未来でもずっと笑い合えるように』…だったね

風祭

そう、だったんだ…

寧々

そうやって覚悟してきたものが、なんでか、崩れていきそうで、わけわかんなくて、

寧々

分かんないことを考え続けてるうちに、いつの間にか、「私個人としての不安」に駆られることになっちゃって…

類

それは、どうして？

寧々

司の、せい…

司

え”！？俺のせい！？？

寧々

そ、そう！そうなの、よく考えたらそこからなの！

寧々

司のことを考え始めたら朝になってるし、勝手に私の世話やいてくるし、なにかと急に一緒に居たがるし、クラスメイトからにやけ面されるし！

寧々

ここしばらくあんたのことしか考えれなかったの！反省してよね！

司

え、えぇ~??
それは、その、すまん…

風祭

（謝っちゃうんだ）

類

でも、それがどうかしたのかい？

寧々

え？

類

要は、その過程もあって、寧々は司君のことが好きだと分かったんだろう？

寧々

う、ま、まぁ、その、…うん…

類

でも、そこと離れ離れになること、あんまり関連づかない気がしてね

寧々

そ、それは…

寧々

だ、だって…（こ、声、震える…目も合わせられない…）

寧々

つ、司が…

司

（ま、また俺なのか…？）

寧々

司の告白、凄く嬉しかったのに、私今、4人で1つでいられる関係が崩れることが、い、一番！……怖いの

司

え…

えむ

ねねちゃん…？

類

それって…

風祭

…どういうことなのかな、寧々ちゃん？もう少し具体的に教えてくれる？

寧々

も、もし、私が司と付き合えたら…やりたいことはいっぱいあるし、一緒に、や、やりたいこともたくさんある…

寧々

そ、それに…

寧々

司と私は、夢が似てるから…世界中を一緒に回って、一緒に、夢を追いかけたいって、思う…

寧々

で、でも！そういう気持ちは、4人で、ワンダーランズ×ショウタイムとして、ずっと夢に向かって進みたいって気持ちの方が、大きいの！！

司

！

寧々

だってみんなもそうでしょ！！？この4人ならどんなことでも乗り越えられるって！私を救ってくれたクリスマスの時とか、ナイトショーをやり切ったときとか、特にそう思った！

寧々

その時思ったの！ここが、4人でいることが、私の居場所だって！

寧々

おかしいでしょ！？つかさのことが大好きな癖して、4人でいる関係が崩れるのが怖くて、返事ができない今の私なんて…！

寧々

なんで急にこんな気持ち…たぶん私、どっちをとっても…これからみんなのこと、みんなと顔、を、目を、合わせられないかも…

寧々

自分が…2つあるみたいで、…許せないの…自分に…答えが、分からない…どうすればいいの…

えむ

どっちも、間違ってないよ、ねねちゃん

類

えむくん…？

司

えむ…？

風祭

えむちゃん…？

寧々

…え？

えむ

ねねちゃんは今、すっごく、迷ってるんだよね？

えむ

自分だけの気持ちを取るか、みんなとの気持ちを取るか、

えむ

たしかに、難しいよね。私も、最近まで全然わからなかったんだ。

えむ

恋ってなんだっけ？どういう時に恋っていうんだろう？って

えむ

幸せとは意味が違うのかな？愛情とは違いものなのかな？って

えむ

きっと、どっちも、ねねちゃんにとって「大切な気持ち」だと思うんだ

寧々

えむ…

寧々

でも、どっちを優先したらいいかなんて、わたしには…

えむ

違うよ、ねねちゃん

寧々

え…？

えむ

どっちかを、優先しなくて、いいんだよ

えむ

ねねちゃん、こう、考えられないかな？

えむ

ねねちゃんは、「4人で一緒にいたい道の他に、つかさくんと一緒に夢を追いたい選択肢ができた」って考えるんじゃなくて、

えむ

ねねちゃんは、「つかさくんと一緒に夢を追いたいのも、4人で一緒にいたいのも、どっちも離れ離れになりたくないって一つの想いだからだ」って考えるの

寧々

どっちも、離れ離れに、なりたくない…？

えむ

うん

えむ

それでね、お姉ちゃんから聞いたの。離れ離れになりたくないって気持ちは、恋なのかな？って。その気持ちは、私もつかさくんに感じてたから

寧々

え…

司

え、えむ…？

えむ

でもね、少し違ったの。「何をとっても、離れたくないって気持ちが一番強いと、それは恋なんだ」って。

えむ

それであたしは思ったの。「司君と離れ離れになるのはさみしいけど、司君の夢は絶対に応援したいから、仕方ない」って

寧々

え…えむ…

えむ

だからね、ねねちゃん。

えむ

ねねちゃんが、どっちに「どんなことがあっても離れたくない」って思えるのか、考えてみて。

えむ

そして、その答えは、ちゃんとつかさくんに伝えてね

寧々

………………………………

寧々

（わたし、は…）

寧々

！うっふぅ…っ、、ぅぅ、…

司

寧々！大丈夫か…？

類

（寧々…）

えむ

ねねちゃん…

風祭

…

寧々

つか、さ…？

司

ど、どうした…？

寧々

つかさ…好き…

司

寧々…

寧々

大好きなの…あなたのそばに、ずっといたいの…

寧々

最初は眩しすぎてうっとおしかった…でもそれは、私がみんなの中で一番後ろ暗かったから…過去を克服できていなかったから…

司

そんなことない。寧々はちゃんと頑張っていた。トラウマを持っていながら、ちゃんとステージに役者として出ようとしてたじゃないか。

寧々

でも、表舞台で堂々としてなきゃ…客と向き合えてなきゃいけなかったのに…

司

それは俺も同じだった。自分の夢ばかり見て目の前の客を見ているようで見ようとしてなかったんだ。そんな俺は寧々、お前に…

寧々

謝らないで…実は私、あの時叱ってくれて、怖かったけど、嬉しかったんだ。

司

え？

寧々

今まで後ろ指刺されるばかりだった。失敗を何より恐れてた。いざ失敗したら、相手がなんて言おうと、失望されることは目に見えていた。

寧々

でも…つかさに言われた言葉には、なぜか棘が他の人より全然なかった。

寧々

正面から怒鳴られているはずなのに、自分も嫌悪してたはずなのに、なんでか心の重荷は軽くなってた。

司

…それは…なんで…？

寧々

多分、だけど

寧々

わたし、ちゃんと叱られたかったんだと思う。

類

え？

司

どういう、ことだ？

寧々

当時いた劇団の人たちには、ずっと陰口ばかりされてた。怒鳴ることも、いじめもなかったけど、でもやっぱりつらかった。

寧々

劇団の講師も、こっちを見ようとしなかった。いつも通りの練習風景だった。でも、私には違って見えた。

寧々

もうここに、私の居場所も、私を見る人も、いないんだって。
…関心が無くなったんだって。

寧々

…そこから、ヒトとの関わり合いを持つのが怖くなった。お母さんも類も、私を励ましてくれたけど、心のつっかえは取れなかった。

寧々

でもつかさ、あなただけは違った。

寧々

ちゃんと真摯にショーに向かって走ってる。過去の私には及ばないけど、一生懸命だと感じる姿勢。

寧々

何より常に絶やさない笑顔、私は一瞬で理解した。「この人みたいに輝けないな」って。「この人のように観客の笑顔にできそうにない」って

司

寧々…

寧々

そう思ってた私に、あなたはこういった。「客と向き合わないで、最高のショーはできない」

寧々

あの時はショーをする中でずっと、私のことばかり考えてた。客の視線なんて気にも留めていなかった。

寧々

自己責任ばっか責め続けていた。だれも叱ってくれなかったから、自分が自分に叱った。それしかなかった。そうしてようやく裏方だとしても舞台に立てた。…失敗しちゃったけど

寧々

つかさはちゃんと、「わたしのせい」にしてくれた。私の他につかさも、真正面から矛を突きつけてくれた。

寧々

それだけじゃない。その矛のおかげで自分と向き合いたくて、忍び込んだあの日…

司

あ…翌日の…

寧々

うん…

寧々

今度は謝罪だったけど、私に、真正面から伝えてくれてたね。「あのショーを今度こそみんなでやりたい」って

寧々

私はあの時裏方で声だけだったのに、ちゃんと仲間だって言ってもらえて、ほんとに、嬉しかったよ

寧々

改めて言わせて、わたしを誘ってくれて、ありがとう、つかさ

司

…

司

俺からも、一つ、言わせてくれ

寧々

え？

司

寧々、お前は自己責任ばかり考えて客のことを考えてなかったというが、俺はそうは思わない。

寧々

え…

司

寧々はおそらく、ショーに加わろうとする自分自身がまだ許せなくて、俺たちと必要以上のコンタクトをとろうとしなかったんじゃないのか？

寧々

！な、なんで…

司

思い返せば、分かったことだったんだ。今の寧々と比べて、明らかに怯え切った弱弱しい声だったと。しかし、歌になれば迫力は申し分なかったがな。

寧々

そ、そうなの…？

司

あぁ、そうだ。

司

それでも、寧々は練習に毎日顔を出していた。ショーのためにもあるだろうが、俺はショー前日にちゃんと聞いている。寧々が、「観客のみんな、喜んでくれるといいな」と。

寧々

あ…！

司

あの時、客のことを考えていなかったのなんて俺だけだ。だから寧々、俺に言わせてみれば、

司

寧々はあのころから臆病でも何でもない、自分の役目をやり遂げんとする、俺たちの、いや、「俺の」立派な歌姫だ。

寧々

あ……………………

寧々

あ、、あ、ぁあ”ぁ”……、あぁ”、…

司

………（ギュッ

寧々

あり…が、とう…つかさぁ…

司

こちらこそ、ありがとう、寧々

えむ

良かったね！二人とも！

類

これぞまさに、ハッピーエンドだね

風祭

寧々ちゃん。

寧々

あ…か、風祭さん！
す、すみません、こんな、

風祭

いいのよ、大丈夫。それよりも…

寧々

？

司

…

風祭

2人とも、先に世界で、待ってるわよ？

寧々

！

司

！

風祭

関係を築くのも大事だけど、この先、あなたたちなら、どんな試練でも乗り越えられるって、信じてるから、ね？

はい！！・・・

ミルニル

次回、後日談

ミルニル

まぁ気長に待っててくださいや

ミルニル

ではまた。

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