玲
(...やばい...素の自分で喋った...)
外は相変わらず雨が降っていた。
さっきよりも強まった雨が
私の心を抉るように降り注いでいた。
咲海
ごめんね、
咲海
瀬川さん。ちょっとお願いがあるんだけど
玲
...ん?何?
玲
(どーせまた、宿題写させて、とか言ってくるんだろうな...)
玲
(でも咲海(えみ)ちゃんが私に話しかけてきたの初めてだな...)
咲海
ちょっとここじゃ無理だから廊下に来てくれる...?
玲
え?...うん。いいよ。
愛想笑いを張り付かせて頷く。
廊下へと向かう彼女の背中を追って教室を出た。
玲
どうしたの...?
咲海
あの...えっと...
咲海
ごめん、やっぱり今度にし──
玲
話して。
玲
お願い。
少し泣きそうになっている気がした。
この子は悪い子じゃないって、
直観的にだけど、 そう、思った。
咲海
っ...きょ、今日の放課後、
咲海
多目的室に来て欲しい...の、
咲海
それだけっ
言いたいことだけ言ってその場を去った咲海に軽く舌打ちをした。
教室に帰ろうと思い、踵を返すと5mぐらい離れたところにうずくまってる人がいた。
そのシルエットに見覚えがあった。
玲
...香栄
玲
どうした、こんなところで
香栄
お前、急にその口調になんのな、
苦しそうに彼が言葉を吐き出す。
玲
どこが痛い?
香栄
...痛くねぇ
香栄
ちょっとくじいただけだ。
辛そうに顔を歪めた彼の顔をぐいっとこちらに向ける。
玲
嘘つき。
玲
本当のこと、言え。
先生
しばらくはここで安静にしてて。
先生
もし辛かったら親御さんに迎えに来てもらうからね。
香栄
.....
玲
...なんか答えなよ
香栄
俺、平気だったのに
香栄
玲の馬鹿野郎
玲
...黙っとけ。口塞ぐぞゴリラ
先生
喧嘩しないで
先生
7組の厚生委員が休んでるから瀬川さん、学級委員だから付き添ってあげてくれる? 担当の教科の先生には伝えておくから。
玲
...はい。ありがとうございます。
先生
それじゃ、先生今から出張だから空谷くんのことよろしくね。
玲
わかりました。
香栄
お前、教室戻れ
玲
は?なんでよ
玲
大丈夫なの?
香栄
...大丈夫じゃねぇ
私は香栄の額に手を当てる
玲
あっつ...
玲
氷持ってくるけど他に欲しいものある?
香栄
...時間
玲
時間が欲しいの?
玲
今寝てんだから好きなだけあるじゃん
香栄
そうじゃねぇよ...
熱で頬が赤くなっている彼が吐き捨てるように言った。
玲
んー...じゃあ、あと5分いるから、
玲
そしたら授業に戻る。
香栄
...
香栄
...勝手にすれば
玲
て言うか、頭痛いんならそういえばよかったじゃん。なんで黙ってた?
香栄
言いたくねぇからだよ
玲
あっそ...
私は氷を袋に詰めてベッドに戻った
玲
じゃあ、教室戻るから
玲
...授業終わったらまた戻ってくる
玲
.........
玲
(何?あいつ...)
玲
(私が心配してあげたのに)
香栄
あー...
香栄
(っ俺、もっと素直になれねぇかな)
香栄
(気づいてくれて嬉しい...なんて)
香栄
言えねぇ...
ガラッ
玲
香栄〜
玲
来たよ
香栄
っ...お前暇かよ
香栄
(馬鹿あああ!!!!!)
玲
暇じゃない
玲
お前のために来てやってんだよ
玲
ゴリラは黙っとけ
香栄
ゴリラゴリラって...人のことなんだと思ってんだよ
玲
...いや、ゴリラって言ってんだからゴリラでしょ
香栄
(くっ...正論...)
咲海
あの...
玲
あ、ごめんね、忘れてた!
玲
今行くから先行ってて
咲海
...はい
香栄
...何?あいつがなんか用?
玲
今日、呼び出されてんの
玲
今から多目的行ってくるから待ってて
香栄
...おう
香栄
(今、素直!)
玲
...ふっ...
香栄
なんだよ...
玲
今はやけに素直だったな〜と思って
香栄
いいから行けよ!待たせてんだろ
玲
はいはい。
クラスメイト
...あのさ、
クラスメイト
最近空谷くんと仲いいけど何かあったの?
玲
香栄と?別に何も無いよ。
クラスメイト
へー...じゃあ、
クラスメイト
もう関わんなくてもいいよね?
彼女が私に詰め寄ってくる。
玲
........
クラスメイト
もう、近づかないで?






