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フォロー失礼します!
あいのすけ
あいのすけ
あいのすけ
あいのすけ
あいのすけ
あいのすけ
部屋に帰ると、莉犬の姿はなかった。
ただ、その代わり俺のベットの上に、置き手紙が置いてあった
『 さとみくんへ いままでごめんなさい』
手のひらサイズの白用紙に、それだけ書かれていた。
はぁ?小学生かよ。
莉犬は見た目こそ美人だが、中身が結構な子供。
我儘育ちって訳でも無いけど、独り立ちしているようにも見えない。
本当、掴めない奴。
俺は、貰った用紙を片手でぐしゃぐしゃに潰してベット脇にあるゴミ箱へ投げ捨てた。
くっだらねぇ
それから、数時間経っても莉犬は一向に帰ってこない
桃
無意識に待っている自分に少々驚く。
いや、だって…いつもアイツが俺の周りウロチョロするから…
決して、寂しいとかじゃない。
だって、今まで1人だったし。
これくらい余裕だし!!
そう思うのとは裏腹に俺の頭の中にはあいつのことでいっぱいで。
桃
桃
大好きな読書も全く集中ができない
なんて影響力のある奴なんだ…
そのまま莉犬は丸一日帰ってこなかった。
朝、目を開くと1番に目に入ったのは赤い髪だった
サラサラしていて触り心地がいい。
赤
…?
…
…!!
桃
赤
にへっといつものように笑う彼。
「おはよぉ」なんて間抜けな顔をしながら言う。
その姿は、いつもの様に元気だ。
桃
赤
彼は、俺に顔を向けず、そう少し間を開けたあと、いつになく真剣にそう答える。
莉犬は、即座に自分のベットに入り、丸く縮こまる
純白で色1つ染めたら戻れないようなそんな、白。
人間みたいに思える。
莉犬は、色に例えると皆髪色を見て赤と言うだろうが、俺は違うなと思う。
アイツは、「無色」だと俺は思う。
莉犬は、一見明るく見えるが俺は明るいどころか暗くすら見える。
無理に明るくしてる
だからといって、黒な訳では無い。
灰色も違う。
黄色も、橙色も違う
青も紫も、緑も違う
彼は、何色にも染まらない。
では、白ではないか…と思うだろうが、白は何色かに染ってしまう
正確に言うと、「染まれない」
そういう存在だ。
彼自身がどう感じているかは分からないが、
少なくとも俺はそう思う。
赤
赤
ついこの前俺に注意されたからか、彼なりに気をつけようと努力しているみたいだ。
桃
赤
目のやり場がないのか、泳がせている。
俺は頻繁に話しかけんなって意味だったんだが…
彼はどうやら「もう一生話しかけるな」という解釈をしたようだ
桃
桃
桃
赤
赤
桃
俺が、そう言っても莉犬はどうやら納得していないようだった。
今日の空は雲多めだが晴れで。
風が涼しい。
俺が、窓の方に顔を向けると、顔全体にぶつかってきて思わず目を瞑る。
風を切るみたいで少し楽しい。
この息苦しい病院でも、こういう少しの幸せがあると意外と頑張れたりする
赤
莉犬が俺の方を見てそう呟く。
桃
桃
きれいとは、何を指しそう言っているのだろうか
赤
桃
はにかむ彼の方が、俺は何倍も綺麗だと感じたのは秘密だ。
赤
桃
赤
桃
赤
桃
赤
う〜んとかえぇ〜っ?とか言うだけで全然教えてくれない。
桃
赤
秘密〜♪と、笑顔で言ってくる
桃
桃
赤
ちょっとむすりとする。何か都合が莉犬にとって悪かった内容だった様で。
オドオドして、いつもの笑顔がぎこちなくなった。
ただ、好きな食べ物聞いただけじゃねぇか …
桃
桃
赤
少しほっとしたような様子を見せて、そそくさと病室を出ていく。
トイレか?…どうだっていいか。
あいつに執着すると、ろくな事にならなさそうだ。
詮索するのはやめておこう。
小鳥の囀りが聞こえ、心地よいリズムを奏でる。
それを聴きながら、大好きな小説を読み返す。
太陽が照り輝き、頬を焼く。
病気があるとはいえ、こんなに自由な時間を貰えるなんてなんてラッキーなことだろう。
学友は、元気だろうか。
今頃、テスト勉強に追われ、ひぃひぃ言っていることだろう。
ぷぷぷと、おかしな笑い方をしながら懐かしく思い出を振り返った
これから起こる悲劇を知らずに。
あいのすけ
あいのすけ
あいのすけ
あいのすけ
あいのすけ
あいのすけ
あいのすけ