奏
「さあ、ひざまずきなさい!」
奏
むかしむかしあるところに
奏
悪逆非道の王国の
奏
頂点に君臨するは
奏
齢十四の王子様
奏
絢爛豪華な調度品
奏
歳の離れたお姉様
奏
愛馬の名前はジョセフィーヌ
奏
全てが全て彼のもの
奏
お金が足りなくなったなら
奏
愚民どもから搾りとれ
奏
俺に逆らう者たちは
奏
粛清してしまえ!!
奏
「さあ、ひざまずきなさい!」
奏
悪ノ華 可憐に咲く
奏
鮮やかな彩りで
奏
周りの哀れな雑草は
奏
嗚呼、養分となり朽ちていく
奏
暴君王子が恋するは
奏
「お姉様!」
佳子
「何でしょうか!奏…」
奏
海の向こうの青い人
奏
だけども彼は隣国の…
奏
緑の女に人目惚れ…
佳子
「つまり…男性を好きになってしまったと?」
奏
「お姉様流石!俺の心を知ってくれる!」
佳子
嫉妬に狂った弟は…
佳子
ある日大臣を呼び込んで
佳子
静かな声で告げました
奏
「緑の国を滅ぼしなさい…」
佳子
幾多の家が焼き払われ
佳子
幾多の命が消えていく…
佳子
苦しむ人々の嘆きは
佳子
彼にはもう届かない…
奏
「あら、おやつの時間だわ!」
佳子
「!!!」
奏
悪の華 可憐に咲く
奏
狂おしい彩りで
奏
とても美しい花なのに
佳子
嗚呼、棘が多すぎて触れられない…
佳子
悪の王子を倒すべく
佳子
ついに人々は立ち上がる
佳子
鳥合の彼らを率いるは
佳子
オレンジ鎧の女剣士
佳子
つもりにつもったその怒り
佳子
国全体を包み込んだ
佳子
長年の戦で疲れた
佳子
兵士たちなど敵ではない
奏
ついに王宮は囲まれて
奏
家臣たちも逃げ出した
奏
可愛く可憐な王子様
佳子
ついに捕らえられた
奏
「この無礼者」
佳子
「この無礼者」
奏
悪の華 可憐に咲く
佳子
悲しげな彩りで
奏
俺のための楽園は…
奏
嗚呼…
佳子
もろくもはかなく崩れてく
奏
むかしむかしあるところに
奏
悪逆非道の王国の
奏
頂点に君臨してた
奏
齢十四の
佳子
王子様
佳子
処刑の時間は午後三時
佳子
教会の鐘が鳴る時間
佳子
王子と呼ばれたその人は
奏
1人牢屋で何を思う…
奏
ついにその時はやってきて
奏
終わりを告げる鐘が鳴る
奏
民衆などには目もくれず
奏
彼女はこう言った……
佳子
「僕の弟には指1本触れさせね!!」
佳子
悪の華 可憐に散る
佳子
鮮やかな彩りで
佳子
のちの人々はこう語る
奏
「嗚呼、彼はまるで悪の息子」