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いつもどこかで
何かに言い訳しながら 生きているような気がした
出来ない自分に直面する度に
自分はもっと頑張れるって どこかで安心して
自分よりできない誰かに 依存しながら生きていく
そうして生温い現実に浸かって 堕落した
零れ落ちていくものにだって 気づかないまま
私
私
考えるふりをした
実際夢なんて決まってなくて 行きたいところが決まっているのが羨ましい
でも、そんなこと言えなくて 窓を見るとサッカー部の練習が見えた
私
私
カバンを引っ掴んで駆けていった背中を見送る
危なっかしいのに、愛されキャラで 好奇心旺盛で、でも真面目。
憧れる人柄だと思っていた
それが今は小さじ一杯分妬ましい
“何か”を持つ人間が羨ましくて仕方がないのだ
進路希望用紙を二つ折りにして 落書きだらけの教科書に挟んで突っ込んで
サッカー部を横目に教室を出た
卓球部のピン球の音が聞こえてくる
そういえば、県大会出場したんだっけ。
この間の表彰式で言っていた気がする
今の私にとっては嫉妬材料でしかないけど
私も卓球部だったら こんなに誇れることが起こっただろうか
いや、運動はダメかな
後ろから叶の声がした
私
私
夕焼けに包まれて二人で歩く
惚気話をほぼ聞き流して 頭にあるのは進路のこと
いい大学に入って、いい会社に就職して よく働いて、社会を回して
それが正義だって
いつからか自分にこびり付いた固定概念
足を取る粘着質なそれに 私はきっと抗えない
いたずらに笑いながら私をのぞき込む叶
私
花が咲くような笑顔が私を照り付ける
私
私
無難に「進学」だなんて言っておこうか
就職するには飛びぬけた何かなんてないから
私
私
私
芸術で生きていこうなんて 成功するわけないじゃん
学校内でちょっと評判がいいからって 美大には私以上の人材がいっぱいいて
私に才能なんて
私
私
すると叶は、途端に興味を失くしたように 少し前を歩きだした
夕焼けが眩しくて目が痛かった
希望に満ちた瞳だけで十分だった
固い意志表明は私にとって一部だとて重かった
私
夕焼けに向かって叶に並んだ
私
私
私
私
私
私
私
私
私
私
私
何にもない私に何かを見出してくれた人
これからも憧れながらお互いの道を進むのだろう
ありがとうは夢を叶えた後に取っておこうと思う