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なかむ
小さい子特有の真面目な告白。
きりやん
きりやん
なかむ
お花をたくさん摘んで、花束にしたものを手渡してくる。 キラキラと嬉しげにこちらを見る彼の目は純粋で、俺の心は折れそうだ
きりやん
俺もまだ小さな頃から、ずっと色んな人に頼られるように生きてきた。 まぁ、そういうところが裏目に出ているんだろうけど…。 こういう状況に慣れているからか、 こういう時の対処法はよーく分かっている。
きりやん
なかむ
彼の前にそっと小指を差し出せばにこにこしながら指を絡めた。 どうせすぐ忘れるだろう。 幼い頃の思い出なんて、自分のものでさえ何も覚えてない。
きりやん
……なんてね?
きりやん
そう言ってひらひらと手を振った…が、
足に抱きつかれて結局叶わない。 加えて、抱っこまでねだってくるとは……
なかむ
きりやん
小学一年生の頃、近所のお兄さんに愛の告白をしたなんて、 そんなのすぐに忘れて思い出話になるだけだろう。
きりやん
なかむ
少し恥ずかしそうに俺の頬にキスをする彼が何とも微笑ましい。
…
きりやん
10年後…
ふらりと立ち寄った公園のベンチに腰かけて、満開を迎えている桃色の桜を見上げる。 暖かな春の日差しがしんしんと肌にしみてそっと目を瞑った。
なかむ
あの日と同じように、間延びした幼い声がした。 …もしや、彼は
きりやん
なかむ
なかむ
俺の話に愛おしそうに目を細めた後、 自信満々といった表情で間髪入れずに告げる
…… これにはさすがに苦笑いを浮かべるしかない。 ……この子、結婚のこと本気にしてる?
きりやん
なかむ
きりやん
彼は昔から、人懐っこく誰とでも仲良くなれるような子だった。 年の割によく出来ていて、柔くなんでもこなせるような人間だったのを今でも覚えている。
……そんな彼が、俺みたいな人付き合いが苦手な人間に好意を寄せていただなんて、きっと何か裏があるに違いないと勘ぐってしまう。
きりやん
きりやん
なかむ
ふふんっと胸を張ると誇らしげにドヤ顔までしてきた。 …これが本場のどや顔か、成程これは少しうざい。
…
きりやん
俺が言いたいことなどお見通しなのだろう。 余裕そうに笑みをこぼす彼を見ていると何も言えなくなる。
なかむ
自分を色恋沙汰に疎い自覚はあるのだが、彼はそれ以上にこういった恋愛面に関して敏感な方であるような気がする。
なかむ
きりやん
……どうやら、10年経っても彼の性格は変わっていないらしい。
…なんだか、安心した。
つづく