書きてぇストーリー

[ヒヨ] 企業に務めていて、いつもスーツでニコニコしてる男の子。若いのによく働くよ。30代にゃ眩しいね。 いつもクマの人形を持っていて、やたら大事そうに抱えている。 …この前コンビニに彼と寄ったときの話だが、彼の入ったトイレから、彼の話し声が聞こえた。彼の電話は俺の車に置いていたはず。何だったのだろうか。

ここは所謂、裏社会。こんな企業が多いから、裏社会という単語が出来たのだろう、とつくづく思う。

その残念な子の中の1人がヒヨ。彼は強い。母親が病気で倒れて、父もパチンコに。母親の病気を治す為に中卒で働いてるようだ。本当に尊敬する。

社会の闇に汚れ、大変だろう。

いつも肩とか、ポケットとかにクマの人形を置いてある。やたら大切そうにしているが、何か思い出でもあるのだろうか。

何回か聞いたことはあるが、珍しく目をハッキリとさせるものだから、中々しっかり聞き出すことが出来ない。

あ、いや、1度だけ、御守りだとか何とか言ってたな。 珍しい形の御守りだ。ちょっと気になる、という事はある。

…まぁ、失礼か。 いいや。考えるのやめよ。俺も上司からの押し付けで残業だし。早く終わらせて子供に癒されたい。 …流石に寝てるか。

終わった頃には深夜の1時半。かなりかかってしまった。キツイ… 机には、珈琲やチョコが雑に置かれている。それらを端に寄せ、俺は鞄に荷物をまとめる。

おい、まだ15歳の子だぞ。 …普通に犯罪じゃねーかよ。いや、犯罪ならこの裏社会では普通か。 ヒヨは机に伏せて、寝ている。

まだ幼いのもあって、寝顔は可愛らしい。 …真面目そうだし、高校に行けばモテただろうに。こんな場所より、良いホワイト企業に入れただろうに。

ヒヨの机に、クマが置いてあった。少し…手に取っても行けるだろうか。 微かな好奇心のあまり、手に取る。

…少し怖いから、離れた場所で観察しよう。

そうして、俺はクマを色々な方向から見る。特に変哲もない。誰かの形見か？そう思い始めた時。

微かに、クマの目から光が漏れた。

その光はどんどんと増し、遂には目を瞑る程の強さに。殆ど一瞬の出来事だった。 光が収まったか、と確認をしようと、目を開ける。

前には、アニメで見るような、光り輝くような美少女が居た。 銀髪の、見覚えのあるような、水色の瞳。

＿まぁ勿論、こんな事を肯定するのは出来なくて。

有り得ない…有り得ない有り得ない！！ 意味が不明だ。くまの人形が美少女だって？w冗談も程々にしろよ、w

でも、もし、本当にそうだったのなら、本当に此奴が人形にも人にもなれるなら＿

何もかも消えるように、その結論が脳内を支配するように、大きく、激しく主張する。

絶対お金になるだろう。こんな未確認生物、誰も、科学者でも理解不能だろう。此奴を売れば、俺は、大金持ちに。

そうすれば子供も、家庭も安定する。母さんの看護も、豪華な食事も、働かなくても良くなる。

最高だ。

俺は、逃げ場を無くすように、彼女を追い詰める。相手から見たら、ただの変態だろうな。怯えてるだろうな。

＿しかし、彼女は目を細くして、俺を嘲笑った。

ｶﾞﾝｯ

[ミヨ] ちょっとだけ生きてるのが長い精霊。精霊界では、一応噂程度には聞いた事がある。銀髪の、透き通る水色の目。綺麗な姿に見とれる人は多いらしい。 最近、くまの人形に取り憑いたそうだ。なんでも、病気で苦しんでいるお母さんの形見らしい。彼女なら大丈夫だろうが、もし取り憑いてることがバレたら…そう考えると、不安が積もる。