テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
#運営さん大好き
う ぁ ⸝⋆
66
ちょこみんと🌱
28
#ケーキバース
鈴 木 @寝落ち常習犯
1,996
ゆあんくん
ゆあんくん
ゆあんくん
俺はスマホを握りしめたまま、布団の上をのたうち回った
YouTubeに投稿されたばかりのマイクラ実況動画
その中盤、画面に映し出されたミルクティー色の髪をしたうりのアバターと
ヘッドホンから聞こえる低めのイケボに、一人のリスナーとして凄まじい衝撃を受ける
ゆあんくん
ゆあんくん
ゆあんくん
ゆあんくん
ひとしきり部屋の壁に向かって叫んだあと
俺はベッドの上にどさりと大の字に倒れ込んだ
天井を見つめても、耳の奥にはまだうりの声が残っていて心臓がうるさい
俺には誰にも言えない秘密がある
メンバーであるうりのことが、
生活に支障が出るレベルで大好きな『ガチオタ』だということだ
これまでの関係が崩れてしまうかもしれないし、
何より恥ずかしすぎるため、絶対に隠し通さなければいけない
だから俺は、この溢れんばかりの尊さと荒ぶる感情を吐き出すためだけに
正体を隠した裏垢を密かに運営していた
寝返りを打って再びスマホを引き寄せると、俺は速攻でSNSアプリを開き
限界を迎えた感情をタイムラインに文字を書き殴っていく
『今日のうりくん可愛すぎて頭抱えた。 うりのアバターが動くだけで無理。 照れ笑いとか世界一可愛い。 一生推す。結婚して。 』
ゆあんくん
ふぅ、とため息を一つ吐きながら送信ボタンを押し、俺はスマホを胸に抱きしめた
ルームシェアをしているこの家で、自分の部屋に戻って存分に叫んでスッキリする
そうして初めて、うりの隣に立っていられるのだ
ゆあんくん
ゆあんくん
翌日
ゆあんくん
ゆあんくん
自分の部屋から出てリビングのドアを開けると
ソファに座ってスマホを弄っていたうりが、ふっと顔を上げた
寝起きのせいか少し乱れたミルクティー色の髪に、心臓が跳ねる
うり
うり
ゆあんくん
ゆあんくん
ゆあんくん
うり
うり
うり
うり
ぽんぽんと隣のスペースを叩かれ、内心のドキドキを隠しながら、うりの隣へと腰掛ける
画面を見せてもらうために少しだけ体を寄せると
なんだかいつもより距離が近く感じられて、緊張で息が詰まりそうになる
ゆあんくん
ゆあんくん
ゆあんくん
うり
うり
うり
うりが指先で液晶画面をトントンと叩く
表示されたプロフィール画面と、一番上に固定された最新のツイートを見た瞬間
頭の先からつま先まで、一瞬で全ての血の気が引いていくのが分かった
ゆあんくん
ゆあんくん
そこに映っていたのは、
昨日の夜、俺が自室のベッドの上でのたうち回りながら投稿したばかりの
『俺の裏垢』の画面そのものだった
ゆあんくん
いや、アカウント作成時に設定をミスったのか
エゴサの鬼であるうりに引っかかるようなワードを並べすぎたのが
ここにきて仇となったらしい
冷や汗が背中を伝う中
うりは俺の動揺に気づく様子もなく、楽しそうに口元を緩めた
うり
うり
うり
うり
ゆあんくん
ゆあんくん
うり
うり
うり
うり
ゆあんくん
裏返りそうになる声を、必死で抑え込む
すぐ隣にいるうりに心臓の音が聞こえてしまいそうだ
うり
うり
うり
うり
うりは「可愛いリスナー」と言いながら、嬉しそうに画面を眺めている
その横顔を見つめながら、俺はより一層冷や汗が止まらなくなった
ゆあんくん
ゆあんくん
ゆあんくん
ゆあんくん
引き攣った笑顔しか作れない
終わった
大好きな推し本人に、自分の限界オタ垢が捕捉されている
それも『通知オン』という、待遇で
ここで、このツイートの主が隣にいる俺だとバレたら
恥ずかしすぎて社会的に死ぬ
ゆあんくん
ゆあんくん
同じ屋根の下で暮らす俺とうりの
秘密の攻防戦の幕が、静かに上がったときである
コメント
2件
// あ、うんすきだわ(
うわああ冒頭からのたうち回るゆあんくん、可愛すぎて笑った(笑)。そしてまさかの「通知オン」で裏垢バレ寸前…冷や汗が伝わる描写が丁寧で、こっちまでドキドキしたよ。同じ屋根の下で推しとルームシェアってだけで萌えるのに、この攻防戦が始まった瞬間、続きが気になって仕方ない!設定の組み立てが上手いなあ。