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この話すごい大好きです!!!私もウォーカーさんと同じでツン受け好きやったので...読んでてすごい楽しいです✨
読んで頂き ありがとうございます いいねも押して頂き ありがとうございます このアプリ入れて あまり他の方の作品を読まずに書き出してしまったのですが、 1日ゆっくり拝読しておりましたら、なんだか自分の文体、説明文や情景描写が長いのかなと気にしだしました アプリに合ってないかなとか、 読んでてかったるいと 思われてないかなと若干心配 もう少し頑張ります
主
主
主
主
捨て地
捨て地の外れ
大昔に墜落してから 誰の目にも付かず そのまま 忘れられた方舟
前にこの地に落ちた 精霊たちの記憶を 集める手伝いをした
強い想いを持った精霊の記憶は 光として留まり
当時の景色をそのまま この不毛な捨て地の大地に 写していた
咲き乱れる花々 青く透き通った泉 澄み切った風が 撫でるように優しく吹き抜けて行く
精霊たちがいた時代 ここはこんなに美しかったのか
それとも 落ちた精霊たちが ここまで美しく繁茂させたのか
そんなことも俺には分からない
この世界は わからないことだらけだ
捨て地
もう一度泉の深くまで潜り 丸めて持っていたケープを広げる
ケープに付いていた 捨て地の汚水がサッと 洗い流されて 泉の中へ溶けていく
溶けた汚水は キラキラと光の泡になって 消えていった
ここの精霊たちの想いは強く 捨て地の瘴気も 浄化されるようだった
泉から上がり 両手でケープを絞る
捨て地
場所を考えずに絞ったせいで パタパタと垂れた水が 近くにあった自分の靴を濡らした
捨て地
裸足のまま方舟の方へむかう
チクチクと足裏を草がくすぐる
捨て地
空を仰ぎ見ると 太陽とも月とも言えぬ 白く輝く星が見える
三日月型に欠けたそれが 俺には穏やかに 笑っている様に見えた
捨て地
壊れた船の裂け目から 内部へ入る
入口に干した自分の上服と 自分のではない賢者の白ケープが 気休め程度の目隠しになっている
パチッと火が爆ぜる音が聴こえた
精霊の記憶の結晶 焚き火魔法
ここの方舟は自分のキャンドルで 魔法を錬成することが出来る
捨て地
上服を触って湿気を確認する
焚き火を置いたとしても まだ乾ききっておらず 着るにはもう少しかかりそうだ
賢者の白ケープは まだまだ水分を 多く含んでいるようだった
焚き火の前に腰を下ろし 濡らしてきた自分の黒いケープを 手頃なサイズに折りたたむ
捨て地
焚き火の直ぐ隣で 横たわる峡谷ヘアに声をかける
反応はない
まだ眠っているようだ
捨て地
一刻前のことを思い出し 軽くため息を付く
悪気はなかったとはいえ 仮にも助けてくれた人に とんでもない事をしたなと 頭を抱えた
焚き火の炎に照らされた 泥まみれの横顔を 濡れたケープで拭う
峡谷
冷たいのか 痛いのか
峡谷ヘアが 眉間にシワを寄せて 身動いだ
手を止め その顔を見つめる
捨て地
何言ってんだ? 俺
起きたわけではないと確認すると 再び顔についた泥汚れを 拭き取る作業を続ける
先程の自分のように 泉にそのまま浸かれば 綺麗になるのだが
気を失っている人を 水に沈めるわけにもいかない
捨て地
顔と腕の汚れを拭き取り 改めて峡谷ヘアの星の子を見下ろす
峡谷といえば 常に分厚い雪に覆われた 切り立った険しい山々が連なる エリアだ
捨て地
もちろん俺たち星の子は 使命の為に各地を回る
コイツが峡谷ヘアだからといって 峡谷に入り浸っているとは 限らない
けれども 力なく倒れ込んでいる星の子を じろじろと見ていた事に 何か言い訳をしないと バツの悪い気分だった
誰かいるわけでもないのに
捨て地
峡谷ヘアの服は まだ黒く汚れたままだ
捨て地
胸のコアが弱く輝いている 腹部を汚した光の粘液が 泥と混ざり コアと共鳴して キラキラと光っている
捨て地
粘液と泥で 今まで気付かなかったが よく見るとコアに ヒビのようなものが入っている
いつついたのか 暗黒竜から攻撃を受けた時にか
それとも "応急処置" で、擦り付けた時か
苦し紛れに"壊れる"と呻いた 峡谷ヘアの声を思い出す
慌てて自分のコアを見る 手で触って見るが 傷のようなものは見当たらない
本当に壊してしまったのか?
回らない頭で 知らず知らずにその傷に触れた
峡谷
ビクリと峡谷ヘアが 身体を震わせる
驚き慌てて手を引っ込める
捨て地
自分のコアにもう一度触れてみる
腕や頬を触る時と 同じような感覚
コア自体 星の子の急所であることは 間違いないのだが
普段から触って あんなに乱れることはない
そんなことになったら そこら辺で出会う星の子は皆 風が吹くたびに 喘ぎ散らかしている
そうならないのは コア自体を外部から守る様に シールドのような薄い殻が 張られているからだ
この殻は キャンドルを錬成したり 誰かと光を混ぜたい時に 一時的に己の意思で 融かすことができる
食べ物を接種したい時に 口を開けるのと同じ感覚だ
捨て地
先刻 互いの光を混ぜようとした時 混ぜるのを承諾して このコアの殻を 融かしてくれたと思っていた
抵抗をみせていても 光が混ぜ続けていられたのも 相手が望み受け入れて くれていたからだと
どうやら違いそうだ
捨て地
とんだ強姦魔じゃね? 俺よ
捨て地
捨て地
峡谷
捨て地
突如自問自答の 会話に入ってきた声の方へ 顔を向けると
夕陽の空の色をした目と 視線がぶつかった
色なく 倒れていた姿とは また違う雰囲気が漂う
起き上がろうとするのを 背中に腕を入れ支える
捨て地
峡谷
捨て地
峡谷
焚き火の炎を映した瞳が 安堵に染まる
峡谷
切り立った山々のように 凛とした顔立ち
分厚い雪をまとったような 白い肌
優しく夜を連れてくる夕陽のような 儚げな目元
巨大都市に風靡した競技のように 勇敢な性格
峡谷
峡谷の夕陽を星の子にしたら こんな顔してんだろうな
捨て地
峡谷
くすくすと笑うと 顔にかかった前髪が揺れ くすぐったそうだった
捨て地
何て形容したらいいやら
無理やり光交換して すみませんでした?
コア傷付けて ごめんなさい?
途中から 気持ちよくなって 止まらなくなりました?
全部か
言わねばならぬが 言葉にならない
言いたいことが わかったのか 峡谷ヘアが視線を逸らす
捨て地
峡谷
捨て地
峡谷ヘアの胸元を指す
指先程につられて 峡谷ヘアも己の胸元を見る
必然的に "応急処置"をした時についた 互いの光の粘液が視界に入る
峡谷ヘアが俯く
頬が赤く染まって見えるのは 焚き火のせいではないだろう
捨て地
傷に意識が向くように 話を振る
峡谷
峡谷ヘアが 自分のコアの傷にそっと触れる
詰まった吐息と共に 小さく身体が飛ぶ
捨て地
今一番の心配事だった
峡谷
星の子の使命を思い出す
なにゆえ我々は 死なねばならぬのか
赤岩の降り注ぐ山が 眼前に見えるような気がした
峡谷
捨て地
峡谷
守る殻がなきゃ 卵だって死んでしまう
そう言いかけた言葉を 喉の奥へ押し込める
捨て地
泉の水で濡らしたケープを 峡谷ヘアが 手持ち無沙汰そうに握った
峡谷
峡谷
捨て地
あぁ、なるほどなと 納得したような峡谷ヘア
話をして目が覚めてきたらしい 変わりやすくコロコロ変わる表情が 見た目の体格よりも 幼い印象を与えている
男の俺が言うのも変だが モテるだろう
峡谷
立ち上がろうとしたのか
しかし 峡谷の身体は 上半身を起こした姿勢のまま 動かない
峡谷
俺は傍で背中を向けて かがみ込んでいた
捨て地
峡谷
捨て地
峡谷
俺の肩に手をかけようとした 峡谷ヘアがはたと止まる
峡谷
捨て地
手を引っ込めると 苦虫を潰したような顔で
峡谷
と顔を伏せてしまった
自分の中で突出的に あまり感じたことのない感情が 噴き出した
捨て地
峡谷
俺は峡谷ヘアの 背中と膝裏に腕を入れ そのまま抱きかかえる
力には自信があるほうだ
難なく持ち上げると 方舟の外へ出る
峡谷
捨て地
峡谷
捨て地
峡谷
捨て地
言葉はうるさいが 行動はそこまでうるさくない 暴れる程の元気はまだないのだろう
同じような体格の男が二人 横抱きしてたら 俺もチラ見はするだろうな と どうでもいい事を思う