俺じゃダメかな

AM7:24

なつはいつも7時45分に家を出る

だから5時半に起きて諸々準備して飯食ってからこの時間に着替える

なつはスーツにシワが着くのが嫌だから抱きつくにはこの時しかない

なつは俺の『ご主人様』

だから俺は今日も『いい子』にしてるんだ

キス、される……

なつは優しくてかっこよくて頭も良くてお金持ちで人からも信頼されて、愛されてる

俺とは、正反対の人……

当時15歳だった俺は両親に捨てられた

家族全員から嫌われ

学校ではいじめ

頼れるところもなく

ただ雨の中ひとりで

街をさまよっていた

俺を視界にいれた人は

嫌な顔をしたり引き目に見るだけ

俺は誰にも愛されない

人を愛する権利もない

そんな時なつは現れたんだ

俺に初めて話しかけてきたなつは

爽やかで綺麗で俺の見た目とは正反対の人だった

そしてなつはなんの躊躇いもなく俺を連れていってくれた

そう言って笑うなつは

俺の目には眩しすぎて目が取れそうだった

そういって俺を抱きしめるなつはとても暖かかった

あれから半年が経ってなつになにか恩返しをしたいと思い始めた

なんかよくわかんねぇけどネットに書いてあんなら間違いないだろ

俺はなつとのハグが大好き

暖かくて優しくてふわふわする……

普通されたら怒っても仕方が無いこともなつは怒らない

今だ！

なにこれっ！？めちゃめちゃ、気持ちいいんだけど...♡

たった30分くらいだったけど

そのなかでなつは何度か俺の首をかもうとしてた

だけど、1度も噛んでくれなかった

ネットには愛の印とか自分のものという印の意味があるって書いてあったから

つけてくれると思ってた……

俺がここに来るずっと前から置いてあっただろう

この写真の女性がなつの最愛の人なのだろうか

俺じゃあ

俺はいるまを拾ったあの日の前日

恋人であったこさめを事故でなくした

男同士の恋愛で虐められてきたこともあった

だけどそんな中10年以上付き合っていたのに

事故であっけなく逝ってしまった

いるまを拾ったのはきっと同じだと思ったから

『ひとりぼっちはさみしいからね』

だから、そうだろ？

けど俺はこさめじゃなきゃダメなんだ……