TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

LINE1405

一覧ページ

「LINE1405」のメインビジュアル

LINE1405

1 - あ

♥

16

2023年12月15日

シェアするシェアする
報告する

シオリ

叔父さんおひさしぶりです

シオリ

お父さんの葬式以来ですよね、急に連絡をしてしまって申し訳ありません

タガヤ

シオリちゃんじゃないか

タガヤ

きゅうにどうしたんだよ

シオリ

叔父さん、今怪我をしててお仕事を休職してるってお伺いしたんですけど本当ですか

タガヤ

そうなんだよ、恥ずかしい話なんだけどさ

タガヤ

この前まで連続強盗犯が世間様を賑わせてただろ?

タガヤ

殺人未遂まで犯しやがった最低野郎だよ

シオリ

あの最近捕まった?

タガヤ

そうそう、まあ、

タガヤ

じつはあれ、俺が捕まえたんだけどよ

シオリ

そうだったんですか!?

タガヤ

ただ、追いかけてる時にあいつが闇雲に抵抗しやがってよ

タガヤ

手に持ってたチャカをぶっぱなしやがって俺の右足を撃ち抜きやがったんだよ

シオリ

たしかに逮捕の際に拳銃を2度発砲したってニュースで行っていましたね

シオリ

怪我の方は大丈夫なんですか?

タガヤ

ああ、なんとか悪い部分には当たってなかったみたいでよ、

タガヤ

ただ風穴が空いただけで済んだんだ

タガヤ

今は松葉杖をついてだらしねえ格好して歩いてるけど、

タガヤ

時間経てば今まで通りに元通りよ

シオリ

そうなんですね、安心しました

シオリ

風穴開いただけって言っても大怪我には変わりないですけどね

タガヤ

昔からカズヤと一緒で体がタフだったからな

タガヤ

足の傷よりしばらく甲斐性なしになっちまって怒ってる嫁の言葉の方がよっぽど痛いよ

シオリ

パパも昔から体だけは頑丈でしたからね笑やっぱり兄弟ですね笑

タガヤ

あいつも本当にツイてなかったな

タガヤ

飲酒運転野郎なんかに轢かれちまうなんてさ

シオリ

まだ16歳だったあの頃の私にはなにがなんだかわかりませんでした

シオリ

なんであんな真面目に生きてきた父が、あんな目に遭わなければいけなかったのか

シオリ

私はただ嘆くことだけしかできなかったんです

タガヤ

あれからもう10年か

タガヤ

シオリちゃんはもう26歳か

タガヤ

おおきくなったな

シオリ

はい、以前までは都内でオーエルとして働いていたのですが、

シオリ

今は恥ずかしい話、フリーターをしています

タガヤ

何か色々あったんだね

タガヤ

急に今日俺に連絡を寄越してきた理由は?

シオリ

実は叔父さんに一つお願いがあって今日連絡をしたんです

〜数年前〜

ツマブキ

シオリのことずっと愛してるから

シオリ

ありがとう、私もツマブキくんのこと大好きだよ

ツマブキ

それでさ、ちょっとそうだんしたいことがあるんだけどいいかな?

シオリ

どうしたの?

ツマブキ

実は会社の命がかかった大切なプロジェクトがあったんだけど、

ツマブキ

俺のミスで全部ぱあになっちゃってさ…

ツマブキ

それで会社にもすごい大きな損害が出ちゃったんだよ

シオリ

そうなの?私なんていえばいいか…

ツマブキ

それで300万円負担しないといけないことになっちゃったんだよ

シオリ

なにそれ

シオリ

なんで?なんで会社のお金を社員のツマブキ君が負担しないといけなくなるの?

シオリ

そんなのおかしいよ

ツマブキ

おれだっておかしいと思うよ

ツマブキ

でも、そうすればクビにならずに済むんだ

ツマブキ

俺は今の仕事をしたくて必死に今まで勉強をしてきたんだ

ツマブキ

この仕事をするために!

ツマブキ

だから俺はなんとしても会社を辞めたくないんだよ

シオリ

でもそんな大金どうやって用意するの?

シオリ

そんな大金借りられるの?

ツマブキ

シオリ確か親がシオリの大学費用に貯金してくれてたけど、

ツマブキ

結局自分で大学費用を払ったからその貯金に手を出してないって言ってたよな

ツマブキ

そのお金、貸してくれないかな?

シオリ

何言ってるの!?あれはお母さんが私のために貯めてくれた大切なお金なんだよ!

シオリ

女手一つで稼ぎも多くないのにちょっとずつ節約して貯めてくれた大切なお金なの!

ツマブキ

あとで必ず返すから!

ツマブキ

俺はもうそのシオリのお金頼りなんだよ!

ツマブキ

もしここでシオリが俺にお金を貸してくれなかったらもう俺の人生は全部終わるんだよ

ツマブキ

夢も希望も、未来も

シオリ

そんなこと言われても私どうしたらいいか

ツマブキ

俺は将来ほんとにシオリと結婚したいと思ってる

ツマブキ

金の切れ目は縁の切れ目だなんていうけれど、俺は絶対にそんなことはさせない

ツマブキ

借りたお金は必ずすぐ返すしいずれ結婚したら俺の稼ぎもシオリと共有することになる

ツマブキ

お願いだよ、俺とシオリ二人の未来のためにも一度、俺に300万円を貸してくれないだろうか

シオリ

ツマブキくん

シオリ

わかった

シオリ

私たち二人のためだもんね

〜現在〜

シオリ

彼は結婚詐欺師でした

シオリ

私が彼にお金を貸した後、すぐに彼は私の前から姿をくらましてしまったんです

タガヤ

結局金を貸しちまったわけか

タガヤ

恋人に何百万も借りようとしてまで自分のことを守る奴なんて絶対に碌でもねえ奴だろ

タガヤ

それで結局泣き寝入りしちまってるってことかよ

シオリ

いえ、それで今回、もし休職中にお手隙でしたら彼のことを調べて欲しいと思ったんです

シオリ

彼は一体どんな思いで私からあんな大金を盗み出したのか

シオリ

私の母親が頑張って貯金をしたことを知っておきながらどうしてそんなことができたのか

タガヤ

ちょっとまってくれよ

タガヤ

俺の足の怪我はまあいいとして、逃げられてからもう何年かたっちまってるわけだろ?

タガヤ

いまからそれだけの情報でその結婚詐欺師やろうを追いかけろなんて言われても、流石にむずかしいぜそりゃ

シオリ

そうですよね

タガヤ

なんで被害に遭った時、すぐに俺に教えてくれなかったんだよ

シオリ

実は最初は諦めていたんです

シオリ

実は男の人に熱を上げたのはツマブキ君が初めてだったので、

シオリ

騙されてしまった私が悪いのかもしれないって考えがずっとあったんですよ

シオリ

お金は持ってかれて行ってしまったけど、素敵な日々を一緒に過ごしてくれていたのも事実だったので

タガヤ

それなら尚更、どうして今更今俺にそんな相談を

シオリ

それが、先日商店街で彼の姿をたまたま見かけたんですよ

タガヤ

え?

シオリ

彼の横には違う女性が並んでいました

シオリ

とても幸せそうな笑顔を浮かべて、彼を腕を組んで歩いていたんですよ

タガヤ

そりゃ可哀想なこった、シオリちゃんからは大金くすねといて本命とは幸せを謳歌中ってとこだな

シオリ

いえ、私はそうはおもいません

シオリ

おそらく彼女は次のターゲットにされている方じゃないでしょうか

タガヤ

へ?

シオリ

女性の身なりはすごく上品で大層なものを身につけていました

シオリ

とても純朴そうでそれなりに稼いでいそうなお方でした

シオリ

そして彼女は実家とは親の反対を押し切って上京して以来連絡を経っています

シオリ

周りに繋がりがなくてお金を持っている彼女は彼の絶好のエサだと思います

シオリ

私はもう彼の被害者を増やしたくないんです

シオリ

私のような女性はもう生まれてほしくないんですよ

シオリ

お願いします、怪我をして休職中の身と存じておりますが

シオリ

何卒、私の願いを聞いてくれやしませんでしょうが

タガヤ

まあ可愛い姪っ子の言うことだ

タガヤ

確実に捕まえられるとは言わないがやれることはやってみるよ

シオリ

本当ですか

シオリ

ありがとうございます!

タガヤ

それに俺も女を食い物にするゲスは特に好かんもんでね

〜1週間後〜

タガヤ

おいお前

ツマブキ

は?

ツマブキ

誰だよお前

タガヤ

お前ツマブキだろ?

タガヤ

俺は刑事をやってるタガヤってもんだけどよ

タガヤ

お前結婚詐欺で逮捕するから手前にあるカフェまできてもらっていい?

タガヤ

ルノワールってとこ

ツマブキ

は?

ツマブキ

警察?

ツマブキ

ちょっと待てよマジでなんだよお前

ツマブキ

てか俺の番号をなんでお前が知ってるんだよ

タガヤ

色々探し回ったよ、穴が空いた足で健気にさ

タガヤ

お前がつい昨日利用したデリヘル会社の店長からお前の番号を教えてもらったんだよ

タガヤ

ちょくちょくアカウント変えやがって

タガヤ

ツチノコかおまえ

ツマブキ

ストーカーかよちくしょう!

タガヤ

言っとくけど走って逃げても無駄だからな

タガヤ

適当な後輩に声かけて既にお前はいつでも確保できる状態でいるからな

タガヤ

街中で大勢の前で取り押さえられたくなかったら大人しく俺のところに来い

タガヤ

ほら、手を振ってるやつ見えるだろ、窓側の席にいるやつだよ

ツマブキ

ふざけやがって

ツマブキ

なんで、俺は一体どこでミスしたんだ

タガヤ

1週間前にお前がトンズラした女性が自殺したんだよ

ツマブキ

へ?

タガヤ

お前に騙されたショックに耐えられなくて風呂場で手首を切ったんだ

ツマブキ

うそだろ

タガヤ

まさかこんなことになるとは俺も思ってなかったよ

タガヤ

最初は可愛い姪っ子のために個人的に動いていたけどな

タガヤ

先週自殺体が発見されてから警察が動いてる

タガヤ

もうお前は逃げらんねえよ

ツマブキ

ちょっとまってくれよ

ツマブキ

俺実は結婚詐欺なんてやりたくなかったんだよ

タガヤ

はあ?今更何言ってるんだお前

タガヤ

べつにどっちでもいいけどさ

タガヤ

やりたかったとかやりたくなかったとか関係ないんだよ

タガヤ

結果お前が女性を騙して、一人を死に追いやった

タガヤ

この事実事態に嘘偽りはないだろうが

ツマブキ

俺はやれって言われてたんだよ!

ツマブキ

指示されてたんだ!

タガヤ

いやいや、だからなんだよ

タガヤ

さっきも言ったよな

タガヤ

お前が誰に何を言われてやらされてたとしても、結局お前がやったんだろ

ツマブキ

ちょっとまってくれって!

ツマブキ

それはそうかもしれないけど!

ツマブキ

おれはある人に誘われて半分脅しみたいな感じでやらされてるんだよ!

タガヤ

はいはい

ツマブキ

信じてくれ!

タガヤ

しってるよ、そいつももう逮捕済みだよ

ツマブキ

へ?

タガヤ

お前が無職で路頭に迷ってる時に結婚詐欺で稼がないかって声をかけられたんだろ?

タガヤ

タガヤシオリに

〜シオリとのチャットルーム〜

シオリ

どういうこと?

シオリ

ねえ叔父さんどうして私が逮捕されるわけ?

タガヤ

シオリちゃんこそどうして

タガヤ

どうして結婚詐欺師なんかになっちまったんだよ

シオリ

なんの話かわからない

タガヤ

念のためにシオリちゃんが会社を辞めた理由も調べてたんだ

タガヤ

そしたら君の過去の逮捕履歴が発覚した

タガヤ

君は一度結婚詐欺で逮捕されているね

タガヤ

そしてそれがきっかけで会社をクビになっている

シオリ

そんな

シオリ

そこまで調べちゃったんですか

タガヤ

君のことは全部知ってるよ

タガヤ

君とツマブキはタッグだ

タガヤ

むしろ君が首謀者だと言ってもいい

タガヤ

結婚詐欺で捕まった後、君はツマブキを使って結婚詐欺をすることにした

タガヤ

さらにずる賢い君は自分を最初の被害者に仕立て上げることによって万が一ツマブキが逮捕されても、

タガヤ

一切疑われない立ち位置を確執した

シオリ

すごいね、刑事さんって本当に探偵みたい

タガヤ

君がツマブキを切り捨てた理由は彼がついに線引きを間違えて死者を出してしまったことだね

タガヤ

もし死体が見つかれば警察が大きく動く

タガヤ

いずれ君にたどり着いてしまうだろうね

タガヤ

だから君は休職中の俺を利用して、あくまでそこらへんの小物の結婚詐欺師として先に逮捕させようとしたんだ

タガヤ

逮捕された後に死体が発見されても対して深く捜査はされないから君にたどり着くことは絶対にないだろうから

タガヤ

全部調べはついているんだよ

シオリ

それじゃもう言い逃れはできないですね

シオリ

すみません、わざわざ怪我をして大変な中こんな茶番に付き合わせてしまって

タガヤ

シオリちゃん、どうして

シオリ

私はどうしても許せなかったんです

シオリ

父みたいな善人が、理不尽な形で命を奪われてしまったこと

シオリ

飲酒運転をして父を亡き者にしたあいつが今はのうのうと暮らしていること

シオリ

おかしいじゃないですかこんな世界

シオリ

だから私は奪う側に回ったんです

シオリ

だってこっち側に来て仕舞えば、そんな悩みをしなくて済みますから

シオリ

罪を犯した私が裁かれるのは当然のことです

シオリ

私は善人ではありませんから

〜後日談〜

タガヤ

彼女が逮捕された後、私は彼女の家に行きました

タガヤ

彼女のしたことは決して許されることではありません

タガヤ

しかし、彼女の机の上に飾ってあった父親に抱きつく幼いシオリちゃんの写真を見ると、

タガヤ

どうしても心がずんと重くなり、沈んでいく感覚に襲われてしまいます。

この作品はいかがでしたか?

16

コメント

0

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚