百合
……
私は生まれつき
右目が灰色だった
だからか
右目は弱視
涼介
大丈夫…?
百合
…ぇ、あ…はい
涼介先輩
いつも私の右側を歩いてくれて
嫌味を言う子から遠ざけてくれる
あの百合って奴ほんっとムカつく…
先輩も先輩だよ彼女いんのに
百合
……、
分かってる、けど
先輩優しいから
避けようとしても
無理
涼介
…あんなの聞かなくていいからね…
涼介
いつもああだから、
百合
……っ…先輩…
涼介
…ん、?
百合
…いつも、ありがとうございます…
涼介
うん、全然
百合
でも…もう大丈夫です…
涼介
…どうして、?
百合
…先輩まで、なんか言われます…
涼介
別にいいよ
百合
私が嫌なんです…。
百合
浮気疑惑とかかけられても嫌ですし…
涼介
そんなの気にしなくていいよ
涼介
僕が勝手にしてるんだから
…やめて、
…もう来ないで…
私に、優しくしないで
百合
…先輩なんか、
百合
…死んじゃぇ、…
涼介
…ぇ、?
言ってしまった
百合
…っ、は……
百合
…せんぱ、……
涼介
……ごめんね、
百合
…ちが…そんな……
私の言葉で
ほんとに先輩が死んでしまった。
先輩の彼女さんに
指の爪を剥がされた
クラスの皆からの虐めも酷くなって
耐えきれず
学校を辞めた
実の親にも見捨てられて
近所の人からの目線も怖かった
だからおばあちゃんの家に来た
百合
…おばあちゃん……
おばあちゃん
…ん、?
百合
…私……死なないと…
おばあちゃん
…そんなことせんでいい
おばあちゃん
悪気はなかったんやろ
百合
……でも、…
おばあちゃん
…若いうちは楽しまんと
おばあちゃん
ばあちゃん家でゆっくりしな
百合
……ぅ、ん……
おばあちゃんの手は暖かくて
心地よかった
百合
……おばあちゃん…
おばあちゃん
…なんだい
百合
…あんまり早く死なないでね…
おばあちゃん
…ばあちゃんを誰やと思っとる
おばあちゃん
そんな簡単に死なんよ
百合
…大好き、
おばあちゃん
ばあちゃんもお前のこと大好きや
百合
…嬉しい、